アメリカの仮想通貨市場が比較的落ち着いている中、投資家は新たな生命線を求めてアジアに目を向けている。
その好例はマルチコイン・キャピタル(Multicoin Capital)だ。同社はは、アジアでの新しい投資先を探す取り組みの責任者として北京在住の投資家マーブル・ジャン(Marble Jiang)氏を採用した。
テキサス州に拠点を置くマルチコインは、中国語で調査レポートやリリースの発表を始めている。そのためジャン氏は「セカンダリーマーケットへの投資のために、構造的に分散した情報の活用」の支援も行うと同社はブログに記した。
「本当に興味深い中国発のプロジェクトや分散型アプリの波が、来年、市場に押し寄せることになると考えている」とジャン氏。
「さらに我々は、グローバルな存在感が、異なる市場の人々に、より洗練された視点を届けるベストの方法の1つと考えている」
マルチコインは、中国や韓国といったトークンを切望する市場での足掛かりを求める数多くの仮想通貨ヘッジファンドやベンチャーキャピタルの1社に過ぎない。例えば、ポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)は、チャイナ・マーチャンツ・バンク・インターナショナル(China Merchants Bank International:CMBI)とともに中国のトークン・プロジェクト「ネルボス(Nervos)」への出資を増やし、さまざまな会議のためにパートナーをアジアへ送った。
「アジアのパートナーや従業員確保において、我々の助けを求めてきた企業が複数ある」とドラゴンフライ・キャピタル(Dragonfly Capital)のアレクサンダー・パック(Alexander Pack)氏は8月に語った。
「アジアは、仮想通貨ユーザーとその普及において、群を抜いて世界をリードしている。桁違いだ」
中国規制当局による取り締まり──定期的に発生するが、需要を抑えるには至っていない──の報道にも関わらず、シミラーウェブ(SimilarWeb)は、仮想通貨取引所フォビ(Huobi)へのアクセスの半分以上、オーケーエックス(OKEx)への全世界からのアクセスの35%は中国本土からのものであることを示している。
シミラーウェブによると10月時点で韓国は、中国、アメリカ、ロシアに次いで、情報サイト「イーサスキャン(Etherscan)」へのアクセスが4番目に大きな国であり、韓国の仮想通貨取引所ビッサム(Bithumb)は世界で3番目に人気の流入元サイトになっている。
しかし、エレクトリック・キャピタル(Electric Capital)の共同創業者アビチャル・ガーグ(Avichal Garg)氏は、同社はアジアへの拡大を検討していない数少ないシリコンバレーファンドの1社と述べた。その理由は、アジアは持続的に取り組むには著しいリソースを必要とする「まったく異なる世界」だからだ。
「取引高は大きい。今までにない新しい多くの動きはアジア発。その理由の一部は、規制の状況が異なるからだ」とガーグ氏は指摘した。
「しかし大半の(ファンド)は、(アジアで)多くの若手人材を採用しているが、私は間違いだと思う。ドラゴンフライは、双方の地域で極めて才能のある人材を抱えており、おそらく最も上手く進めているだろう」
ジャン氏はキャリアの前半にいるかもしれない。だが、同氏は現地の知識を活用するための独自の機会を持っているとも述べた。
「ローカリゼーションは間違いなく、判断の正確さと素早さにおける重要な要素」とジャン氏は述べた。
「『グローバル』な資産をファンドが運用するためには、地理的な点をつなげ、それぞれの投資文化を駆り立てる行動を理解しようとしなければならない」
11月、投資家向けレターにおいてマルチコインは「膨大な量の情報が、口コミ、ウィーチャット(WeChat)のグループ、中国語のみのソーシャルメディアを通じて拡散していく」ため、ジャン氏の役割は、その情報のギャップを埋めることにあると述べた。
ある意味では、この再び始まったアジアへの拡大の動きは、2018年の弱気市場の間に始まった流行の延長だ。当時、ブロックタワー・キャピタル(BlockTower Capital)は多言語を操る、元ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のスティーブ・スンクン・リー(Steve SeungKeun Lee)氏を採用した。
一方、ジャン氏はこれは流行ではなく、国を持たない資産を捉える新しい方法とかたった。ジャン氏の視点では、仮想通貨は、多面的なアプローチに貢献するために、現地カルチャーへの適性を持つ多様な投資家を必要とする。
「仮想通貨は真に『グローバル』な数少ない資産の1つ」とジャン氏は述べた。
「最大の過ちは、物事を『東』あるいは『西』というラベルでわかりやすくステレオタイプ化したいという衝動だと思う」
参考資料:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191209-00050209-coindesk-bus_all
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Source: 仮想通貨情報局