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MUFG出資の米ブロックチェーン企業、160億円超のローンを証券化

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フィギュア・テクノロジーズ(Figure Technologies)は1億5000万ドル(約166億円)のホーム・エクイティ・ライン・オブ・クレジット(HELOC:Home Equity Line of Credit)の証券化を完了した。工程のあらゆる側面がブロックチェーンで管理される初の事例であるとのことだ。

同社によると、融資の組成から債券の発行、借り手の月次の支払いの回収までのあらゆることが、同社のブロックチェーンであるプロベナンス(Provenance)で運用される。これは、ほとんどのエンタープライズブロックチェーンによるプロジェクトとは異なり、技術の実装ではなく実証を行うものや、複雑な工程のほんの一部だけに触るものとは一線を画す。

このため今回の発行は、こうした事例がもはや5年前と同じ旋風を巻き起こさない今となって、分散型台帳技術(DLT)が事業にもたらす利点の見本となる可能性がある。この技術の企業による実験は、たとえ存在しても、声をひそめて「ブロックチェーン」という言葉で秘密裏に行われる傾向がある。

「もちろんブロックチェーンをベースにした証券化を試みている企業は他にもあるが、同社のプロジェクトは少なくとも特に注目に値する取り組みだ」と、今回の取引に参加していないDLx Lawのプリンシパル、ルイス・コーヘン(Lewis Cohen)氏は述べる。「証券化の未来は、ブロックチェーン技術が得意とする原資産に関する情報についての詳細さや正確さのレベルにも関係してくる」

米国の証券会社ジェフリーズ・グループ(Jefferies Group)と日本の野村證券は同社の債券販売を管理した。同社は設立して2年のスタートアップ企業だが、昨年11月のシリーズ Cの調達ラウンドにおける1億300万ドル(約115億円)を含む2億2500万ドル余り(約250億円)を評価額12億ドル(約1330億円)で調達した。モルガン・クリーク(Morgan Creek)、デジタル・カンレンシー・グループ(Digital Currency Group)、フォックスコン(Foxconn)の投資部門であるHCMキャピタル(HCM Capital)、ラビット・キャピタル(Rabbit Capital)、三菱UFJフィナンシャル・グループなどブロックチェーン分野における堅い支援元から資金提供を受けている。

30~60日かかる融資を5日以内に

現状では、金融界が何十年にもわたって行ってきた融資を債券にまとめ直して投資家に販売するという証券化は、まるで手の込んだからくりが連鎖するルーブ・ゴールドバーグ・マシンのようだ。ある企業が応募を受け(「オリジネーター」)、別の企業が資金を貸し付ける(「ウェアハウス・レンダー」)。さらに別の企業が投資家に証券を販売し(「アンダーライター」)、別の企業が月々の請求書や督促状を送付する(「サービサー」)。これでも簡略的な説明である。

フィギュアによれば、プロベナンス上でこれらすべてのステップを自動化することで、工程のスピードアップと費用削減が可能になる。

「ブロックチェーン上での融資の組成費用が大幅に低減される」とフィギュアの最高経営責任者(CEO)、マイク・キャグニー(Mike Cagney)氏は述べる。

例えば、ひとつの台帳の情報を管理することによって誤りを最小化し、生じた誤りを確実に捉えてすぐに修正し、当事者間の融資の譲渡などに関する手数料を削減することができるという。

「利用料や融資の不備のための支払いが不要で、品質管理費を低減できる」と、オンライン・レンダーのソーシャル・ファイナンス(Social Finance)の元CEOであるキャグニー氏は述べる。

フィギュアによると、5分以内にHELOCを承認し、通常は30~60日かかる融資を5日以内に行うことができる。同社の技術が広く適用された場合、年間3兆ドルの証券化市場で300億ドルを節約することが可能だと同社は主張する。

しかし、これは未だ仮定の域を出ない。

生みの苦しみ

中央集権的なシステムの方が効率的だと思われる伝統的金融サービス分野でブロックチェーンを導入することの潜在的な利点について、依然として懐疑的な見方がある。

「ブロックチェーンはほぼすべてにおいて悪手だ」と、ウェイレン・グローバル・アドバイザー(Whalen Global Advisors)の会長で長期間にわたって金融市場のアナリストで投資銀行家であったクリス・ウェイレン(Chris Whalen)氏は述べる。「単純なXML台帳の方がはるかに効率がいい。金融にブロックチェーンを用いるのは、企業のセキュリティを強化するためにウルドュー語を学ぶようなものだ」

そしてフィギュアが最初の取引を完了させるのは難しいという見方が大勢を占めた。同社が融資の資金調達のためにWSFSバンク(WSFS Bank)から与信枠を取得し、証券化が最終的な大詰めにあると2019年5月に発表してから、作業はまだ続いている。

評価の高い業界紙『Asset-Backed Alert』の2月7日の記事によると、債券販売は当初、2019年10月を予定していたが、候補の格付け機関が第三抵当権を含む担保を懸念したことから延期になった。(大部分のHELOCは第二抵当権で、担保権が執行された場合には融資の原債権者の後に返済を求め、数が少なくリスクの高い第三抵当の場合は、その後に残っているものを獲得する。)

フィギュアはこの報道を否定しており(同社は発行元を告訴している)、延期になっている主な理由は監査人がブロックチェーン上の慣行に精通していないからだと、キャグニー氏は述べている。

流通市場での売却が困難な中

多くの証券化案件とは異なり、フィギュアによるものはムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズのような格付け機関による格付けを受けておらず、米証券取引委員会(SEC)に登録もしていない。未格付けの私募なので、投資家が売却したいと思っても流通市場での売却が困難だ。

しかしながら、フィギュアは第三者投資家への債券の売却に成功した。フィギュアのホワイトペーパーによると、ジェフリー・ガンドラック(Jeffrey Gundlach)氏のダブルライン(DoubleLine)に1億2700万ドルのシニア債、ティルデン・パーク・キャピタル・マネジメント(Tilden Park Capital Management)にリスクの高い2200万ドルの劣後トランシェを売却した。これまでに欧州金融機関サンタンデール(Santander)やソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)がパブリックチェーンのイーサリアム(Ethereum)で債券を発行しているが、自分たち宛てにのみであった。

ダブルラインにはシニア債の4%の利子が3年にわたって支払われる予定で、これは3年物米国債の現在の利回りを3%以上、上回っている。

キャグニー氏は、シニア債の価格決定は比較可能な商品と同水準であり、同社はブロックチェーンの新規性に関して投資家に追加の支払いをする必要性がないので、付加価値が高まると述べた。

「ブロックチェーンに関して我々が支払わなければならない割増料金はない」

次のステップ

プロベナンスはビットコインのような仮想通貨とは異なる。

例えば、ビットコインは「パブリックブロックチェーン」であり、誰もが台帳を見ることができ、認可された当事者だけが書き込むことができる。ビットコインの取引を送るのに許可は必要ではなく、ネットワークのマイニングは高価であるものの、理論的にはすべての新規参入者が参加できる。

さらに、プロベナンスには取引を有効にする12のノードがあり、フィギュアはミューチュアルファンド大手のフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)のみを唯一の運用業業者として指定する。世界に広がるビットコインやイーサリアムのネットワークには何千ものノードがある。

フィギュアは主要な3つのオープンソース・エンタープライズ・ブロックチェーン・プロジェクトのひとつであるハイパーレッジャー(Hyperledger)を用いてプロベナンスを独自に開発した(他は、R3のコルダ(Corda)とイーサリアムのプライベート・バージョン)。

同社は今後3週間でさらに2億ドルのHELCOの証券化をねらっており、第2四半期には学生ローンを裏付けとした債券を初めて発行する予定だとキャグニー氏は述べる。

仮にフィギュアのモデルが定着した場合、2008年の世界市場の暴落(リーマンショック)の要因となった問題の一部が改善される可能性がある。

「金融危機時に投資家は、資金プールに何があるのか、何に対して融資しているのかをうまく理解できずに非常に多くの資金プールが開始されたために証券化は失敗した」と証券化弁護士として有名なブロックチェーンを専門とするコーヘン氏は述べる。

それに対し「投資家はブロックチェーンで、何を購入しているのか、どのようなパフォーマンスなのかをよく理解することができる」 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/44128/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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