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ETFが承認されたら、ビットコインのストーリーは変わるか?

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ビットコインは何のために存在するのか?

ビットコインの目的

大手金融機関によるビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)申請の発表が相次ぎ、ビットコインに「金融機関化」が迫ってきている。このことで、ビットコインの目的について長く続いてきた、いまだに未解決の疑問が緊急性を帯びてきている。

ビットコインは、法定通貨の価値低下に対する防御手段としての魅力によってその価格が動く、オルタナティブ(代替的な)価値保存の手段(例えば、ゴールドのような)なのだろうか?(こうした考え方を、ビットコイン強気派のマイケル・セイラー的観点と呼ぶことができる)

金融システムから何らかの理由で締め出された人々のための支払い手段だろうか?(エルサルバドル的観点と呼んでいいだろう)

アクティビストのツール、権力に対抗するためのメカニズムだろうか?(「人権財団」的観点)

あるいは、もっと自由な考え方に立ち、幅広い価値を持つコンテンツをユーザーが記録できる、記録保存のための止まることのないプラットフォームと捉えることがベストだろうか?(ビットコインNFTプロジェクト「Taproot Wizards」的観点)

答えは「上記すべて」と私は思いたい。

しかし、米証券取引委員会(SEC)がブラックロック(BlackRock)やウィズダムツリー(Widsom Tree)、インベスコ(Invesco)のETF(上場投資信託)申請を認可したら(過去のSECの頑固さを考えると、大いに仮定の話だが)、そして、フィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)、チャールズ・シュワブ(Charles Shwab)、シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)などの金融大手が支援する新しい暗号資産取引所EDX Marketsに対する支持をSECが表明すれば、そのようなリベラルで、何でも受け入れるような捉え方は、それほど注目されなくなるだろう。

こうしたプロダクトをメインストリーム顧客に売り込もうとするファイナンシャルアドバイザーは、シンプルなストーリーを望む。問題は、どのストーリーか、だ。

インフレヘッジ?

おそらく最も誠実なものは、ビットコインは価格が長期的には他の資産から独立して動く、相関関係のない資産であり、多様な資産のポートフォリオにさらなる安定性を提供し、株式や債券、コモディティが下落している時に価値を維持する資産と説明することだろう。

しかし、ファイナンシャルアドバイザーやメインストリームの顧客は、それでは満足しない。投資の分散化やリスクヘッジとして考える点では、すでに彼らは十分なトレーニングを積んでいるが、その裏には通常、イベントに突き動かされるストーリーが存在する。

例えば、景気後退が迫り、予想収益が落ち込むと、リターンが変動する株式のような資産の価値の低下に対し、債券などのリターンが固定された資産へのエクスポージャーでバランスを取ることになる。

このような形でビットコインの「インフレヘッジ」としてのストーリーが捉えられることが多い。しかし実は、簡単な話ではない。

2022年、インフレが国際経済に打撃を与えるなかでビットコインが下落したことは、ビットコイン価格は、消費者物価の高騰が加速する時にこそ加速すべきという、人気のある短期的な見方を覆した。

一方で、長期的な観点から見ると、ビットコインのインフレヘッジとしてのストーリーは持ちこたえている。過去10年で150倍以上も上昇したビットコインは、広範に利用可能だった他のあらゆる資産よりも効果的に、ドルの購買力低下を長期保有者が相殺することに役立ってきた。

だが問題は、金融業界が短期的ストーリーを望んでいることだ。何といっても金融機関は、四半期ごとに評価され、報酬をもらっているのだから。XがYになれば、ビットコインはZとなると言えることが理想。だがビットコインは、そんなに簡単に予測可能なものではない。

それでもウォール街は「マイケル・セイラー的観点」に傾くだろうと、私は予測している。多くのETF投資家は、その価格がなぜ上昇するかについて気にせずに、喜んで「上昇する」ことに賭けるかもしれないが、十分な規制を受けたウォール街という業界は、あからさまなギャンブルとして商品を売り込むことはできない。つまり、長期的な価値保存の手段という考え方が最も心地よいものになる。

アメリカの投資家には馴染みのある、既存のたとえ話である「デジタルゴールド」のストーリー、通貨政策に影響を受けずに値動きする資産というストーリーは最も語りやすい。懐疑的な人たちは当然、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの見込みが高まるなか、ゴールドが上昇したのにビットコインが下落した2022年の経験を思い出すだろう。ウォール街のETF事業者たちは、購入して保有するリタイア戦略(退職者の投資戦略)にまつわる長期的ストーリーで、そうした疑念を振り払うしかない。

政策決定への影響

このような話が重要な理由の1つは、ストーリーが政策決定を左右するからだ。ビットコインが投資家のためのヘッジ手段としてだけ捉えられると、現在アメリカ政界で進行中の規制強化の流れに見事にハマることになる。

ビットコインは、もしかしたらイーサリアム(ETH)を除く、他のすべての暗号資産に「証券」というラベルを貼るような、SECによる現在の取り締まりの網を逃れているが、ヘッジ手段というストーリーはビットコインの価格ではなくとも、ユースケースの拡大を間接的に抑えるような規制の立場を強化することになる。

その中でも最も重要なのは、プライバシー、顧客確認(KYC)ルールなどに関連するものだ。大手金融機関がビットコインを投資商品に加えたり、あるいはマネーの一形態として認識すれば、プライバシーを求める理由は一段と強くなる。

しかし、アメリカにおける議論が、価値保存の手段としての投資戦略を中心とするものになるほど、規制当局によるKYC要件の強化に反対することは一段と難しくなるだろう。結局のところ、ルール遵守が当然である金融機関は、規制当局による監視をサポートしても失うものは何もない。そして、一部の金融機関が示唆するほどに、弱気相場の中でも消費者からの需要が強ければ、彼らが得るものは大きい。

ビットコインプロトコルが、金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)のツールになることを望んだり、抑圧的なシステムの中で安全に資金を移動するツールとなることを望む何百万の人たちにとって、これは良い知らせではない。

さらに、Ordinalsプロトコル上でNFTに似たものを開発している「Taproot Wizards」プロジェクトや、新しいBRC-20トークンのようなビットコイン基盤のトークンに取り組む新しいタイプの開発者たちにとっても、あまり好ましい知らせではない。

取引所レベルでのKYCは、そのような革新的プロジェクトが世界中で、メインストリームの人々に届くことを妨げる。特にマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)による「トラベルルール」のような構想によって、セルフカストディ型ウォレットにも報告ルールが間接的に義務付けられれば、なおさらだ。

「ビットコインは気にしない」

しかし、ここで一度深呼吸してみよう。「通貨版ラーテル(タフなことで知られる動物:そのレジリエンスからビットコインはラーテルに例えられる)」と考えているファンの言葉を借りれば、「ビットコインはそんなことは気にしない」。ビットコインネットワークは、アメリカ政界やウォール街がその投資や取引に対して何をしようとしているかに関係なく、ブロックを積み重ね、続いていくだけ。

ビットコインプロトコルは止めることができない。ETFが承認され、メインストリームによるビットコイン投資が急増し、それが価格上昇とマイニングネットワークへのハッシュパワーの上昇につながったとしても、その「止められなさ」という特質は強みを増すばかりだ。

オープンソースで検閲不可能、止めることができないこのようなプロトコルを与えられれば、イノベーターたちは彼らがいつもしていることをするまで。イノベーションだ。つまり、すべてには迂回するための道が当然見つかる。アメリカ政界とウォール街の規制という制約にとらわれずに、ビットコインをユースケースとして活用する新しい方法が登場してくるだろう。

そうなると、今回のETFによるビットコイン「金融機関化」への動きの重要なポイントは、ラベル付けや伝統的な役割に対抗したいビットコインと、ビットコインを定義して、コントロールすることを目指す金融界の支配者たちとの間のネズミとネコの追いつ追われつのゲームの激化を象徴するものだ。

最終的に勝利するのはネズミ(あるいはラーテル)と私は考えている。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/191219/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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