Ordinal Inscriptionsについて最近、多くの騒ぎや疑問が沸き起こっている。
Ordinal Inscriptionsとは一体何か? シンプルに答えるなら、ビットコインブロックチェーンで発行できるNFT(ノン・ファンジブル・トークンだ。
しかし、従来のNFTとは違う。例えば、変更可能なオフチェーンのメタデータに依存しているイーサリアムブロックチェーンのNFTとは異なり、OrdinalsのNFTは、すべてのデータをオンチェーン上に直接記録できる。
ソフトウェアエンジニアのケイシー・ロダモア(Rodarmor)氏がイーサリアムNFTは不完全と考え、Ordinalsプロトコルをローンチしたのは、イーサリアムNFTのこの欠点が理由だ。
OrdinalsのNFTがビットコインコミュニティに重要な変化を引き起こし、NFTを支えるテクノロジーを改善すると考えている人は、今の展開を好ましく思っている。
それでも、私が多くの人から受ける質問は、要するに「ビットコインにとって良いことなのか? 悪いことなのか?」「ビットコインの使い勝手にダメージを与えるのか?」だ。
変化に反対?
Ordinalsがもたらすメリットの可能性にもかかわらず、ブロックスペースの「有効活用」なのかどうかについて、多くの議論が巻き起こっている。
OrdinalsのNFTが作られれば作られるほど、ビットコイン取引のコストが上がるという問題が生じている。Ordinalsがビットコインブロックチェーン上に、金融とは関係のない余分なデータをもたらし、オンチェーンでの承認時間を遅らせるからだ。データには、画像、音声、ゲームなどが含まれる。
Ordinalsを快く思っていない人たちは、ビットコインがスケーリングし、世界全体に普及するパワーを阻害すると考えている。
NFTをビットコインブロックチェーンに記録することは、通貨というビットコイン最大のユースケースを脅かすかもしれない。
Ordinalsは、ビットコインネットワークの中にある1ビットコインの1億分の1を表すサトシ(sats)の代替可能性に影響を与える。すべてのサトシが平等でなければ、通貨として重要な性質を失ってしまうことになる。
Ordinalsは、通貨としてのビットコインの価値を変えてしまう可能性がある。例えば、収集する価値のある希少なコインを考えてみてほしい。1セント硬貨は、1セントの額面価値を持つが、デザインや発行年によっては、収集家の間では1ドル以上の価値を持つ。
個々のビットコインは同じ価値があるとされるべきかどうかをめぐる議論が今まさに巻き起こっており、十分に理解する必要がある。
ビットコインは通貨であり、世界のほとんどの人に影響を与える、最大かつ最重要なユースケースだ。だからこそ私は、Ordinalsやそれ以外の現在知られている他のユースケース、これから登場してくるユースケースはニッチなものにとどまると考えている。
私は今のこの時期をエキサイティングと考えているが、多くのブームと同じように、衰退していくだろうとも思っている。多くの人がビットコインのブロックスペースを使いたいと考える用途が、必ずしもOrdinalsにはならないと考えている。
ビットコインは通貨だ。ビットコインプロトコルの変化はどんなものであれ、ゆっくりと体系立ったものであるべきだと考えている。
最終決断は市場
私がしばしば耳にする、根拠がないのに大袈裟な主張の1つは、ビットコインは進化したり、変化することはない、というものだ。
その主張には、わずかばかりの真実が含まれているだろうか? もちろんそうだろう。次なるグローバル通貨システムを構築しようとするときには、シリコンバレーでよく聞かれたモットー「素早く行動し破壊する」ことはしない。それは、ベンチャーキャピタルから資金を得るスタートアップのテック企業に任せておけば良い。
とはいえ、変化の必要性とメリットを示すようなアップグレードもこれまでに存在した。例えば、ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)は、ビットコインコマースや日常的な利用を加速させることができる。
Ordinalsもビットコインブロックチェーンを変化させようとする試みの一例だ。「タップルート(Taproot)」と呼ばれる最新のアップグレードによって、Ordinalsによるビットコインブロックへの書き込みが可能になった。
ビットコインの素晴らしい点は、それがパーミッションレス(非許可型)であり、究極のフリーマーケットであること。これが変化を育む。
同時にOrdinalsに対して、需要と価値があるのかを決めるのも、自由で開かれた市場だ。ビットコインのパーミッションレスという性質によって、こうした競争が可能になる。
個々のユーザーが、Ordinalsがビットコインの世界における主力になることを望めば、Ordinalsは存続するかもしれない。ビットコインはコンセンサス(合意)ルールによって支配されている。だからこそノードの実行がきわめて重要で「ブロックサイズ戦争」はビットコインにとって根本的なものだった。
Ordinalsはビットコインに対する攻撃ではないが、ハードフォークやソフトフォークに関する議論が始まる可能性もある。Ordinalsから生じる結果として最も痛みを伴い、困難なものはハードフォークだろうと考えている。
投資家にとっての重要ポイント
ビットコイン投資家にとって、Ordinalsに関して最も重要な点はビットコイン固有の性質をめぐるものだ。他の暗号資産のすべてではないがほとんどは、分散化が名目だけなのに対して、ビットコインは真に分散化している。
そうした分散化した性質のために、開発者たちはビットコインの現行のルールセットを自由に変更できる。需要が存在し、変更がビットコイン保有者やコミュニティの中での亀裂につながるとしたら、投資家は自らの資産をどうするかの選択を迫られる。
ハードフォークが実施されることになれば、新しいトークンを保有するか、売却するか、購入するかの決断を下すことになる。
恐ろしいシナリオのように聞こえるかもしれないが、Ordinalsがビットコインの世界で、それほどの摩擦や対立を生むとは考えていない。仮にそうなったとしても、受け身のスタンスで、市場の力に任せておくこともできる。
開かれたパーミッションレス・プロトコルであるからこそ、このような事態が起こり得るのだが、それは長期的に見れば健全なことだ。
「善」か「悪」かという意見は関係なく、Ordinalsについて議論が起こるのは良いことだ。ビットコインがレジリエンスや堅固さを試すことができるからだ。ビットコインが世界的な普及に向けて進むにつれて、このような議論は続いていくだろう。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/175545/
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Source: 仮想通貨情報局