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暗号資産取引所に導入が望まれる「プルーフ・オブ・リザーブ」

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創業者のサム・バンクマン-フリード氏が保有・運営し、かつては取引高で世界第3位の暗号資産取引所FTXが先週、崩壊した。何が起こったのか振り返ってみよう。

  • 11月2日、バンクマン-フリード氏のクオンツ暗号資産トレーディング会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)のバランシシートにある不審点を、CoinDeskが報道
  • 11月6日、世界最大の暗号資産取引所バイナンスの創業者兼CEOチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏が、バイナンスが保有するFTXのトークンFTTを売却すると発表
  • FTXはFTXに問題はないと主張
  • FTT価格が暴落
  • そして次の見出しが登場:「FTXは流動性危機の中、競合バイナンスによる買収に合意」

FTXの破綻は、「流動性の危機」というよりは「支払い能力の問題」(つまりFTXはお金を借りていて、それを返せなかった)のせいであると言った方が正確だと、私は感じている。しかし、買収の前にデューデリジェンスを行うことになっていたので、この点はあまり重要ではない。

  • そのデューデリジェンスにはほとんど時間がかからず、次の見出しが飛び込んできた:「バイナンスは財務状況を一目見た後に、FTX救済のための買収方針撤回の可能性大」
  • その数時間後には、正式な発表:「バイナンス、FTX買収を撤回」

市場は当然ながら、事態がリアルタイムで展開する中、わずかな詳細情報をもとに、あちこちで暴落していた。FTXの問題は「(バイナンスの)コントロールや能力を超えている」として、バイナンスは最終的に買収方針を撤回したのだ。

これが意味するところを大雑把に説明すると、FTXは顧客が預け入れた資産を色々なことに使っており、その資産の価値にとって良くない状況となっているため、顧客からの資産引き出しの要求に応えることができないということ。

これは、比較的一般的な慣行だ。あなたの地元の信用組合でさえも、あなたの預け入れた資産を使って色々なことをしており、「色々なことをする」こと自体は、FTXの犯した過ちではない。

例えば、銀行に資産を預けると、銀行はそのお金を自動車や家、新しいゲーム機を買おうとする顧客に対して、利子付きで貸し出す。担保(株式、債券、現金など)を差し出して、取引するための他の資産を借りられるようにする銀行もある。ここで、FTXは罪を犯したのだ。

FTXは顧客が現金を差し出して、投資のためにビットコイン(BTC)などを借りられるようにしていた。FTXがリスクを責任を持って管理していて、顧客に対して透明性を保っている限り、それも特に問題はなかった。

透明性の欠如の他にFTXが犯した過ちは、ネイティブトークンFTTにまつわるものだ。FTTは、FTXの株式のようなものだ。FTXは時々、その利益を使って自由市場からFTTを買い上げていたからである(そうなると需要と供給の関係から、FTTの価格は上がるはずである)。顧客はFTTをFTXに預け入れ、それを担保に投資のために暗号資産や現金を借りることができた。

これが恐ろしいアイディアだと、ぱっと見は分からないだろう。その理由はこうだ。

(例えば、同じ業界にある創業者の同じ会社のバランスシートに不審点が見つかるなど)FTXの健全性が少しでも疑われた場合、その株式(あるいは株式のようなもの)の価値は下がる。FTXが、投資をする顧客に代わって大量のFTTを保有している場合、担保としてのそのFTTの価値は下がり、FTXの健全性も低くなり、FTTはその価値を下げる。

その繰り返しである。

聞き覚えがあるだろうか?そう、2022年5月のテラ(Terra)崩壊によって、ほとんど一晩で、約600億ドルもの価値が消えてしまっていた時に似ているのだ。

頭がくらくらしてきた?私もだ。少し休憩しよう。

これはさらに、他にも聞き覚えがあるように私には思える。それはずばり、2007年の世界金融危機の前。金融機関が住宅ローンで色々と変わったことをして、住宅ローンのパフォーマンスに投資をしていた頃のことだ。

暗号資産ネイティブが伝統的金融(TradFi)の失敗を繰り返さないことにこだわっていることを考えると、業界関係者は今回の事態にどのように反応しているのだろうか?

とりわけ良識的な反応の1つは、暗号資産取引所全体が苦しんでいる甚大な信頼の損失に対処するために、暗号資産取引所に「プルーフ・オブ・リザーブ」を導入するよう求める声だ。

プルーフ・オブ・リザーブとは?

プルーフ・オブ・リザーブとはつまり、「私たちが保有していると主張しているものの証拠がこちらです」というのを小難しく表現したものだ。

とてもシンプルな例を示そう。「とにかくジョージを信頼して」という名の取引所であなたが1ビットコインを買い、取引所に預かってもらっているとしよう。どう見てもそのビットコインはあなたのビットコインである。「とにかくジョージを信頼して」取引所は、あなたのために保管しているだけだ。

ビットコインブロックチェーンが持つ透明性のおかげで、「とにかくジョージを信頼して」取引所が確かにあなたのビットコインを準備資産の中に保有している証拠が存在するはずである。

金融の観点から言えば、「とにかくジョージを信頼して」取引所は、保有しているビットコインが、顧客が求めた時には彼らにビットコインを渡すという「とにかくジョージを信頼して」取引所の約束、つまり負債とマッチすることを、簡単に証明できなければならない。

CoinDeskコラムニストのニック・カーター(Nic Carter)氏などは、暗号資産取引所がプルーフ・オブ・リザーブを導入することを求めてきた。クラーケン(Kraken)やビットメックス(BitMEX)など、実際にすでに導入した取引所もある。

FTX破綻以来、バイナンス、オーケーエックス(OKX)、クーコイン(KuCoin)、ポロニエックス(Poloniex)、フォビ(Huobi)などは、この先プルーフ・オブ・リザーブ(あるいはそれに類似したもの)を導入することを約束した。

技術的な詳細を省いて言うと、ビットコインで使われているデータ構造「マークルツリー」を使って、これをスムーズかつコスト効率の良いやり方で実施することもできる。これは素晴らしいことだ。私たちは金融サービスにおけるさらなる透明性を目指すべきであり、プルーフ・オブ・リザーブはそれを実現できるのだ。

しかし、プルーフ・オブ・リザーブの実際的な導入には欠落した部分があり、鋭い読者なら潜在的欠点だと感じるかもしれない。プルーフ・オブ・リザーブの正しさを裏付けるために雇われる第三者監査人も必要となってくるだろう。

気づいているかもしれないが、さらなる第三者、さらなる中央集権的な難所の可能性が生まれてくることになる。プルーフ・オブ・リザーブを導入することは、正しい方向への大きな一歩であるのだが、それだけでは十分ではないのだ。

プルーフ・オブ・リザーブだけでは不十分

暗号資産取引所にプルーフ・オブ・リザーブ以上のものを求める必要がある(おそらく多くの)理由のうち2つを紹介しよう。

  1. 私たちはいまだに、部分的に人間に依存している。監査企業にも人間はいるが、解散に追い込まれた会計会社アーサー・アンダーセン(Arthur Andersen)は、エンロンの人間が詐欺に加担していることを見抜くことができなかった。
  2. プルーフ・オブ・リザーブは、取引所が実際に、あなたが預けたビットコイン(やその他の資産)を保有していることを示すかもしれないが、その資産を使って取引所が色々なことをしていないという保証はない。

つまり、誤りを犯すという人間の性質が、プルーフ・オブ・リザーブを台無しにしてしまう可能性もあるのだ。金融の世界におけるペテンから得られる莫大な金銭的見返りを上回る何かが必要である。

しかし、ここに希望の光がある。

現代の金融の世界においては常に、その前にあった好況よりもひどい不況が存在してきた。そのような不況は、短期間に多くの人たちにダメージを与え、彼らはさらなる明確さと透明性を求めることになる。消費者たちが求めなかったとしても、政治家たちが明確さと透明性を確保しようとするだろう(今のところあまり上手くいってはいないが)。

さらに消費者たちは、現代のビジネスにつきものの問題の1つを理解し始めていると、私は感じている。複雑性だ。もちろん、複雑なものがなければ、例えば回路基板のようなものは存在しないだろう。

しかし、シンプルに説明することのできない企業、ビジネス、ムーブメント、仕事があまりに多過ぎる。それは、支持者たちの意図が何であれ、透明性にとっては問題なのだ。

新時代の新ビジネスと歓迎されていた取引所をめぐって、めまいのするような事態が展開した1週間を経て、1つのシンプルな提案をしたいと思う。

基本に戻ろう。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/165514/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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