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仮想通貨Bancor Protocol 超国家通貨を基盤とする「新たな価格決定アプローチ」

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「Bancor Protocol(バンコール・プロトコル)」が2017年6月、イーサリアム(Ethereum)のネイティブトークンETHを用いたICOにおいて、開始からわずか数時間で1.53億ドルという記録的な資金を調達した。

ICOで最も利用されている標準的なイーサリアム・トークン「ERC20」と交換可能な「スマートトークン」を用いて、様々なトークンを簡単に交換できるように作られているのが特徴で、自動で価格調整も行う。「超国家的通貨」の理論にインスパイアされたという「新たな価格決定アプローチ」の核心に迫ってみよう。

マクロ経済学の生みの親が提案した超国家通貨「Bancor」

Bancor Protocolの基盤となった「Bancor」とは、1940年代初頭に次の二人の経済学者によって提案された超国家的通貨だ。一人はマクロ経済学の提唱者であり、「20世紀における最も重要な人物の一人」とされるイギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズ男爵。もう一人は、そのケインズ男爵に師事していたドイツ生まれでイギリス国籍の経済学者エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハー氏だ。

「Bancor」は、第二次世界大戦後、混乱に陥っていた国際経済市場の安定化を図る目的で発案された。提案書の中では、「全世界共通の通貨で決済を行う、国際清算連合(ICU)」の設立が提案されている。この共通通貨の仮名が「Bancor」と名付けられた。

「Bancor」は、世界共通の資産価値を持つ「金(ゴールド)に匹敵する」もので、「イギリス連邦(British Commonwealth)、アメリカ合衆国及びICU加盟国間で取引される」ことを想定したものだ。そして、すべての取引は、各加盟国が所有するICUの専用口座を通して行われる。

Bancor取引では各国に借方残高の上限が設けられており、これは一部の例外を除いて、過去3年間における輸入量・輸出量に基づいて算出される。公平性を保つために、加重平均値を考慮に入れ、上限の見直しが毎年実施される。

各四半期ごとに残高が検証され、超過赤字・黒字分には年間1%の利子を支払う義務が生じる。ICUから融資を受けることも可能だが、輸入量が輸出量を超えた場合にのみ許可される。このように各国のBancor口座の残高を調節することで、国際経済の安定化を合理的に図ることが期待できる。

ただし、通貨とはいうものの、本来の目的が「国際経済の安定」であるため、個人・企業間による所有や取引、貯蓄は許可されていない。国家間決済システムを通した国際貿易収支調節の目的に用いるなど、あくまで「国際的な会計帳簿の単位」となる想定である。

その手段として、中核となる「各国の中央銀行のための中央銀行」の役割を果たす「ICU(国際清算同盟)」という総合機関を設ける。すべての国際貿易は、このICUを経由し、Bancor建てで清算されるという仕組みだ。

従来の銀行決済で用いられている「当座貸越」を応用し、限度額は過去5年の貿易収支平均の50%と設定されており、超過赤字・黒字分に利子を支払う義務が生じる。黒字でも利子を支払うという点は腑に落ちないが、両方から利子を徴収することで、Bancorの意図する国際貿易の収支調節が実行される。

バランスを取るために、赤字となった国は対Bancorで自国通貨を引き下げ、輸出を増やして輸入を減らす。黒字ならばその逆だ。それでも調節されない場合は、黒字超過分が徴収され、その他加盟国の支援・救助活動などに利用される。

取引価格を自動決定し、市場の流動性を維持する

ICOの記録を塗り替えた「Bancor Protocol」は、いまだ実用化に至っていないBancorのコンセプトに基づいたプロジェクトだ。

「スマートトークン」と呼ばれるBNT(Bancor Network Token)を利用して、取引価格決定を自動的に行うことで、利用者が直接、現在価格で売買を行える環境作りが可能になる。仮想通貨市場の流動性を維持することが、Bancor Protocolの最終目的だ。

わかりやすく説明するために、「Bancor Protocol」で期待できる潜在的な6つのメリットをホワイトペーパーから抽出してみる。

1.「継続的流動性の維持」 誰でも時間に左右されず、スマートコントラクトを通して売買が可能
2.「スプレッドしない」 従来の仮想通貨取引とは異なり、売り手と買い手の提示価格に差が生じない
3.「カウンターパーティーのリスクがない」 スマートトークン間の変換には、デポジットの入金が不要
4.「変動性が低い」 スマートトークンの確保により市場深度が生まれるため、価格変動が抑制される
5.「下位互換性がある」 標準的なイーサリアム・トークン「ERC20」に対し、流動性と非同期の価格発見性をもたらす
6.「価格差を予測」 価格差をあらかじめ算出し、自動的に現在価格に組み込む

つまり、BNTスマートトークンを一言で表すと「仮想通貨を標準化するためのトークン」ということになる。イーサリアムのスマートコントラクトを基盤にしており、単一あるいは複数のトークン取引の際、媒介の役割を果たすいわば中間トークンの位置付けだ。

プロトコルを通して、このBNTスマートトークンによるネットワークを構築すれば、取引相場で頻繁に生じる「売り手と買い手の不一致」などの問題解決に貢献する。その結果、売買取引のバランスがとりやすく、継続的な流動性を維持できるというわけだ。

トークンの価格、供給量、準備金の割合から適正価格を算出

このアプローチの必然性を理解するには、その背景を認識する必要がある。従来の取引市場では、売り手と買い手の要求が一致しない限り取引が成立しない。たとえばビットコイン(BTC)を7,500ドルで売却したい場合、その価格を提示している買い手を見つけなければならない。

当然ながら、取引規模が小規模な資産や通貨ほど、取引成立のチャンスは少なくなる。売り手や買い手の数が少ないため、偶発的に要求が一致する確率が低くなるからだ。こうした傾向はすでにマイナーなトークンに顕著に見られ、流動性確保の壁が将来的な発展を妨げている状態だ。今後トークンの種類が増えるにつれ、さらに流動性は悪化すると予想される。

Bancor Protocolは、まさにこの点の解決に向けて取り組んでいる。「取引市場で生じる売り手と買い手の不一致」を、「数字的アプローチによる価格決定の自動化」で解決するという試みである。

「効率性」への疑念浮上で価格が半分に急落

プロジェクトをリードするのは、イスラエルを拠点とするBprotocol Foundationだ。ブルームバーグ・ビジネスウィークの「世界のトップ為替トレーダー」に選ばれたこともあるベルギーの経済学者、ベルナルド・リエター氏が会長を務め、イスラエルで急成長の動画共有サイト「MetaCafe」の設立者、エヤル・ヘーズゾク氏、ソーシャルゲーム開発企業「Mytopia」のガイ・ベン・アルツィCEOなどが脇を固める。

著名VC投資家、ティム・ドレイパー氏がアドバイザーとして参加している点でも注目を集めている。同氏にとっては、同じくICOで2.3億ドルを調達した次世代ブロックチェーン「Tezos」と並ぶ、ブロックチェーン・プロジェクトへの参加だ。

しかしここへきて、ICO熱を冷却させかねない不穏な空気が流れ始めている。ニューヨーク州のコーネル大学コンピューター・サイエンス科のエミン・ガン・シラー准教授をはじめとする一部の専門家が、疑念をあらわにしたのだ。

これを機に、8月31日では3ドルを超えていたBancorの価格が、11月初旬には1.8ドル前後まで下落している。時価総額は約1億3,000万ドルから8,000万ドル弱まで落ち込んだ(Coin Market Capデータ)。

Tezosのアドバイザーも務めるシラー准教授は、「Bancorが採用している価格決定の方程式は、従来のマニュアル手法よりも非効率的」と、いずれ「準備金」を食いつぶす可能性を指摘している。ドレイパー氏などの支援者はこうした批判をものともせず、「Bancor Protocolはまだ初期段階であるため、世間から理解を得にくい」とポジティブに構えている。

Tezosに至っては調達資金をめぐる内部抗争から、Tezosトークンの取引開始が大幅に遅れており、ついには裁判沙汰にまで発展している。トークン発行は2018年2月に延期発表があったものの、訴えを起こした投資家達は「だまされた気分だ」と語った。

こうした懸念が、今後どのような影響を及ぼすかは、現時点では誰も予想がつかない。現在は開発者を巻き込んだ論争になっている。いずれにしても「Bancor」および「ICO」は、今後もしばらく仮想通貨コミュニティーのキーワードとして注目されるに違いない。

参考資料:https://innovation.mufg.jp/detail/id=237 

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Source: 仮想通貨情報局

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