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セキュリティトークン取引所のINX、歴史的IPOで1億3000万ドルを調達へ──経営陣、投資家に著名人

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仮想通貨取引所スタートアップのINX Ltd.は、米証券取引委員会(SEC)に登録された初のセキュリティトークンセールにおいて、新規株式公開(IPO)を通じて最大で1億2950万ドル(約138億120万円)の資金調達を計画している。

2017年の好調期に証券取引法の限界を試した、新規コイン公開の「ICO」と書くべきところを誤植したのではない。IPOとは、新規株式公開のIPOのことである。

ジブラルタルを本籍地とするINXは2019年8月19日(現地時間)、SECにF-1草稿(海外発行者向けのSECによる目論見書フォーム)を提出し、新規株式公開(IPO)を通じて、個人投資家と機関投資家に対してトークンを売り込む。

これまでのトークンセールスは未登録であったため、INXのケースは画期的と言えるだろう。一部の発行者は、登録要件を免除されるように、富裕な投資家たちにトークンセールスについてこっそりと伝え、SECに通知を提出してきた。しかし大半の発行者は、規制当局にわざわざ通知などしてこなかったため、ここ1年の間にSECはICOチームを相手取り、未登録証券を違法に販売したとして多くの訴訟を起こしている。

さらにINXのセールは、ブロックチェーン業界で数少ない本格的なIPOの一つだ。そして、最大規模となるだろう。会員制マイニング企業アルゴ・マイニング(Argo Mining)は2018年、ロンドン証券取引所(LSE)でのIPOを通じて、3250万ドル(約34億6310万円)の資金を調達した。

ワンストップ・ショップ

アンチマネーロンダリングと顧客確認審査を通過すれば、一般の人でもINXトークンと同様に、INXでの仮想通貨取引サービスも利用することができるが、INXがターゲットとするユーザーべースは、主に機関投資家である。

「完全に運用を開始したら、慣習的な取引、清算、決済の手続き、規制順守、資本準備金、流動性準備金、そして運営上の透明性といった、規制を受けた他の金融サービス市場で確立された慣行を伴った取引プラットフォームを、プロの投資家や機関投資家に提供することを想定している」と、F-1草稿には記されている。

INXは機関投資家に重点を置き、規制を受けた多くの取引プラットフォームと競争することになるが、上場を計画しているデジタル資産の幅広さでINXは抜きん出ている。

「我々のビジョンは、ブロックチェーン資産業界に規制上の明快さをもたらす2つの取引プラットフォームと、セキュリティトークンを生み出すことである。(一つには)証券と非証券のブロックチェーン資産クラスを区別すること、そして各資産クラスに取引機会を提供することによって、このビジョンを達成する計画である」と、目論見書には記されており、次のようにも付け加えられている。

「将来的には、先物、オプション、スワップなどの、デリバティブ取引のためのプラットフォームを設立することも意図している」

これはつまり、INXがオーバーストック(Overstock)のtZERO(セキュリティトークン)だけではなく、コインベース・プライム(Coinbase Prime)やフィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)(スポット仮想通貨)、そしてゆくゆくは、インターコンチネンタル・エクスチェンジ(Intercontinental Exchange)のバックト(Bakkt)(デリバティブ)とも同じ土俵に上がるということを意味する。

ハイブリッドトークン

INXのトークンは証券ではあるが、保有者がINX取引所での取引手数料の支払いに使用することも可能なため、ユーティリティトークンと捉えることもできるだろう。

ICOブームの際に多くの発行者は、販売利益を利用して開発されたプラットフォームを使用する権利などのユーティリティがあるために、彼らのトークンは証券ではないと主張した。

それと同時に、トークン投資家は株式保有者にはならないが、INXの収益の分け前を受け取ることになる。

むしろ、清算が起こった場合には、株主よりも優先して払い戻しを受けることになる。この意味では、INXのトークンは優先株式に似ている。

「精算時におけるINXトークンの保有者による契約不履行の申し出は、INXの通常株式の保有者の権利に優先することを、INXは意図している」と、目論見書には記されている。

INXのセキュリティトークンは、イーサリアムブロックチェーン上ではERC-20トークンと表記される。

官僚的形式主義

暗号資産は非常に新しく、前例のない現象であり、古いカテゴリーには容易に収まらない。いくつかの異なる規制機関は、暗号資産業界の様々な部分に対する管轄権を主張してきた。

INXにとってこれは、複数の機関から承認を受けることを意味した。トークンセールを先に進めるためにINXは、SECに目論見書が「有効」と判断してもらう必要がある。

目論見書では、上場企業にとっては標準的だが、仮想通貨のような目立たない世界においては前代未聞とはいかずとも珍しい、幹部の雇用契約といった情報も公表されている。

そしてそれは、資金調達のためだけのものだ。INXが実際に取引を開始するためには、さらにいくつかの承認を受ける必要がある。

INXはセキュリティトークンを上場するため、まずはブローカー・ディーラーになる必要がある。そのためにはSECに対して別個に登録し、自主規制機関 (SRO)である金融業界規制機構(FINRA)によって代替投資システム(ATS)として承諾される必要もあり、それにはSECにさらに追加の申請書類を提出する必要がある。

証券関連の承認に加えて、ビットコインなどの仮想通貨を投資家が売買できる仮想通貨取引所として業務を行うためには、INXは業務を行う個々の州から送金業者ラインセンスを取得する必要がある。

オールスターの布陣

INXの経営陣、取締役会、顧問、初期の投資家には、仮想通貨業界と従来の金融業界、双方の著名人たちが名を連ねる。

仮想通貨業界からは、INXの顧問に、ビットコインセキュリティーの大物ジェームソン・ロップ(Jameson Lopp)氏、ブロックチェーンテクノロジー企業ブロックストリーム(Blockstream)・最高戦略責任者のサムソン・モウ(Samson Mow)氏、そして投資顧問企業モルガン・クリーク・キャピタル・マネジメント(Morgan Creek Capital Management)のCEO、マーク・ユスコ(Mark Yusko)氏が就任している。

経営陣では、副業としてビットプレミア(Bitpremier)という初期のビットコインスタートアップを運営していた元商業銀行員のアラン・シルバート(Alan Silber)氏が、アメリカ業務担当の常務取締役を務める。(アラン・シルバート氏の兄弟であるバリー・シルバート(Barry Silbert)氏は、ベンチャーキャピタルのデジタル・カレンシー・グループ(Ditital Currency Group)の創業者であるが、同社はINXとは関わっていない)

一方の取締役には、ナスダック(NASDAQ)の元副会長デイビッド・ウェイルド(David Weild)氏、オンラインブローカー、TDアメリトレード(TD Ameritrade)の前身企業の元CEO、トーマス・K・ルイス(Thomas K. Lewis)氏が含まれている。

目論見書草稿によれば、投資家にはモウ氏や、アルトコインの生みの親、チャーリー・リー(Charlie Lee)氏が名を連ねている。 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/17595/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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