仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーン分野のリサーチ企業Xangleは、日本の仮想通貨市場の規制についてのレポートを発表した。日本での新規仮想通貨上場に必要な条件について分析している。

Xangleのレポートでは、2020年に上場を果たした「クアンタム(QTUM)」、「ベーシック・アテンション・トークン(BAT)」、「フォビトークン(HT)」の3つについて、上場が可能になった理由を分析。

3つに共通にする要因は「財務的な安定性を伴い、日本市場内でのコンプライアンス基準を満たしたこと」であると指摘している。

出典:Xangle

「ギャンブルDApp禁止」「匿名性禁止」

またレポートの中で、今年3月にQTUMの取扱いを開始したコインチェックへの聞き取り調査の概要も掲載している。

それによれば、QTUMが日本の取引所上場に上場できたのは、次の3つの条件を全て満たしたからだとコインチェックは回答している。

1.プロジェクトはJVCEA(の多数の質問に誠実に答えなければならない。

2.プロジェクトは、十分な流動性がなければならない。(例えば、大型取引所に既に上場された状態)

3.プロジェクトを基盤にしたギャンブルやカジノDappがあってはならない。

さらに日本の金融庁(FSA)が重視している事項として、次の4つの点があるという。

・ギャンブルDApp禁止:ギャンブル関連のDAppを支援しないということを正式に発表しなければならない。最適な方法は、各DAppに連絡を取り、日本のIP接続を遮断すること。·

・匿名性禁止:日本では、匿名性を特徴とするプロジェクトに対する規制がまだ決まっておらず、上場のためには匿名性を持たない方が望ましい。·

・活用事例:仮想資産がどのように使用されるか証明することが重要。·

・情報提供:トークンの発行者は、プロジェクトのロードマップと予算の情報を提供する必要あり。また、この件に関する多くの質問にトークン発行者が回答する必要あり。

「日本の上場規制は世界的に見て最も厳格」

またXangleでは、QTUMサイドにも聞き取り調査を行い、日本での上場のためにどのような取り組みをしたかなどを調べている。

QTUMは2017年から日本市場への進出を検討していたが、「当時はFSAはホワイトリストに新しいトークンを追加することに開放的ではなかったため、数年にわたって適切な時期を待っていた」という。19年になり、金融庁の政策に変化があり、日本進出に向けての準備を進めてきたという。

日本市場に進出を進める際には「日本のコンプライアンス要件に関しても現地の期間と積極的に協力した」と、QTUMは説明している。

また3年間にわたる安定的な運営、ネットワークの分散化・透明性、定期的な支出の発表といった点が、「日本上場に大きく役立ったと思われる」と述べている。

その上で、QTUMは日本は投資家保護のため、世界の中でも厳格な上場規制を行っていると語っている。

「日本の上場規制は世界的に見て最も厳格な方です。新規上場は、日本の規制当局が仮想資産に対して開放的な態度をとっていることを示しますが、日本当局は投資家の保護のために今も厳格な規制政策を維持しているように見えます」