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責任ある金融革新法(RFIA)が投資家やブローカーに与える影響とは

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時代に合わせた規制を模索する政府

暗号通貨市場に参加する投資家が増える中、デジタル資産の取引、売買、課税に関する規則を明確化し、時代の流れに合わせる必要性がますます高まってきています。

シンシア・ルミス (Cynthia Lummis: 共和党・ワイオミング州)と カーステン・ギリブランド(Kirsten Gillibrand:民主党・ニューヨーク州) の両上院議員はこれに対応し、6月初めに、消費者、株等の仲買人、金融機関、コイン発行会社、投資家、その他の市場参加者を保護するための措置として、責任ある金融革新法案(Responsible Financial Innovation Act:RFIA)(以下、「本法案」といいます。)を提出しました。本法案は、商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission:CTFC)の権限を暗号資産分野に拡大し、デジタル資産の規制と課税に関する証券取引委員会(Securities and Exchange Commission: SEC)の指針を更新するものです。

本法案では、商品先物取引委員会が監督する暗号「付帯」資産と、株式や債券のように証券取引委員会の管轄下にある暗号「証券」とを区別することになっています。また、本法案に含まれる他の条項は、消費者保護改革、ブローカーと分散型自律組織(DAO)の明確な定義等を含んでいます。

弊所の前回の記事では、本法案の主な定義、商品として規制される暗号通貨、デジタル資産の特定の販売に対する課税の最低限度額、本法案がステーブルコインの問題をどのように回避しようとしているのかについて紹介しました。本稿では、ブローカーの役割、情報開示、消費者保護、分散型自律組織など、本法案のその他の条項について解説します。

ブローカーと暗号資産の販売

責任ある金融革新法案の第202条は、暗号資産分野における「ブローカー」の定義を、「通常の取引またはビジネスの過程で、(対価を得て)顧客の指示によりデジタル資産の販売を実行することができる者」と厳格に解釈し、明確化しています。これは、1986年内国歳入法およびインフラ投資・雇用法において、取引の管理・促進者を含むと解釈されていた定義を修正するものです。

この「ブローカー」の定義の厳格化により、多くの従業員が、報告義務や受託者としての責任から免除されます。そして、伝統的にブローカーによって行われるものと理解されていた業務(小売顧客のための取引等)を行い、暗号の売り手と買い手を結びつけることで報酬を得ている者のみが、これらの業務によって発生した所得に課税されることになります。一方、暗号の作成者、購入者、その他の参加者は、現金化されるまでは投資に対して課税されません。

また、責任ある金融革新法案は、ブローカーによる市場での暗号通貨の販売方法を改革し、デジタル資産に関する特定の情報の報告を義務付けています。さらに、本法案は、管理手続きの義務化において、ブローカー・ディーラーが顧客のためにデジタル資産の管理を行うことを許可するため、1934年証券取引法下の規則15c3-3(顧客保護規則)の改正を証券取引委員会に求めています。もし本法案が最終的に制定されれば、ブローカー・ディーラーがデジタル資産証券の管理を維持するための有意義かつ待望の方策となるでしょう。

デジタル資産のセーフ・ハーバー取引規定

現在、非米国民が株式、証券、商品の取引をする場合、米国内の代理人を使用する場合であっても、その活動は米国内で行われているとはみなされないため、米国内の課税対象にはなりません。

このような保護策を暗号通貨投資家にも拡大するため、本法案は、デジタル資産に対する例外規定を設けています。具体的には、デジタル資産を販売する非米国人のための「セーフ・ハーバー」条項の導入により、米国に拠点を持たない非米国人トレーダーは、取引活動を行うために米国内の金融機関を利用することができるようになります。

第203条は、商品および証券取引を対象とする第864条(b)(2)に基づき、この取引に関して「セーフ・ハーバー」特例を設けています。非米国人トレーダーは、デジタル資産取引所において通常の取引を行う限り、課税上、米国「内」 で事業を行なっているとはみなされません。しかし、非米国人トレーダーが米国に事務所や事業所を保有している場合は、米国内で取引が行われるため、この規定は適用されず、課税対象となります。

消費者保護規定

本法案が成立した場合、消費者保護規定が追加されることになります。暗号通貨の人気が高まり主流になるにつれ、多くの人が不完全で誤った情報やリスクに基づいて、頻繁に変動性の高いデジタル資産を購入するようになりました。

そして、これらのデジタル資産が崩壊すると、Terra/USTステーブルコインのように、消費者から集められた何百万ドルもの資金が消滅する可能性があります。暗号市場は固有のリスクを伴うため、消費者は十分な情報を得た上で投資判断を下すことができるよう、適切な情報開示を受ける必要があります。そこで、本法案第505条は、デジタル資産の供給者に、投資リスク、適用される手数料、償還手続き、破産手続におけるデジタル資産の取り扱いなど、その商品に関する情報を契約書に明示することを求めています。

責任ある金融革新法案の消費者保護規定は、ブローカーや販売者以外にも適用されます。

例えば、本法案では、デジタル資産仲介業者や商品取引所法第1a条(7 U.S.C. § 1a)で定義される金融機関を含むデジタル資産サービス提供者にも顧客開示義務を課すとしています。また、本法案は、連邦または州の定款、免許、登録、その他同様の認可に基づき、全てのデジタル資産活動を行う者は、情報開示する必要があると定めています。さらに、本法案は、証券取引委員会に対して、本法案制定後18ヶ月以内にカストディ規則(17 C.F.R. §240.15c3-3)および消費者保護規則(17 C.F.R. §275.206(4)-2)を制定することを要求しています。新規則は、カストディ業務、デジタル資産、ブローカー・ディーラー業務、市場構造の変化、テクノロジー、州法銀行と国法銀行の同等性などの規制変更を考慮する必要があります。

本法案は、暗号資産市場管理のためのEUの提案や、EU指令2019/1937(MiCA)の改正など、暗号市場規制に対する新たなアプローチに密接に対応しています。また、トークン発行者、ブローカー、その他の市場参加者に対しても、EUの提案と同様の義務付けを求めています。

分散型自律組織(DAO)

本法案には、分散型自律組織に関する規定も含まれています。これらの事業体は比較的新しい形態ですが、次第に人気が高まっています。米国には80億ドル以上の資産を持つ約 4,000の分散型自律組織がありますが、その大部分はマーシャル諸島とワイオミング州で組織されています。これらの組織は、暗号やNFTの分野で有力なプレーヤーとなっています。

責任ある金融革新法案は、少なくとも内国歳入庁(IRS)の税法上の分類のために、分散型自律組織を「主流」にしようと試みています。本法案は、特定の分散型自律組織は課税目的のために事業体を構成することを明記しています。これらの事業体は、州のDAO法令に基づいて適切に組織化または法人化されていなければなりません。本法案では、分散型自律組織は、LLC、株式会社、パートナーシップ、財団、協同組合、または同様の組織として設立することができます。

今後の展開

責任ある金融革新法案は、米国内のデジタル資産市場に、長年の課題であった政府の規制と透明性をもたらし、市場を改革する可能性を秘めています。法律として署名された場合、即座に施行されるわけではなく、一定の期間内に施行されます。税制改正の一部は、2022年12月31日から施行されますが、その他の改正は2025年になってから施行される予定です。

本法案が最終的に法制化されるためには、まず議会の委員会のハードルを越えなければなりません。したがって、この間に、業界関係者は規制強化に対処するための戦略を立てたり、税負担を軽減し、情報開示に関する新規則を確実に遵守するために、この分野に精通した弁護士に相談する時間を持つことも選択肢に入ります。

参考資料:https://coinpost.jp/?p=379985 

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Source: 仮想通貨情報局

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