ビットコインETF(上場投資信託)は、トレーダーが暗号資産(仮想通貨)取引所で直接ビットコイン(BTC)を売買することなく、従来の証券口座と株式市場を通じて簡単に時価総額最大の暗号資産であるビットコインに投資することを可能にする。
現在のところ、ビットコインETFはアメリカでは認可されていないが、カナダとヨーロッパのいくつかの国では認められている。ただしアメリカには、似たようなものがある。価値がビットコインに連動するデリバティブ契約を保有するビットコイン先物ETFだ。
しかし、実際にビットコインを所有するビットコインETF(厳密に、ビットコイン現物ETFと呼ばれることもある)を通じた、より直接的な投資は今のところ不可能。しかし、米証券取引委員会(SEC)は2024年1月現在、金融大手のブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)、そして自社のグレイスケール・ビットコイン・トラストをETFに転換することを目指すグレイスケール(Grayscale)など、10以上のETF申請を審査中で、まもなく、ついに認可すると予想されている。
ビットコインETFは、伝統的な投資手段を通じて購入できるため、アメリカでの承認はビットコイン投資家を劇的に拡大させると同時に、投資が規制された商品に限られている機関投資家にビットコイン投資への安心感を与えると多くの専門家は信じている。
ETFとは何か?
ETFは伝統的金融では一般的な手法であり、何兆ドルもの資金が投資されている。ETFは株式と同じように取引所で取引されるが、ETFは単一企業の所有権を示すのではなく、資産バスケットの所有権を示している。S&P500、債券、金などのコモディティ、その他もろもろに連動するETFが存在している。
ETFは株式と同じくらい簡単に購入できる。このため、楽観論者はビットコインETFへの投資が殺到すると予測している。
ビットコインETFの歴史
キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏とタイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏は2013年、ビットコインETFを提案したが、その計画はSECによって何度も却下されてきた。却下の理由は、ビットコイン市場はボラティリティが高すぎ、十分な監視体制がなく、操作されやすいというものだった。
2017年、ビットコイン先物という別の金融商品がアメリカで登場した。これは主に専門家向けで、ETFがターゲットとしている個人トレーダー向けではなかったが、2021年のSECによるビットコイン先物ETFの承認につながった。
一方、グレイスケールは何年もの間、数百億ドル相当のビットコインを所有する投資商品「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」を提供している。ビットコインETFのように、GBTCの一部を購入することで、所有者はビットコインから経済的利益を得ることができる。
しかし、GBTCには欠点もある。まず、ETFのように広く利用できるわけではない。また、トラスト(信託)の構造上、GBTCは新規に発行できるが、既存発行分を取り消すことができないため、保有するビットコインの価値とGBTCの価格が乖離する可能性がある。需給のアンバランスは実際に発生し、2022年後半にはいわゆる純資産価値(NAV)に対して、50%のディスカウント率まで下落していた。
ブラックロックのビットコインETF申請とグレイスケールへの朗報
流れが変わり始めたのは2023年6月、世界最大の資産運用会社ブラックロックがアメリカでビットコインETFを申請したという衝撃的なニュースが流れたときだ。
伝統的金融業界を代表する企業の1つであるブラックロックがこのアイデアを支持したことで、10年にわたる却下の歴史を経て、世界最大の資本市場を持つアメリカでついにビットコインETFが誕生するかもしれないという熱狂が生まれた。
さらにフィデリティ、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、暗号資産会社ギャラクシー(Galaxy)の支援を受けたインベスコ(Invesco)といった他の伝統的金融(TradFi)企業や、ヴァルキリー(Valkyrie)、ビットワイズ(Bitwise)などの暗号資産ネイティブ企業も続いた。
グレイスケールは2023年8月、グレイスケール・ビットコイン・トラストをETFに転換する試みに関して朗報を得た。アメリカの裁判所は、SECがグレイスケールの申請を却下したことを「恣意的かつ専断的」とし、再考するよう判決を下した。
SECがビットコインETFを承認するとの楽観的な見方が広がるなか、ビットコイン価格は2023年後半に急騰し、GBTCのNAVに対するディスカウント率は縮小した。
ビットコインETFの承認期限
SECは2024年1月8日〜10日の間にビットコインETFを承認するか否かの決定を発表すると見られている。その期限に向け、発行企業とSECは何度も会合を重ね、SECへの提出書類の修正が相次いでいる。ブラックロックなどは、ETFのためにビットコインをカストディ(管理・保管)する企業や、ビットコインETFの円滑な取引を維持することを担う、いわゆる指定参加者(AP)などの主要パートナーを発表した。
ビットコインETFに関するFAQ
Q.誰がETFに投資でき、どのように取引するのか?
A.ETFを購入するために適格投資家である必要はない。誰でも投資できる。
必要になることは、オンライン証券口座を開設するか、多くのモバイル取引アプリの中の1つをダウンロードすることだけ。そこから、さまざまな市場に連動する幅広いETFの1つとしてビットコインETFを売買できるようになる。
Q.ビットコインETF取引のメリット、デメリットは?
A.ビットコインそのものを購入するのではなく、ビットコインETFに投資することは、直感に反するように思えるかもしれないが、次のようなメリットがある。
- ビットコインを自分で保管する必要がない。
- ETFはビットコインよりも規制が厳しいため、一部の投資家に安心をもたらすだろう。
- 従来の証券会社は暗号資産取引所よりも長い実績があるため、懐疑的な人たちの不安を和らげることができるかもしれない。
- 伝統的金融商品であるETFは暗号資産よりも、税務上の取り扱いがはるかに明確。
しかし、ビットコインETFへの投資には、ビットコインを直接購入することとは対照的なデメリットもある。
- 暗号資産市場は24時間365日開いているのに対し、ETFは証券取引所が開いているときにしか購入できない。証券取引所は平日夜や週末は閉鎖されている。
- 自分でビットコインを保有するのは無料だが、ETFには管理手数料がかかる。
- ETFでは第三者のカストディアンを信頼する必要がある。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/214886/
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Source: 仮想通貨情報局