昨日の海外時間には、ECB理事会の声明で緩和拡大の文言が削除されたことからユーロ買いが強まりましたが、期間延長の可能性が残されたことと、インフレ見通しが下方修正されたことからユーロは反落しました。東京時間午前に、5月にも米朝首脳会談が開催される、と報じられたことから円売りが強まっています。
欧州時間、米長期金利が堅調に推移したことからややドル買いが優勢となって、ドル円は106.20円付近まで上昇し、ユーロドルは1.2360台まで下落しました。
NY時間にはいって予想通りECB理事会は金融政策の据え置きを発表しました。発表された声明では、前回までの「量的緩和の規模と期間を拡大する用意がある」との文言が削除されていたことからユーロ買いが強まってユーロドルは1.2440台まで、ユーロ円は131.90円台まで上昇しました。しかし9月までの量的緩和継続と同時に「必要であればその後、インフレ動向が目標水準に持続的に調整されたと判断されるまで延長する」とされたこと、インフレ見通しを下方修正した事からユーロは反落、NY時間午後にかけてユーロドルは1.2290台まで、ユーロ円は130.50円台まで大きく下落しました。NY時間終盤に、米の鉄鋼とアルミの関税に関してカナダとメキシコが除外されると報じられたことからカナダ・ドル、メキシコ・ペソが買われましたが、日本は協議次第とされたことでドル円は小動きでした。
東京時間午前、韓国特使が「北朝鮮金正恩委員長はトランプ米大統領に早期の会談を要請し、トランプ大統領は5月までに会談すると応じた」と発表したことから、東アジア情勢の好転を期待して日経平均が大きく上昇する中円売りが強まっています。
今日の海外時間には米・2月雇用統計の発表があるほか、独・1月鉱工業生産、独・1月貿易収支/経常収支、英・1月鉱工業生産、英・1月貿易収支の発表と、ローゼングレン・米ボストン連銀総裁、エバンズ・米シカゴ連銀総裁の講演が予定されています。
北朝鮮金正恩委員長の要請を受けたトランプ大統領が受諾した形で、5月中にも米朝首脳会談が行われる可能性が報じられて、円売りが強まりました。「金正恩氏は核・ミサイル実験の凍結を約束した」と報じれれていますが、一方トランプ大統領は「北朝鮮の非核化を期待する。それまではすべての制裁と最大限の圧力を続けなければならない」としていて、このまま何の障害もなく首脳会談開催というわけにはいかないと考えられます。
また、米の鉄鋼、アルミ関税問題ですが、日本など同盟国とは今後の協議次第、とされたことから一旦はリスク選好の要因とされましたが、こちらも今後の協議の進展をみなければ、問題が回避される不確かな状況です。そう考えると、一時500円近く上昇した日経平均が上昇分の大部分を失ったのと同様、ドル円も上昇を維持できるか難しいところだと考えられます。
今晩は米雇用統計の発表があります。このところ米長期金利とドル円の相関関係が戻りつつありますが、昨日のNY時間午前に米長期金利が低下した時にはドル円はほとんど動いていないなど、不安定な状況が続いています。したがって米雇用統計発表後の動きも非常に予想することが難しい状況です。ただ、次回3月FOMCでの利上げと、年内3回の利上げはすでにほぼ織り込まれていて、年内4回などそれ以上に利上げの予想が強まって、株価が下落するような事がなければ、予想よりも良い結果では株価上昇で円売り、弱い結果では株価下落円買いとなるのではないでしょうか。(予想:非農業部門雇用者数20.5万人、失業率4.0%、平均時給+2.8%)
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Source: 高野やすのりののりのりFX