ビットコイン、2万ドル突破を読み解く
17日の仮想通貨市場で対米ドルのビットコイン(BTC)市場が歴史的な節目「2万ドル」を突破、過去最高値を再び更新した。
3月に新型コロナウイルスに伴う経済危機で急落したビットコインは、①供給量が減少する半減期、②コロナ下経済状況のヘッジ資産(金市場と相関)との見方、③DeFiバブルで勢いを加速、④企業のBTC購入事例から、機関投資家の資金が流入。⑤PayPalの参入も含め、個人投資家を中心とした投機的な取引も増加した。
各国の金融緩和を背景とした空前の金余りが金融市場を下支えする中で、ビットコイン市場も値動きの良さもアピール材料となった。資金の行先を探す機関投資家も増加する中で、ビットコインが投資先として機能することが分かったことも、金融関係者の関心を高めた。
2万ドル突破後の17日は、世界のマスメディア各社がビットコインを報じるなど、バブル崩壊後から撤退していた一般投資家の再参入にも期待感が高まり、2万1000ドルを超えるなど騰勢をさらに強めた。専門家らもすでに3万ドルを意識する見方を示しており、市場に乗り遅れまいとするFOMOで相場が走るシナリオにも注目が集まる。
まさに、ここから上の新高値は、未知の領域だ。いわゆる真空地帯には仮想通貨史上「上値抵抗線」が存在せず、青天井となる可能性もある。一方で、大口の利食いで急落するおそれもあり、ボラティリティ大幅上昇による乱高下には注意したい。
2万ドル突破前後で何があったか?
2021年に差し掛かる中で、ビットコイン市場では、投資会社のBTC取引に始まり、銀行のカストディ(仮想通貨の保管・管理業務)参入、リファレンスプライス含む金融機関のインデックス提供と市場の成熟に向けた動きが加速した。
インデックス提供については、Cboeのほか、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが2021年から指数算出の開始を予定しており、実現に至らなかったビットコインETFなどの金融商品の誕生も改めて実現が視野に入る状況にある。
一方で、2万ドル突破前に揉み合う値動きが続いたビットコイン市場では、どのような動きがあったのか。時間軸を短期間(14日〜17日)に見た変化を紹介する。
企業・機関投資家のBTC運用
企業等がビットコイン運用に関心を持ち始めたのは、コロナショックから2ヶ月後に見られたポール・チューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)氏のBTC購入などに始まる。
当時、半減期前の5月12日。ヘッジファンド業界のパイオニアでもあるチューダー・ジョーンズ氏がインフレヘッジとしてビットコインに投資する考えを伝えた。
チューダーインベストメント(Tudor Investment Corp.)が管理するチューダーBVIグローバルファンド(Tudor BVI Global Fund)を通じて、ビットコイン先物を最大「1桁台前半のパーセンテージ」で保有する可能性を示唆。自身でもビットコインに資金を投じたことを明かした。
ヘッジファンド界においてレジェント的な存在にある同氏の参入を機に、ヘッジファンドの参入や、投資運用会社等の機関投資家の参入が続いた。
この動きは、ビットコインが2万ドルを超えた17日前後でも2件見られている。
1つ目が、イギリスにある大手資産運用企業Rufferのビットコイン購入に関する情報開示(記事)。2つ目が、米国の投資企業One River Asset Managementが新設したファンドを通じて2021年までに1000億円規模の資金をビットコインとイーサリアムで運用する計画を伝えたことだ(記事)。
Rufferは、ビットコインが、世界の主要通貨の価値低下に対する保険にはなり得るとして、金に投じていた資金ポートフォリオの一部をビットコインに移す考えを示した。
一方のOne Riverは、「この新たな資産クラスへの資金アロケーションは複数の世代間に渡って長期目線で投資するものだ」として、長期目線で資産を購入する考えを示している。
ビットコインが米国トレンド1位に
また、個人投資家の関心度も飛躍的に上昇した。
米ドル建の大台を突破したことを受け、米国のツイッタートレンドでは、2位にツイート数で大差をつけて1位にランクインした(16日23時時点)。一夜明けた17日もトレンドでトップ入りしており、「#Bitcoin」に関するツイート数は15万ツイートを超えている。
同現象は、日本円建200万円を突破した際も、日本で見られた。節目を迎えたことで、マスメディアも大きく報じたことで、市場の関心が急速に高まったことが一因になると言えるだろう。
BinanceとCoinbaseがサイトダウン
また、2万ドル突破前後で取引が活況になる中で、海外大手取引所では、複数のサイトダウンが確認されていた。
最初に取引所システムがダウンしたのが、グローバル取引所最大手のBinance。続いて米国最大手のCoinbaseが続いた。
これらのサーバーダウンは、主要取引所であるほど取引額が大きいことから、大口の仕掛けポイントにもなり得るとして、警戒感が高まるポイントになる。
実際に、過去のサーバーダウン中に、市場が大きく売られて、取引所復旧後に更に下落する事例が見られていた。
最も有名な事例は、2017年の11月29日。仮想通貨バブルの中で、ビットコインが1万ドルを超えて1万1000ドルまで到達したあとに、CoinbaseとGemini、Bitstampなど主要取引所のシステムがダウンした。
ビットコイン価格はそのタイミングで大きく売られ、フラッシュクラッシュを伴い一時9000ドルまで高値から20%近く下落した。
今回も2万ドル突破後に同様の事例が見られたことから、市場の警戒感は高まった格好だ。
大手機関投資家は強気予測
また、マスメディアの報道では、ビットコインの強気予想が聞かれる。
総額2,600億ドル超の運用資産を有するグローバル大手資産運用企業グッゲンハイム パートナーズの首席投資責任者Scott Minerd氏がビットコインのあるべき価格について企業としての観点を語った。
ブルームバーグTVに出演したMinerd氏は、グッゲンハイムのファンダメンタルズ分析に基づき、ビットコインのターゲティング価格が40万ドル(4000万円)になると指摘。現在の価格の20倍弱の水準となるという強気な予測の背景には2つの要素=「希少価値とゴールド価値との関係性」があると説明した。
希少価値とは、ビットコインにおける「上限のある発行数」と中央銀行主導の金融緩和による「法定通貨価値の希薄化」に関連するものだ。ゴールド価値との関係性としては、国内総生産を占めるゴールドの価値の割合に関係するとした。具体的には、「ビットコインは、ゴールドの性質に似ているが、トランザクションのバリューがゴールドよりも非常に高い」と指摘している。
グッゲンハイムは11月に、グレースケールのビットコイン投資信託GBTCに最大5.3億ドルを投資する権利を申請している。また、Minerd氏は自身のビットコイン購入を行なっており、ビットコインに10,000ドル帯のタイミングで、一部の資産を充てていたことを公表している。
参考資料:https://coinpost.jp/?p=207099
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Source: 仮想通貨情報局