イーサリアムの「くじら」(大口保有者)は間違いなくDeFi(分散型金融)ムーブメントを推進しているが、DeFiブームで稼ぐ人の多くはいわゆる一般人だ。
カナダの大学で数学を学んでいる匿名のトレーダーもその一人だ。イーサリアムのソフトウエアを使い、自ら計算を行うだけで今年、数十万ドル(数千万円)の利益をあげることに成功した。
しかし、これが初めての投資ではない。彼はDEX(分散型取引所)で1年以上も投資を続けている。
「私は『くじら』ではないが、利用しているDeFiプロトコルのトップユーザーの一人。かつてDeFiがまだ小規模だった頃、競争はほとんどなかった」
“Weird DeFi(奇妙なDeFi)”の食べ物ブーム(山芋トークン、寿司トークンなど、食べ物にちなんだ名称のトークンが登場した)が始まってからは、「あまり技術的知識を持たない」新規参入者でも「高利回り」が期待できるとジョーは語る。
ヤムトークンの大失敗
その一例がヤム(YAM)トークンだ。未監査のヤムトークンは4億6500万ドル(約490億円)相当の暗号資産を集め、その後、72時間で崩壊した。どれほど多くの新人トレーダーが、普通では考えられないほどの利益をあげたかは具体的にはわからない。
だが、そうしたヤムユーザーの一人が匿名で取材に応じた。彼は取引所ではほとんど取引しないが、ヤムでの取引は面白く、比較的簡単だったと話す。
彼はヤムを「救う」ためのコミュニティ投票に参加したが、その後、ヤムが持続可能でないと気づいた時にすぐトークンを「投り払った」という。すべてを考慮すると、ヤムに参加することで1万5000ドル(約158万円)の利益をあげた。取引手数料には800ドル(約8万4000円)を使った。
前述の2人のDeFiファンにとって、その利益は人生に影響を与えるような金額だ。こうしたユーザーはDeFiのエコシステムにアクセスするために、サービスプロバイダーを頼ることが多い。そのため、ヤムから利益を得たのはトレーダーだけではない。イーサリアムネットワークを運用する企業もまた、ヤム、スシ(Sushi)、クリーム(CREAM)、そして今はピックル(Pickle)の高騰から、トラフィックと取引手数料を獲得している。
DeFiインフラ
DeFi支持者は、ツールやサービスがオープンソースで開発されていること、それによる参入障壁の低さと分散型チームのメリットを強調する。そしてときに、ハイリスクなサービスへの参入障壁も低くなる。
DeFiプラットフォーム、ユニスワップ(Uniswap)の創業者ヘイデン・アダムズ氏の2020年6月の発言によると、ユニスワップのエコシステムの多くは、コンセンシス(ConsenSys)が手がける「Infura」のようなインフラサービスに依存している。このことは、スシスワップ(SushiSwap)などの類似のDeFiプロジェクトにも共通している。
コンセンシスの広報担当者、ジェームズ・ベック氏は、同社はインフラサービスとウォレットサービスを同社のソフトウエア事業の基盤とするために再編されたと語った。
コンセンシスでインフラサービスに携わるマイケル・ゴッドセイ氏は、彼のチームはDeFiブームによって生じた「利用増」に対処しており、「新しい使用パターン」を理解しようと注目していると語る。失敗もあるかもしれないが、新しいDeFiプラットフォームは、イーサリアムスタートアップにインスピレーションやリサーチデータを提供してくれる。
持続可能か、失敗に終わるか
DeFiにアクセスするために人々が使うDEX(分散型取引所)ツールに言及して、ゴッドセイ氏は次のように付け加えた。
「ユニスワップとメタマスクは、弊社の素晴らしい顧客であり、多くのイールドファーマー(DeFiで利回り獲得を狙う人たち)が、そのプラットフォームを利用して新たな活動に参加している」
前出のカナダの大学生は、トークンを集め続けたいと話す。より広範なDeFiムーブメントは「持続可能であり、数年にわたって比較的ゆっくりとしたペースで成長を続けている」と語る。
同時に、実験とも言えるDeFiが「大失敗」に終わるか、あるいは徐々に勢いを失っていく可能性も否定していない。「リスク調整した利回りが他のチャンスよりも高い限り、使い続けていくつもりだ」と加えた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/80866/
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Source: 仮想通貨情報局