TCGを担保にNFTを発行
トレーディングカードゲーム(TCG)がデジタル変革の波に乗り、新境地を開拓しようとしている。近年、実物のカードを担保にNFT(非代替トークン)を発行する試みが増えており、オンライン取引の信頼性と利便性を高めようとしている。
TCG市場は世界中で急成長を遂げ、スポーツカード市場だけでも2027年までに620億ドル規模に拡大する予測が立てられている。
22年7月には、人気YouTuber、Logan Paul(ローガン・ポール)が、「ピカチュウ イラストレーターカード」を歴代最高額となる527万5,000ドル(当時約7億円)で購入。さらにそのカードをNFTに変換し、自ら立ち上げたNFT市場で共同所有権を販売して話題となった。
この分野ではCourtyardとCollectorといった分散型プロジェクトが注目を集めている。これらのプロジェクトは、鑑定会社や信頼される保管庫パートナーと協業するなど、異なる提携機関や基盤を有しているものの、TCGのデジタルトークン化という点で共通のプロセスを踏んでいる。
TCGのデジタルトークン化プロセス
- カードを専用の保管庫に送付。
- カードが鑑定され、スキャンを経てNFT化。
- NFTとして取引可能となる。
- 保管庫にある物理的なカードは、全世界どこでも取り出し(送付)可能。
ソラナNFTマーケットプレイス大手Magic Edenは既にこの動きを取り入れている。『Collector』と提携し、トークン化されたポケモンカードを販売する。価格は1パックあたり3SOL(約1万円)で、最初のカードパックドロップは10月18日に予定されており、合計100枚のカードが提供予定。各パックには、Collector上で取引可能なポケモンカード1枚が含まれる。
日本国内でも、TCGとNFTの融合が進んでいる。株式会社YAMAKOMA ASSET BANKは既存サービス「Vintage Card Japan」と連携し、ポケモンカードと遊戯王OCGの初期カード鑑定品を取り扱う新たなWeb3マーケットプレイス「ヴィンテージカード ジャパンNFTマーケット(仮)」を立ち上げた。
従来のオンラインプラットフォームでの取引には、詐欺や商品のすり替えといった課題がついて回っていたが、TCGのデジタルトークン化により、これらの課題解決が期待され、TCG市場のさらなる発展と活性化が見込まれている。
なお、上記の3社は、トレーディングカードの発行元やIP保有企業とは直接的な関連はなく、あくまでセカンダリーマーケットとして独立した位置付けとなっていることを明記しておく。
トレーディングカードゲーム(TCG)とは
トレーディングカードゲーム(TCG)は、デッキ(束)と呼ばれるカードの組み合わせを用いた対戦ゲーム。スポーツカード、ポケモンカードはTCGの一種で、異なるルールや特徴を持つ。例えば、ポケモンカードゲームではポケモン同士のバトルが中心で、スポーツカードゲームではスポーツ選手のデータや統計がカードに反映されている。
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Courtyardの拡大
ポリゴンベースのCourtyardは当初「ポケモンカード」に注力し、最初にその存在を強くアピールすることに成功した。2022年3月、同社は50万ドル相当のトークン化されたポケモンカードをリリースし、わずか数時間で完売。
その後、外部コレクター向けトークン化サービスに拡大し、各種スポーツカードやVeeFriendsカードなど、多様なアイテムを取り扱うようになる。現在、OpenSeaとの連携により、取引から償還申請までのプロセスがスムーズに行われている。
Courtyard.ioは特にウォレットのユーザビリティを高め、一般ユーザーにアピール。 また、売買手数料はeBayやPWCCなどの既存のマーケットプレイスよりも低価格に設定されている。
現在、Courtyardはトレーディングカードゲーム(TCG)のNFTトークン化を促進すべく、キャンペーンを実施中。2024年まで、NFTの変換や保管に関わる手数料が無料。さらにトークン化されたアイテムがOpenSeaなどで再販される際に、1%のキャッシュバックが適用される新しいメカニズムも導入している。
Courtyardは2022年11月、世界的なベンチャーキャピタル会社であるNew Enterprise Associates (NEA)が主導するシードラウンドで、700万ドル(約10億円)を調達。このラウンドにはY CombinatorやOpenSeaも参加し、強力なサポート体制をバックにそのビジネスを拡大させている。
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Source: 仮想通貨情報局