歯髄細胞とブロックチェーン
歯髄(しずい)細胞とは歯の神経のことで、その中に良質な幹細胞が含まれている。幹細胞は、分裂して同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持っているそうだ。そのため近年、歯髄細胞は再生医療のために注視されている。今までの再生医療では、骨髄などから幹細胞を採取することが一般的とされてきたが、歯髄細胞は、乳歯や親知らずから採取することができ、骨髄から採取するよりも体への負担が軽い。
また、歯髄細胞は、細胞の増殖能力が高く、全身のあらゆる細胞に変化できる人工的な万能細胞ともいわれるiPS細胞を作り出すことも可能としている。歯髄細胞による再生医療は、アルツハイマー病、脳梗塞、脊髄損傷、歯周病、虫歯、心筋梗塞、糖尿病、肝疾患、腎疾患、眼科疾患など多くの疾患への研究が行われている。
細胞の流通管理は難しい。提供された歯から細胞を取り出して増やす作業は、クリーンルームで行われ、100万個ごとにチューブに詰め、液体窒素タンクで凍結保存される。細胞の扱いは慎重に行う必要がある。製造元、現在にいたるまでの流通経路、品質管理情報、採取した細胞の治療実績など、細胞の取り違えによる誤使用の可能性があることから、流通時の記録管理を徹底する必要がある。
ブロックチェーン技術において、ブロックチェーンに刻まれたデータの改ざんは非常に困難である。そして、一度刻まれたデータは誰でも閲覧することが可能だ。また、ブロックチェーン上のトークンの移動は誰にでも確認できる。これらのブロックチェーンの特異性を活かすことで、トレーサビリティなど流通管理に応用できるのだ。なかでも、万人がデータの中身を確認することができ、その上でデータの改ざんが困難という点が非常に重要である。
これが閉じられたシステム内で、かつ管理している企業のみが確認できるものであれば、データは改ざんされている可能性もあり、トレーサビリティにおける信用に欠けてしまう。つまり、ブロックチェーンとトレーサビリティ、物流管理システムは相性がいいのではないかと思う。
歯髄細胞流通管理システム
では、一体どんな方法でブロックチェーン技術を活用し、歯髄細胞流通管理システムを機能させていくのだろうか。
今回提案しているシステムは、NEMのブロックチェーン技術を活用したものだ。流通経路となる各拠点ごとに、NEMアドレス、ネームスペース、モザイク(NEMブロックチェーンに基づくトークン)を作成する。
出典:nemlog
細胞を管理するため、細胞が入ったチューブはバーコードで管理される。バーコードは、唯一無二のものとなっている。
NEM(ネム)ブロックチェーンのメッセージ機能欄に、バーコードを読み取った値を入力し、次に細胞が移動する拠点にモザイクを送信。この送受信記録は、ブロックチェーンに記録されるため。どこからどこに、いつ移動したかがわかるようになっている。
出典:nemlog
このシステムに対して機能するデバイスを製造し、流通現場に投入していくというのが今後の研究の1つになるようだ。デバイスは、流通管理システムのプロセスを簡易化するものとしてうまく機能してほしいと思う。
ブロックチェーン、ソフトウェア、デバイスそれぞれが機能し総合的に使いやすい流通管理システムとなれば、他への応用もでてくるだろう。NEMのブロックチェーン技術は、トークンの作成も容易で、ブロックチェーンの特異性をソフトウェアに統合しやすい面を持っている。歯髄細胞流通管理システムの今後を応援したい。
参考資料:https://coinchoice.net/nem-projject-gain-the-subsidy-of-gifu_201906/
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Source: 仮想通貨情報局