イーロン・マスク氏が前回の強気相場の際に、半分皮肉交じりにドージコイン(DOGE)を支持したとき、ほとんどの人はそれをジョークと受け取った。有名なビジネスマンが、面白いお金で遊んでいるのだと。
ジョークから真面目なプロジェクトへ
しかし今や、もう誰も笑っていない。最近では、アバランチ財団から資産運用大手フランクリン・テンプルトンまで、ミームコインがブロックチェーンテクノロジーの正当な利用法であると主張する真面目な組織が存在する。
ソラナ(Solana)ブロックチェーンには、ドッグウィフハット(WIF)、シリーキャット(SILLYCAT)、ポップキャット(POPCAT)がある。イーサリアムブロックチェーンでは、ドージコインが依然としてトップだ。
そして、MAGA(TRUMP)、jeo boden(BODEN)、elizabath whoren (WHOREN)というような顔ぶれを揃えた「PoliFi(政治金融)」という新興分野もある。
フランクリン・テンプルトンのデジタル資産チームは最近のレポートの中で、これらのジョークになりそうなコインは「そのユニークな性質により」過去1年でバイラリティを獲得したと書いている。
2023年後半に始まった高騰は、アメリカでビットコインETFがリリースされて以来、勢いを増していると同チームは指摘した。
ある意味で、ミームコインは脱出速度(自律的な成長段階に移行するために必要な最低速度)に達している。アバランチ財団は「カルチャー・カタリスト」プログラムを立ち上げ、「カルチャー的に重要」と同財団が考えるWeb3プロジェクトを支援するためにミームコインの買い取りを開始した。
フランクリン・テンプルトン(一時期ツイッターでビットコイン支持を表明するレーザーアイのプロフィール画像を掲げていた)は、イーサリアムとソラナの利用が増加しているのは、これらのトークンが「素早く利益を上げる機会」を提供するからだと分析している。
しかし、ミームコインのプロジェクトは、自滅するために全力を尽くしているようにも見える。ミームコインには「根本的な価値がない」というのがこれまでの常識だったが、ますます多くのミームコイン作成者が、自分たちのプロジェクトを目立たせるために時間と資金を投じている。これは、リスクの高い行為だ。
例えば、ミームコインの先駆者であり、最も有名なコインであるドージコインの対抗馬で、イーサリアムをベースとした柴犬コイン(SHIB)は、シバリウム(Shibarium)と呼ばれる独自のスケーリングレイヤー、分散型取引所のShibaSwap、Shiboshis NFTs、さらにはデジタルアイデンティティ・イニシアチブとプロジェクトインキュベーターなど、テックエコシステム全体を構築している。
イヌのマスコットにピンクのニット帽をかぶせることで「犬トークン」のトレンドにひねりを加え、過去1カ月で600%以上上昇したドッグウィフハット(WIF)は、ラスベガスの球体スクリーン「スフィア(Sphere)」に広告を出すために、USDコイン(USDC)で60万ドル(約9000万円、1ドル150円換算)以上を調達した。
SECの標的になる恐れ
これらのプロジェクトが意識しているかどうかにかかわらず、トークンを開発したり宣伝しようとすることで、米証券取引委員会(SEC)の怒りを買う可能性がある。SECは、目立たないプロジェクトを見せしめにすることを厭わないことを考慮すれば、笑い事ではない。
「広告を出せば、理論上、裁判所は投資が証券であると判断する可能性が高くなる。なぜなら『マーケティング』は(資産が証券がどうかを判断するのに使われる)ハーウィテスト適用における考慮事項となるからだ」と法学教授のブライアン・L・フライ(Brian L. Frye)氏は指摘した。
ロビー団体コイン・センター(Coin Center)のコミュニケーションディレクター、ニーラジ・アグラワル(Neeraj Agrawa)氏もこの点を指摘し、多くのミームコインプロジェクトが主張したがる「コミュニティ主導の取り組み」という主張に疑問を投げかけた。
「これらのミームコインの多くは、本当の意味で分散化されていないことを忘れないで欲しい。分散型ネットワークに乗っているかもしれないが、コントラクト自体は数人の人間によってコントロールされていると知っても驚かない」とアグラワル氏。
証券の基本的な定義は「その資産の価値を高めるようなことをすると約束している、その資産をコントロールするチーム」が存在するかどうかだと続けた。
プロジェクトは時間とともに分散化し、多くの利害関係者を獲得できることは確かだ。メッサーリ(Messari)のリサーチャー、アリー・ザック(Ally Zach)氏は、3つの重要な指標を追跡するガイドとして「Navigating the Memecoin Mania」(ミームコインブームを生き抜く)を書いた。
その3つとは「保有者数の変化率、毎日の新規購入者とリピーター購入者の比率、そして購入者のタイプ」だ。
特に、3000人という「臨界しきい値」は、プロジェクトが勢いを増していることを示すものになり得る。次の段階は、新規バイヤー数が既存トレーダー数を上回ることが特徴で、通常、保有者数は1万に跳ね上がり、極端な市場変動なしにクジラ(大口保有者)の関与が見られるようになる。
2013年にローンチされ(その後、生みの親によって放棄され)たドージコインはかなり分散されており、その開発活動はネットワークを安全に使用し続けるために不可欠だ。
最大のドージコイン保有者がトークンの流通量の22%以上を所有している一方で、700万近くのドージコイン保有アドレスも存在する(ちなみに、ソラナを保有するウォレット数は900万)。
開発を調整する非営利のドージコイン財団が存在する一方で、このプロジェクトはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)時代に立ち上げられたため、多くの人々が自宅でマイニングしてトークンを稼ぐことができた。現在出回っているミームコインは、早くから参入した少数の大口保有者によって支配されている。
法的に未解決の問題
同様に、これらは虚無主義的なジョークやパフォーマンスアートであるとか、実際に利益を期待することはできないといった議論は、法的な援護にはならない。
「儲かる可能性は低い、あるいは存在しないかもしれないが、それでも人々が買っているのは、少なくとも人気が出て、価値が上がる可能性があるからだ」とフライ氏は述べた。
とはいえ、コロンビア大学ビジネススクールのオースティン・キャンベル(Austin Campbell )教授は、プロジェクトが「Dog Co.」と名乗り、ミーム的なロゴを持つだけで、証券規制当局のルールに抵触することなく合法的なビジネス活動を行うことはできないと主張している。しかし、ニュアンスを持たせる余地はある。
「こうしたものが証券である理由についてのSECの理論は、かなり明確に行き詰まっている(例えば、単に商品を買うだけでは十分ではない)」とキャンベル氏は述べた。トークンが証券に似ている、あるいは「投資契約」に基づいて発行されたからといって、その原資となるトークンが証券であるとは限らない。法的には未解決の問題だ。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/224238/
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Source: 仮想通貨情報局