暗号資産で最も影響力のある人物 2023

今年は暗号資産(仮想通貨)業界にとって、再編と転換の年となった。FTX、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)、セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)などによる2022年のスキャンダルの後、暗号資産価格は下落し、業界は篭城モードに入って、開発、改革、コンプライアンスの向上に力を入れた。

規制当局は攻勢に出て、コインベース(Coinbase)、バイナンス(Binance)、クラーケン(Kraken)などに対して大規模な調査を開始した。リップル(Ripple)がエックス・アール・ピー(XRP)の販売をめぐって米証券取引委員会(SEC)と争ったような、長期かつ重大な意義を持つ可能性のある訴訟が終結した。

転換の1年と来年への期待

年末を迎え、業界の見通しはより明確になったように思われる。11月にサム・バンクマン-フリード氏が巨額の証券詐欺で有罪となり、賛成派も批判派も含め、誰もが次に進む準備を整えた。米議会ではいくつかの法案が提出され、欧州では4億5千万のユーザーをカバーするMiCAによる包括的な規制が施行予定となるなど、業界は今後の規制の明確化に期待している。

当記事執筆時点で、ビットコイン(BTC)価格は昨年の同時期から2倍以上に上昇し、他の多くの暗号資産も上昇している。

伝統的金融(TradFi)はデジタル資産にこれまで以上に真剣に向き合い、かつてないほどステーキングや現実資産(RWA)のトークン化に関与している。

ビットコインETF(上場投資信託)は来年早々にも承認される可能性が高く、そうなれば数百万以上の人々が暗号資産市場に参加することになり、業界はついに正真正銘のメインストリームに加わる。

CoinDeskの「暗号資産で最も影響力のある人物」シリーズは、主要なストーリーやテーマを決定づけたと思われる50人のプロフィールを紹介し、2023年の暗号資産を伝えるものだ。

※50人のリスト(英文)はこちら

ご想像の通り、規制、法案の制定、政策提言の分野で活躍する多くの人物を取り上げている。例えば、SECのゲーリー・ゲンスラー委員長はトップ10に入っており、メッサーリ(Messari)のCEOで今年ワシントンD.C.で暗号資産の主要な代弁者となったライアン・セルキス(Ryan Selkis)氏も入っている。

また、ビットコインにデータ・インスクリプション(およびデジタルコレクティブ)をもたらし、物議を醸した「Ordinals Theory」の生みの親であるケイシー・ロダーモー(Casey Rodarmor)氏、レイヤー2「Base」を立ち上げ、デリバティブで強力な動きを見せたコインベースCEOのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏、フィンテック大手ペイパル(PayPal)によるイーサリアムベースの米ドル連動型ステーブルコインの取り組みを率いたホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ(Jose Fernandez da Ponte)氏もトップ10入りした。

同様に、テザー(Tether)の新CEOであるパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)氏は、そのステーブルコイン事業に対する批判にもかかわらず、(ビットコインに次いで)間違いなく最も成功した暗号資産を率いた彼のレジリエンスが評価されて選出された。

アラメダ・リサーチ元CEOキャロライン・エリソン氏をイメージしたNFT画像(Michael Kutsche)

進むTradFiとの融合

リストには他にも、NFTやDeFi(分散型金融)からハードウェアやCBDC(中央銀行デジタル通貨)まで、幅広い業界のサブセクターからの名前が含まれている。このリストには、レジャー(Ledger)のパスカル・ゴーティエ(Pascal Gauthier)CEOのようなおなじみの名前と、TradFiからの新顔が混在しており、両者の融合が進んでいることを反映している。

かつてはビットコインを否定していたブラックロック(BlackRock)のCEO兼会長のラリー・フィンク(Larry Fink)氏も、今ではウォール街の他の金融大手と並んでビットコインETFを立ち上げようとしていることで選出されている。

また、米CoinDeskのイアン・アリソン(Ian Allison)記者は、バンクマン-フリード氏が経営していたアラメダ・リサーチ(Alameda Reseach)のバランスシートの不正をスクープし、FTXの破綻とバンクマン-フリード氏の裁判のきっかけを作ったことを評して選出された。以前は誰も信じていなかったかもしれないが、今年はジャーナリストが暗号資産インフルエンサーとなった。

米CoinDeskは、このシリーズのために10人の一流アーティストに10点のオリジナルアートワークを依頼した。

米CoinDeskがその年に暗号資産を動かした「最も影響力のある人物」リストを発表するのは今年で10年目となる。振り返ってみると、以前のリストに選ばれた多くの人物が、いまだに名声を保っている。

イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、著名な暗号資産知識人であるバラジ・スリニバサン(Balaji Srinivasan)氏と同様に、リストに3回登場している。2015年と2016年に選出されたブライス・マスターズ(Blythe Masters)氏、Theymos、アダム・ルドウィン(Adam Ludwin)氏らは、最近ではあまり目立たなくなっている。

リストがすべての人を満足させるものではないことは承知している。今年選ばれてもおかしくなかったのに、選ばれていない人はたくさんいる。それについては容赦願いたい。

「最も影響力のある人物」シリーズは、何よりも業界のトレンドやテーマ(そしてそのテーマに関連する人々)を伝えることを目的としている。実際の影響力を網羅するものには決してなり得ない。これはスナップショットとしての意味合いが強く、決してランキングではない。トップ10を選ぶ以外、名前に順番をつけることはなく、概ねランダムに並べている。

レジャーのパスカル・ゴーティエCEOをイメージしたNFT画像(Coldie)

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/210937/ 

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