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中央銀行、ステーブルコイン、そして迫り来る通貨戦争

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ソーシャルメディア大手、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」では、デジタルトークンを安定して換金可能な価格に維持するために、大手企業によって構成されるコンソーシアムが法定通貨のバスケットを管理することになる。このプロジェクトは、「ステーブルコイン」という概念を仮想通貨コミュニティーから公の場へと押し出した。

しかし、もしリブラが政府関係者、金融界のトップ、事業家の間に引き起こしている激しい議論に圧倒されているならば、早く慣れた方が良い。世界経済に競合するステーブルコインの波が押し寄せてくるからだ。そして、国境を超えた貿易が活発なアジアは、それらステーブルコインの戦いの中心地になるかもしれない。

これには興奮と同時に恐怖も感じる。

圧倒的に最も重要なプレイヤーは、スタートアップでも、銀行でも、テック企業ですらない。中国政府だ。

中国の中央銀行、中国人民銀行から近々発行される予定のデジタル通貨、CBDCは、正確にはステーブルコインではない。その価値は、法定通貨のベンチマークという点のみで表されるわけではなく、CBDCは人民元の完全なデジタル版だ。とはいえ、中国の動きによって、官民関わらず他の組織が独自に実際のデジタル法定通貨、もしくは事実上のデジタル法定通貨を開発する動きが促進されることは必至である。

CDBCやステーブルコインは、スマートコントラクトやブロックチェーンプロジェクトを悩ませる最大の問題の1つを解決する可能性がある。今まで、例えばサプライチェーンや送金用ブロックチェーンソリューションの設計者には、決済メカニズムに関して2つの選択肢があった。ビットコインのような、ほとんどの人が使用していないうえに、価格が変動しやすい仮想通貨を統合させ、オンチェーンで運用するか。それとも、非効率的になるが、既存の銀行システムを通してオフチェーンで運用するかの2つだ。そうではなく、もしドルのような実証済みの貨幣単位に、プログラム可能な、スマートコントラクトの性質が備わっていたら、理論上、商業の世界に大きな効率性を新たにもたらすことが可能になるだろう。

中国が最初に動いたことに反応する形で、その他の中央銀行も後に続いている。国際貿易において、特に「一帯一路」構想の65カ国内で、デジタル人民元がより大きな役割を担う可能性に対する恐怖が部分的な理由として挙げられるだろう。これが重要なのかは、ロシアの輸入業者と中国の輸出業者が、人民元とロシアルーブルのデジタル版の為替リスクをヘッジするために、スマートコントラクトとアトミックスワップを利用する状況を想像してもらいたい。国際貿易のための信頼できる、安定した仲介通貨としての米ドルが廃れることになる。

注目すべきことに、中国国営メディアのチャイナデイリー(China Daily)がCBDCの進展を報じる数日前、国際決済銀行(Bank of International Settlement)のアグスティン・カルステンス(Agustin Carstens)総支配人は、驚くべき態度の転換を見せた。同氏は、以前デジタル通貨の価値を否定していたのにも関わらず、その他の中央銀行によるデジタル通貨の発行も「我々が考えるよりも、早く起きるかもしれない」とフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)に語った。

すでにタイなどの中央銀行では、銀行間送金を目的としたデジタル通貨の実験が行なわれている。

問題は、CBDCが国家による監視、特に中国から監視される恐怖を生むという点だ。中国の市民の自由に対する侵害は、香港で激しい抗議活動を招いている。企業や市民は、自国の政府、ましてや外国の政府が自分たちの出費を監視することを望まない。

民間仮想通貨開発者たちによるステーブルコインのチャンスはここにある。 特にリブラの設計者よりも強力なプライバシーを保証できるのならば。

今のところ、準備金に裏付けられたステーブルコイン、そしてアルゴリズム型ステーブルコインという選択肢がある。

前者の市場はかつて、香港を拠点とするテザー(Tether)のUSDTが独占していた。しかし、その不透明な準備金管理システムに疑惑が生じてからは、より厳格に規制された組織によって裏付けられた新しいコインが優勢となっている。ジェミニ(Gemini)のGUSD、パクソス(Paxos)のPAX、そしてサークル(Circle)とコインベース(Coinbase)のUSDCなどだ。

アルゴリズム型ステーブルコインの中でも、明らかに市場を先導しているのはメイカーダオ(MarkerDao)のダイ(Dai)だ。ダイは、イーサリアムを担保とし、スマートコントラクトで管理されている、ドル建てのトークン。

アルゴリズム型ステーブルコインには、第三者への信頼に依存しないという利点がある。一方の準備金モデルでは、申告された保有法定通貨を裏付ける特定された組織を必要とする。しかし、ダイのようなオンチェーンのステーブルコインは、高頻度取引ボットの標的となる可能性がある。また、その成長は、イーサリアムがそのスケーリングの課題を乗り越えること、そしてボラティリティが高く、システム的にリスクをはらむ、担保されたイーサリアムの貸付市場が拡大を続けていくことに依存している。

いずれにせよ、調査会社トレードブロック(TradeBlock)が2019年7月に発表した報告によると、これら民間ステーブルコインを利用した決済額は急速に増加している。2019年第2四半期において、大手ステーブルコインを利用した決済の総額は、送金アプリ、ベンモー(Venmo)が処理した総決済額を超えた。 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/17640/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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