ロシアが仮想通貨発行の技術的支援を約束
RACIBのユーリー・プリパチキン(Yuri Pripachkin)会長は、イランはロシアのブロックチェーン開発者の専門知識を活用する立場にあることを認め、米国の制裁はロシアに科した制裁よりはるかに重いと非難しました。ロシアは仮想通貨の専門職にとどまらず、法律専門家を通じてイランを支援する構えです。
ロシアとイランの合意は、国際決済の世界組織である国際送金網(SWIFT)が、イランの金融機関を締め出すことを決定した11月8日から数日後に行われました。イランのように、国の経済が石油・天然ガスの輸出に大いに依存する国では、SWIFTによる国際決済の活用は必須の手段でした。
国際送金が難しくなるイランは早急に、かねてからうわさされていた中央銀行が発行する仮想通貨で対抗するという、ベネズエラの法定仮想通貨ペトロ(Petro)と同じ道を選択する可能性が一挙に高まってきました。
SWIFTによるイラン締め出しで国際的な批判続出
SWIFTは、外国送金の管理、促進を一手に握る国際機関ですが、当初から米国の影響の下にあることで知られていました。1973年に発足し、現在主として銀行など約1万1,000社が加入しています。
SWIFTは今回の措置について、「世界的な中立のサービスプロバイダーとして世界の金融システムの回復力と完全性を支援する使命を追求するため、SWIFTはイランの銀行によるメッセージングシステム利用を一時停止する。この手段は残念ながら、より広範な世界金融システムの安定と完全性の利益のために取られた措置である」との声明を発表しました。
この決定は国際的に賛否両論を巻き起こしています。ドイツ機械装置産業連盟(VDMA)のティーロ・ブロートマン(Thilo Brodtmann)事務局長は「SWIFTは国際決済の生命線である。このシステムの中立性に関する制約は、些細なことでも受け入れ難い。今日イランで起きたことは、明日のロシア、そして中国で起きることではないのか?」と厳しく批判しています。
仮想通貨発行の下準備整うイラン中銀
厳しい制裁を科す今回の米国の決定は、同盟諸国にも大きな影響を与えており、英国やドイツ、フランスなどEU主要国は早くも、企業がイランとの貿易を維持することができる特別目的事業体(SPV)の設立を発表しました。これは「SWIFTを迂回する特別目的金融経路」であり、ロシアと中国も賛意を表明しました。
SWIFTから独立するSPVの設立となれば、世界経済、特に世界の金融システムは、大きな混乱に陥る可能性があります。とは言うものの、海外に出稼ぎして、イラン国内の家族に送金するイラン国民にとっては、SWIFTやSPVの恩恵を受ける訳ではありません。非中央集権型の仮想通貨は、イラン国民にとってまさに生命線であり、この機に一挙に仮想通貨を求める機運が高まる可能性が強まっています。
イランは2013年以来、法定通貨に代わる仮想通貨の可能性を探ってきました。特に米国が核合意から離脱した18年5月以降、中央銀行独自の仮想通貨発行の準備を急いでいます。9月にはイラン議会は、ビットコインのマイニング(採掘)を産業として正式に承認しました。イランの電気料金は世界3位と安く、マイニングには最適です。
イラン中央銀行のシステム関連企業Informatics Services Corporation(ISC)のアバウテールブ・ナジャフィ最高経営責任者(CEO)は11月9日、米国の今回の制裁を意識して、「独自の仮想通貨は、法定通貨リアルと直接交換されることになる」と述べました。また法定の仮想通貨発行後は、中銀の管理下で流動性は人為的に抑止されます。
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Source: 仮想通貨情報局