仮想通貨企業ブロックストリームが手掛ける「リキッド(LIQUID)ネットワーク」。仮想通貨ビットコインのネットワークを決済ネットワークとするためのプロジェクトだ。
リキッドネットワークに参加するパートナー企業の第1回会合が10月に東京で開かれた。コインテレグラフジャパンは、リキッドネットワークの現状や未来について、ブロックストリームの最高戦略責任者(CSO)であるサムソン・モウ氏にインタビューを行った。
リキッドネットワークとは
リキッドネットワークは、仮想通貨ビットコインのサイドチェーンとして開発されたものだ。
「リキッドは決済ネットワークだ。仮想通貨取引所同士をサイドチェーン上でリンクさせる。またトレーダーのためのツールも提供している。リキッド上で発行するL-BTCは、メインネット上のBTCと1対1の関係を持っている」(モウ氏)。
たとえば、メインネット上にある1BTCを預託することで、リキッド上で使うトークン「リキッドビットコイン(L-BTC)」を生成する。このL-BTCを使い、リキッドネットワーク上でやり取りをする。
ビットコインのネットワークでは、トランザクションを承認するためには10分以上かかることになる。6ブロック待つとなれば60分。リキッドネットワークでは1分でブロックを生成し、2分で決済を完了させることができる。
また「取引のための別な特徴は、機密性があることだ」(モウ氏)。ビットコインのネットワークは1000BTCを送金すれば、それが第三者から見えてしまう。「潜在的な競争者がBTCの移動を見て、それに対抗するための手を打ってくるかもしれない」(モウ氏)
ビットコインにおける機密性の確保というのをサイドチェーンで実現する。トレーダーにとってもメリットがあると、モウ氏は強調する。関係者を除き、取引の内容は見ることができない。
また決済ネットワークが分散化されたものであることも大きな特徴だとモウ氏は語る。
例えば現在、証券であれば中央集権的な清算機関が決済を行うが、リキッドが目指すのは分散型のトラストレスな決済ネットワークだ。仮想通貨取引所やトレーダーが機密性を保ちつつ、同時決済を可能とする。
トレーダーや取引所向けのサイドチェーンベースの決済ネットワークであり、より高速で機密性の高いビットコイントランザクションとデジタル資産の発行を可能にすることを目指す。
STO機能やステーブルコイン発行も
ビットコインと対応したトークンL-BTCの発行以外にも、新しい通貨対応も進めている。例えば、テザー(USDT)はリキッド上でテザーを発行している。
ほかのユースケースとしては、金(ゴールド)をもとにしたトークンや、法定通貨をベースにしたL-USDのようなことも可能となっている。
また今年9月に追加したのが、セキュリティトークンの発行機能だ。リキッドのネットワーク上でSTOを行うことが可能となった。
「参加企業を将来的に200、300社以上に」
Liquidに参加する企業は、現在30社以上。世界各国の仮想通貨取引所や開発企業などが参加している。
(出典:Blockstream リキッド参加企業)
日本からもBTCボックスやコインチェック、DMMビットコイン、TaoTao、ビットバンク、Zaifといった仮想通貨取引所が参画している。
また日本のサンドボックス制度を活用した実証実験で協力しているクリプトガレージも参加。クリプトガレージは、デジタルガレージと東京短資とのジョイントベンチャーだ。
10月にリキッドネットワークの参加企業を集めた第1回の「フェデレーション会合」が東京で開催された。
モウ氏によれば、会合ではリキッドネットワークを構成する「フェデレーション」の組織形態などが話し合われた。リキッドネットワーク参加企業のガバナンス、どのように新しいメンバーを承認するか、技術開発のプライオリティーを議論する技術理事会の設立など、「リキッドネットワークの未来について、非常に活発な議論が行われた」という。
今後のパートナー企業は増加させていく考えだ。将来的に「200、300社と拡大させていきたい」と話す。「フェデレーションは非中央集権的にしていきたい、それは地理的にもだ。1つの地域に偏ることなく、参加企業を増やしていきたい」という。
日本での実証実験
ブロックストリームは、日本のサンドボックス制度を活用した実証実験を実施中だ。今年1月からリキッドネットワークを使い、仮想通貨と日本円建てトークンの同時決済サービスを行うものだ。ビットコインとペッグしたL-BTCと、円建てのJPY-Tokenを使う。
(出典:クリプトガレージ リキッドネットワークを使った実証実験)
取引所間で、ビットコインなどの仮想通貨をやり取りするのをより高速化するのが狙いだ。モウ氏は、「順調に進んでいるよ。来年には実験の結果を公表できるだろう」と語った。
また円建てのトークン、すなわちステーブルコインを取引所やトレーダー間でやり取りすることができるようになれば、「流動性への対応が進むことになる」と強調する。「特に小規模なOTC(店頭取引)デスクにとっては、カウンターパーティリスクを回避することができ、大きなメリットになるだろう」と話す。
日本でのSTO規制にも注目
日本では来年4月に改正金融商品取引法が施行される予定だ。
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)主導の新しいコンソーシアム設立や、日本の大手証券会社によるに日本STO協会設立など、セキュリティトークン活用に向けた機運は日本でも高まっている。
前述のようにリキッドも、そのネットワーク上でセキュリティトークンを発行することができる。
現在サンドボックスで実験をしている日本円ベースのステーブルコインができれば、セキュリティトークンの決済としても使うことができる。リキッドネットワーク上で、セキュリティトークン発行と決済を完結することができる。
日本のSTO解禁は、モウ氏も注目している点だ。
「日本でのSTOの新しい規制は来年4月に始まるよね。僕らも非常に注目しているよ。日本のパートナーとも協力して、リキッドを活用したSTOの可能性も検討したい」
ビットコインを新しい金融システムのインフラに
モウ氏は、リキッドネットワークの最大の狙いは、ビットコインネットワークを新しい金融インフラにすることだと話す。
「これからの未来で、ビットコインが新しい金融インフラとなる。それを支えるのがリキッドだ」
一方で、中国がデジタル人民元構想を公にし、デジタル法定通貨による「DCEP」の世界を目指している。ビットコインとデジタル人民元をはじめとする中央銀行デジタル通貨。2つの世界が併存することになるのだろうか。
モウ氏は、「その可能性はある」と述べる。しかし、ビットコインはその独自性から、これからも価値を持ち続けることになると強調する。
「そもそもサトシナカモトがビットコインで発明した『暗号通貨(Cryptocurrency)』という概念は、非中央集権的であり、中央の管理機構がなく、誰でも参加できるオープンネットワークだ。政府が発行するのは、『暗号通貨』的な、デジタル化された法定通貨だ。非中央集権的でもなく、イミュータブルでもないだろう」
デジタル人民元は11月11日の独身の日にはローンチすることはなかったが。近い将来に出現する可能性は極めて高い。
「もしそれが、誰でも参加できるようなものになるなら、興味深いと思う。しかし中国は今でも人民元の海外送金を制限し、資本統制をしている。まだどのようなものになるかはわからないが、デジタル人民元が自由なものになるだろか?」
加えてモウ氏は、政府が発行する通貨の問題点を指摘する。
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Source: 仮想通貨情報局