2020年はじめ以来、ビットコイン(BTC)に対する機関投資家の需要は着実に増加している。20年第2四半期のデータでは、BTCへの需要が急上昇したことを示している。仮想通貨投資信託を手掛けるグレイスケール(Grayscale)によると、仮想通貨投信には14億ドルの資金が流入したという。グレイスケールでは、グレイスケールビットコイントラストが最もよく知られている。これにより、米国の機関投資家は、公開されている投信を通じてビットコインへの投資を行うことができる。
ビットコインの需要が最初の3ヶ月で着実に増加し、その後3月から6月にかけて急速に上昇した。ビットコインへの魅力が突如上がったことの1つの理由は、ビットコインの価格が3600ドルまで下落した3月の相場暴落だ。ビットメックスでは10億ドルを超える先物契約がせいさんされたが、その後の72時間で、コインベースのようなプラットフォームで、リテール市場の取引高が急増した。
機関投資家はリテールと同様、大幅な調整後、BTCを大量に購入した可能性がある。グレイスケールビットコイン投信の運用資産は、3月17日から5月13日までの間に、15億7700万ドルから30億ドルに増加した。
全体として、3つの重要なデータポイントは、ビットコインに対する機関投資家の需要が、2020年第2四半期に高まったことを示している。.
グレイスケールへの資金流入
グレイスケールの商品への資金流入は記録的なものとなった。2020年上半期の総流入量は14億ドルにまで増加した。グレイスケールの半年間のレポ―トでは次のように書いている。
「グレイスケールの商品ファミリーへの総投資は20年2Qで9億580万ドルに達した。これを文脈に当てはめると、2019年全体の資金のほぼ1.5倍であり、20年1Qの記録的な四半期に続くものだ」
グレースケールビットコイン投信は、米国と欧州がビットコインやほかの仮想通貨に関する上場投資信託(ETF)をまだ承認していないため、ビットコインの機関投資家需要を測定するための正確な指標とみなされている。米国と欧州では上場投資信託がないため、認定投資家や機関投資家の選択肢は絞り込まれている。機関投資家は、グレーススケールのビットコイン投信、カストディサービス、そして店頭取引(OTC)の中から選択することになる。ただし、カストディサービスは広く利用されておらず、ダイレクトなOTC取引はセキュリティ面での脆弱性を引き起こす可能性がある。
他のオプションがないため、機関投資家は、その高いプレミアムにもかかわらずビットコインへのエクスポージャーを得るためにビットコイン投信を利用している。グレイスケールは、2020年前半の投資の84%が機関投資家からのものであると述べている。グレースケールの商品への四半期ごとの資金流入が過去最高となり、圧倒的多数が機関投資家からのものであるという事実は、機関投資家の需要が急増していることを示唆している。
しかし、ここ数週間、グレイスケールによるビットコインの蓄積率は鈍化している。グレイスケールが米証券取引委員会(SEC)に提出する書類によると、同社は3週間にわたってビットコインを1つも購入していない。
グレースケールの広報担当者は、運営上の沈黙期間にあったためと、コインテレグラフに語っている。それはSECによって「待機期間」とも呼ばれている。ビットコイン購入の停止は一時的なものであり、機関投資家のBTC需要が停止したことを必ずしも意味するものではない。
銀行はカストディサービスを開始
2020年1月以降、アジア、欧州、米国の主要な銀行が仮想通貨のカストディサービスの準備を始めており、クライアントからのビットコイン需要が一定レベルに達していることを示唆している。1月、スイスで3番目に大きな銀行であるジュリアス・ベアは、SEBAと提携して、デジタル資産サービスを立ち上げた。
2ヶ月後、韓国最大の銀行である国民銀行は、仮想通貨カストディソリューションの商標申請を行った。国民銀行の広報担当者は、現地メディアのデジタルトゥデイに対して、この商標は2019年のAtomrigs Labとのパートナーシップに関連しているものだと語り、KBDACと呼ばれるカストディプラットフォームを開発するために導入された。現地のアナリストは、国民銀行が現時点では具体的な製品展開からはまだ遠い位置にいると分析している。
今週、スタンダードチャータードは、仮想通貨カストディソリューションを開発しているとの報道も出ている。
スタンダード。チャータードのベンチャー・イノベーション部門であるSVベンチャーズは、機関投資家の仮想通貨採用の開始を支援しようとしている。同社が仮想通貨市場に参入したことは、ビットコインと仮想通貨の需要が世界市場で高まっていることを示唆している。
金融機関の仮想通貨インフラのサポート
主要な金融機関は過去数年間、仮想通貨に対して悲観的な見方を示していた。VISA、マスターカード、ほかの金融サービスプロバイダーの幹部は、以前にビットコインと仮想通貨を批判してきた。
2017年10月、マスターカードのアジェイ・バンガCEOは、政府が義務付けていない仮想通貨は「ジャンク」だと述べた。しかし、20年7月、マスターカードは、仮想通貨カードのパートナープログラムの開始を発表した。これは仮想通貨企業がマスターカードのプリンシプルメンバーシップを通じて、マスターカードの支払カードを配布することを可能にするものだ。このプログラムは、VISAの仮想通貨への態度が3年もたたずに180度逆転したことを示している。
マスターカードのデジタル資産部門のエクゼクティブ・バイスプレジデント、ラジ・ダモダラン氏は、次のように述べている。
「仮想通貨市場は成熟し続けており、マスターカードはそれを推進し、現在のデジタル経済における消費者と企業に安全で安心なエクスペリエンスを生み出している。Wirexや幅広い仮想通貨エコシステムとの私たちの取り組みは、イノベーションを加速し、消費者に支払い方法の選択肢を広げていく」
過去に仮想通貨デビットカードを拒否したVISAは、ビットコインライトニングネットワークを手掛けるスタートアップZapと提携している。潜在的な長期戦略として、仮想通貨周辺のインフラ構築を進めるマスターカードやVISAの取り組みは、支払いと価値の保存の手段としての仮想通貨の認識の高まりを実証しているといえるだろう。
ストラテジストのリン・オールデン氏は、ビットコインに関するレポートの中で、同様の意見を表明している。
オールデン氏は、ビットコインの成長について楽観的な見方を示している。ビットコインの半減期、希少性、ネットワークへの拡大といった要因とともに、仮想通貨業界における大手企業の存在が成長の前向きな要因であると、オールデン氏は指摘している。
「コインベースのような仮想通貨の起源から成長した企業以外にも、いくつかの大手企業が既に参入している。たとえば、スクエアのキャッシュアップは、ビットコインの購入を可能にしている。今年に数百万人の新規ユーザーが流入したロビンフッドには、仮想通貨取引が組み込まれており、ロビンフッドユーザーは簡単に取引することができる」
長期的には、機関投資家からビットコインへの流入が一貫して増加し、強化された仮想通貨インフラによって補完されることになれば、ビットコインに大きな利益をもたらす可能性がある。ETFのようなグレースケールビットコイン投信の代替投資手段が登場することは、ビットコインの機関投資家需要をさらに許可する可能性がある。
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Source: 仮想通貨情報局