米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月の議事要旨を発表したのと同じ日、世界最大の資産運用会社のCEOがテレビに出演し、ビットコインがいかにして「金融に革命を起こす可能性があるか」について語った。
この文章は不思議なことに、私のタイプミスではない。
そう、ブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは7月5日、Fox Businessのスタジオでインタビューに応じ、ビットコインを絶賛した。フィンクCEOは、2017年には、ビットコインは「マネーロンダリングの指標」と語った人物だ。
フィンクCEOはさらに踏み込んで、インフレヘッジや地政学的リスクヘッジをめぐる議論において、ビットコインは「どの通貨にも基づかない国際的資産であり、(中略)人々が代替オプションとして活用し得る」と述べた。
一方、5日午後に発表されたFOMC議事要旨はタカ派的と解釈されている。つまり、雇用の増加は堅調で、GDPは(小幅ながらも)成長しているものの、まだ雇用が多すぎ、インフレ率も高すぎるということだ。より制限的な金融政策が見込まれるなか、市場は議事要旨を好意的には受け止めず、5日の大半は下落基調となった。
何が一大事なのか?
メディアには、ブラックロックと同社が申請中のビットコインETF(上場投資信託)、そして競合他社が申請中のETFなどに関するニュースが溢れかえっている。うんざりするほどだが、これには大きな理由がある。これは、ストーリーの劇的な変化だ。
ビットコイン支持者は長年、ビットコインを「デジタルゴールド」または「ゴールド2.0」と呼んできた。金融業界で最も権威ある人物の1人がそのように形容したことは意義深い。インフレヘッジがインフレヘッジとして扱われるのは主に、私たちが集団でインフレヘッジであると言い、その資産の供給は人為的かつ気まぐれに増減できないからだ。
しかし、それだけではない。以下がフィンクCEOのインタビューの内容だ。
「インフレに対するヘッジ、国の厄介な問題に対するヘッジ、あるいは通貨の切り下げに対するヘッジビットとしてゴールドに投資するのではなく、明確にしておくと、ビットコインは国際的資産であり、特定の通貨に基づいていないため、代替手段として利用できる資産となり得る」
これはクレイジーなことだ。フィンクCEOは完全にビットコイン強気派になってしまった。
これは「デジタルゴールド」のストーリーに、さらに別のストーリーを加えることになる。
ビットコインは国家を持たない通貨だ。レバノンのような国々で見られる通貨切り下げのような事態に対してヘッジとして使える、中立的な通貨。繰り返しになるが、これらは新しいストーリーや論点ではない。しかし、ブラックロックにとってはそうだ。前述したように、これは完全な方針転換だ。
当然ながら、私たちは皆、ブラックロックがなぜ手のひらを返したのかを知りたがっている。(ブラックロックが単に、ビットコインETFを発行して儲けたいと考えているということとは別に)そこには簡単な説明がある。
経済の先行きを懸念する顧客たち
ブラックロックの顧客は現在、経済に対して臆病になっている。インフレは暴走し、金利は20倍に上昇。銀行がいくつも破綻し、差し迫った景気後退の懸念もある。
保険会社、年金基金、富裕層などをはじめとする大口顧客は、マクロ経済環境の悪化に伴い、永続的な株式の強気相場がついに急停止するかもしれない時期に入ったことで、自分たちの資金を守ることに高い関心を持っている。
そして、資産を守ることについて議論が交わされるときには、その歴史を考えれば、ゴールドが検討されることは間違いない。明らかにビットコインも同様だ。ビットコインが絶対的で証明可能な希少性を持つインフレヘッジとして機能するという考え方は、ビットコイン信奉者たちによって、ひとつの可能性として人々の頭に叩き込まれてきた。
また、ウクライナで戦争が勃発したことで、地政学的リスクから身を守る必要性も前面に出てきた。中立的なビットコインは、そこでも役に立つ可能性がある。こうして、ブラックロックがビットコインに真剣に取り組みたくなるほど、多くの顧客がビットコインに言及した。
顧客は常に正しく、顧客はビットコインを望んでいるようだ。ブラックロックとフィンクCEOは顧客を否定できるだろうか? 10兆ドル規模の資産運用会社になれたのは、顧客の言うことを聞かなかったからではないだろう。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/193087/
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Source: 仮想通貨情報局