インドの最高裁判所が3月に、暗号資産(仮想通貨)取引所に対する銀行規制を解除して以来、同国における暗号資産の取引量が急増している。
データサイト「コインダンス(Coin Dance)」でP2P(ピアツーピア)取引所のPaxfulとLocalBitcoinsのデータによると、同国のビットコインの取引高(P2Pベース)は7月に史上最高となった。
ビットコインの需要の拡大は、2016年の高額紙幣廃止に対する国民の反応が関係していると、インド・バンガロール市にあるテック系スタートアップ、マーリン(Marlin)のシッダールタ・ダッタ(Siddhartha Dutta)CEOは話す。
高額紙幣廃止でビットコインに飛びつく
政府の命令によって古い紙幣は突然価値を失った。ビットコインの価値は政府の気まぐれな政策ではなく、市場原理に基づくというアイデアはとりわけ魅力的に映ったかもしれない。
インドの暗号資産取引所Zebpayでのビットコイン価格は、2016年の高額紙幣廃止後の18日間で757ドルから1020ドルに急騰した。一方、アメリカでのビットコイン価格は同時期、大きく動くことはなかった。
一部のインド人投資家にとって、ビットコインは富を蓄えるための安全な選択肢であり、高額紙幣廃止やゴールドの取引禁止の可能性がもたらす不確実性を最小限にするものだった。
銀行規制の解除でさらなる需要増
2018年、インドの暗号資産市場の成長は急激に減速する。インド準備銀行(RBI)が金融機関に対して、暗号資産取引所との取引を避けるよう命じた。
今年3月、銀行への規制が解除されたことで、ビットコインに対する抑圧された需要が解放されたように見える。最近ではPaxfulやLocalBitcoinsのようなP2P取引所でのビットコイン取引はインド全土で増加している。
下のグラフが示すように、インドのP2Pビットコイン取引高は過去5カ月で2倍になっている。
Paxfulの広報担当者によると、インドは、世界で最も急速に成長している5つのビットコインユーザーグループの1つだという。Paxfulのインドにおける取引高は2019年5月の約57万6000ドル(約6160万円)から、2020年7月には897万ドル(約9億5900万円)に増加。PaxfulとLocalBitcoinsの取引高を合わせると1370万ドル(約14億7000万円)に達した。
デルタ取引所(Delta Exchange)のような小規模な取引所も成長している(デルタはデリバティブ取引所で、スポット市場ではない)。デルタ取引所のパンカジ・バラニ(Pankaj Balani)CEOは、新規顧客が前月比で倍増したと話す。
マーリンのダッタCEOは、暗号資産は接続性と高速ストリーミングを提供できるメッシュネットワークによって、農村部でも徐々に勢いを増していると考えている。これは、さらに大きな普及サイクルが始まる兆しかもしれない。
強気の暗号資産スタートアップ
強気市場は、新型コロナウイルスによる渡航規制と相まって、インドのスタートアップ企業を活気づける可能性がある。
バンガロールを拠点とする起業家、プラシャーント・バラスブラマニアン(Prashanth Balasubramanian)氏は、ライトニングウォレットのスタートアップ、ラストビット(Lastbit)の共同設立者だ。ラストビットはインド市場のみならず、ヨーロッパ、最終的には北米での展開を目指している。
「シリコンバレーはビジネスには素晴らしい場所。しかし、若い会社として我々は、インド生まれであることを活用して、効率的に運営し、創業期のコストを10分の1に抑えていく」(バラスブラマニアン氏)
ダッタCEOもインドの暗号資産市場に対して楽観視している。新型コロナウイルスによる景気後退でも、暗号資産事業は今後、インドのテクノロジー業界全体で増え続けていくだろうと述べた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/75082/
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Source: 仮想通貨情報局