イラン政府は、チャットアプリのテレグラムが開発を進めている仮想通貨「Gram(グラム)」に対して警戒感を強めている。テヘランタイムズが12月31日にイラン政府高官の声を伝えている。
刑事犯罪定義タスクフォースで責任者を務めるJavad Javidnia氏は、仮想通貨グラムをローンチに協力するような活動は、いかなるものであっても国家安全保障や国家経済に脅威を与えるものだと発言した。
「テレグラムを禁止する上で最も重要な要素の1つは、テレグラムを使うことでもたらされる深刻な経済的脅威だ」
2017年12月、イラン国内で拡大した反政府デモでは、テレグラムと写真共有アプリのインスタグラムが広く使われた。これを受け、イラン政府は17年12月にテレグラムとインスタグラムへの接続を一時的に遮断した。その後、イランでは18年4月にテレグラムが禁止となる。その際、イランの最高指導者のハメネイ師は、政府機関がテレグラムを使うことは二度とないだろうと発言していた。その後、イランの司法機関は、テレグラムを使うことを完全に禁止するとした。
18年4月、イラン政府の当局者はテレグラムへの批判の中で、テレグラムが実施するイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を「イランの国家通貨を弱体化させる」可能性があるとも指摘した。この批判を行ったイランのサイバースペース最高評議会のフィロウザバディ事務局長は、テレグラムを野放しにすることで、イラン国内に仮想通貨を流入させることになると発言している。
イランのほかにも、ロシアでもテレグラムは禁止されている。テレグラムが実施したICOへの懸念に加え、ロシア連邦保安庁(FSB)から流出した文書では「彼(テレグラムCEOのデュロフ氏)が自身の仮想通貨を立ち上げてしまえば、ロシア国内に制御不能な金融システムが現れてしまう」という言葉が記されている。
テレグラムは2018年の前半、ICOで約17億ドルを調達。18年に行われたICOの中では最大級のICOの1つだ。
テレグラムのプライベートICOに参加した投資家の1人は、ロシアの大富豪のロマン・アブラモビッチ氏であると報じられており、3億ドル(約329億円)を投資したといわれている。資金決済サービスのQiwi創業者のセルゲイ・ソローニンや、ウィム・ビル・ダン・フーズの創業者であるデビッド・ヤコヴァシュヴィリ氏は、テレグラムのICOに参加したことを公表している。
テレグラムはこの調達資金を使い、Telegraph Open Network(TON)と呼ぶブロックチェーンプラットフォームを立ち上げる計画だ。
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Source: 仮想通貨情報局