盛り上がっているワールドカップ。1次リーグ突破にむけた運命の第3戦の相手は、すでにグループリーグ敗戦が決まっているとはいえ、もともとH組でのFIFAランキング最上位のポーランドとなります。
ヨーロッパの一国として、知名度はそれなりに高いポーランドですが、日本との関係がそれほど大きいわけではなく、通貨・経済などはピンとこない人も多いのも事実。
せっかくですので、ポーランドの経済とその通貨についてみてみましょう。
ポーランドは2004年にEUに加盟していますが、ユーロには参加しておらず、通貨ズロチを維持しています。
実は中東欧の優等生とまで言われるほど経済的には好調なポーランド。
EU加盟をてことして、EU諸国との貿易などで経済成長を続けており、リーマンショックや欧州債務危機の際にも、他のEU諸国がマイナス成長に陥る中で、プラス成長を続けて、中東欧随一の経済大国となっています。
輸出入相手はEU加盟国が中心。輸出は80%がEU向け、中でもドイツ向けが他の国を圧倒しており、27%に上ります。輸入も28%がドイツからと、隣国ということもあり、ドイツとの関係がかなり密接になっています。
(数字は2016年、IMF調査)
どのようなものが輸出されているかというと、一番が自動車部品。その他は自動車、自動車シート(部品という場合基本は機械部品になります)など、自動車関連が主体。実は輸入も原油などのエネルギーを除くと自動車部品が一番と、ドイツ自動車産業と結びついた経済構造となっています。
こう書くとピンとくる方もいるかもしれません。原油を除いた米国とカナダ、要は五大湖周辺の状況と比較的似ており、国・通貨を超えた産業の結びつきが広がっています。
その通貨ズロチは比較的安定した推移。
ユーロズロチは4.0-4.5の大きなレンジの中での推移が続いています。
直近ではややズロチ安も4.3台とレンジ内での推移。
財政には現状では問題なく(現政権が財政支出拡大路線をとっており、今後についてはやや警戒感も)現時点での経済成長・雇用市場なども比較的安定して、落ち着いた相場を支えています。
最大のリスクは米国の通商問題。米国への直接の輸出は全体のわずか2%で、そこまで問題になるわけではありません(そもそも内需主導の経済構造ですし)。
ただ、上記のようにドイツの自動車産業と密接に結びついているため、米国の欧州自動車に対する関税賦課姿勢などが今後影響してくる可能性も。
この辺りは要警戒といったところです。
ちなみにズロチ円は節目の30円を割り込んでやや頭の重い展開。通商問題が落ち着くと30円台回復も期待されるところです。
minkabuPRESS編集部山岡和雅
Source: ダックビル為替研究所 | Klug クルーク