米国の投資銀行や運用ファンドなど大手金融機関は、ビットコイン(BTC)をはじめとした暗号資産にどのようなスタンスをとっているのでしょうか?暗号資産市場の機関投資家にとってのインフラストラクチャーである規制された取引所や先物市場、カストディなどは3年前と比較して大幅に整いつつあります。そういった状況を背景に米国の主要な金融機関の動向をまとめます。
フィデリティ(Fidelity)
世界最大運用企業であるフィデリティ(Fidelity)は、2018年にFidelity Digital Asset Services(FDAS)という新会社を立ち上げて、暗号資産分野に取り組むことを発表しています。
既に顧客への暗号資産売買の需要に応えられるようにしていますが、その売買ニーズを満たすためにさまざまな出資戦略を用いています。同社はレンディングプラットフォームのBlockFi、ブロックチェーンを分析してマネーロンダリング対策に活用するサービスであるElementus、機関投資家向け暗号資産の定量分析ツールであるFlipside Crypto、OTCデスクのBC Technology Groupにそれぞれ出資しています。
これによって有利な価格発見や顧客機能にレンディングやアセットを担保にしたローン提供などさまざまな提案ができるのではないかと推察できます。また、同社はマイニングにも積極的で、2019年8月にはBlockstream社と協業してマイニングに参入することを発表しました。その後も、2020年に上場しているカナダのマイニング企業Hut8hの株式の10%を取得するなど積極的です。
CME グループ
CMEは2020年1月にビットコインのオプション取引を開始するなど変わらず商品の拡充をしています。既にBakktの先物より存在感を示しています。
2020年に入りCMEの先物取引市場の出来高増加は限定的ですが、引き続き相場に影響を与える先物市場となっています。
JPモルガン
JPモルガン・チェースは、ジェミニ(Gemini)とコインベース(Coinbase)に対して銀行口座の開設を承認したことをウォール・ストリート・ジャーナルが報道しました。これまで暗号資産取引所はこのような大手銀行で口座開設ができませんでしたが、今回、同銀行の態度が大きく変わった出来事として報道されています。
また、2020年2月に暗号資産とブロックチェーンに関連するレポートを公開しています。レポートではビットコインについてゴールドとの類似性に触れて、法定通貨のインフレーションに対するヘッジになる可能性について言及されています。
一方で、現時点でJPモルガンは、顧客にビットコインの投資を勧めることはしていません。ある資産管理会社のCOOが、顧客がJPモルガンとゴールドマンサックスのアドバイザーにビットコインへの投資を反対されたことをツイッターで報告しています。
これら金融機関は、ビットコインに否定的な態度を軟化はさせたものの、決して積極的でないというのが正しい実態でしょう。
ゴールドマン・サックス
ゴールドマン・サックスは、2020年5月に顧客向けにゴールドと暗号資産に関する会議を行いました。35ページで構成された資料のうち7ページでビットコインへの言及がありましたが、会議でビットコインについて触れられた時間はわずか5分程度でした。
資料の中でゴールドマン・サックスは、ビットコインのような暗号資産は大きな関心を集めているが、資産クラスではないと指摘しています。現時点では、これがゴールドマンサックスとしてのスタンスであることが分かります。
引き続き金融機関の動きには注視
このように概観すると、金融機関で暗号資産に積極的なのは、フィデリティとCME グループなど一部に限られます。JPモルガンとゴールドマン・サックスなどについてはこの分野で大きい動きは現段階で見られていません。今後、他の金融機関が態度を変えるかどうかについては注目されます。
また、下記のレポートでは金融機関に限らず、米国での暗号資産関連の企業と規制の方向性についてを幅広く概観しています。
参考資料:https://coinchoice.net/how-us-financial-institutions-attitude-to-cryptocurrency/
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Source: 仮想通貨情報局