ミームコイン:暗号資産(仮想通貨)コミュニティ内で楽しさと軽蔑の両方を生み出すコインを表す用語。
ジョークとして登場してから、ある程度確立されたプロジェクトに至るペペコイン(PEPE)のワイルドな旅は、この種のデジタル資産につきものの興奮と予測不可能性を完璧に表している。
ミームコインをもっと真剣に受け止め始める時期に来ている。ソーシャルメディアでの盛り上がりに後押しされ、インターネット文化から生まれたこれらの資産によって、大量の新規参入者が暗号資産の世界に押し寄せている。ミームコインを放置しておくと、より広範な暗号資産業界に対する誤解が強まる可能性がある。
ミームコインは、Web3テクノロジーをマスアダプション(大規模普及)させるための触媒であると同時に、外部の人たちの間に混乱と懐疑心を広げ、規制当局に業界の立ち位置について誤った認識を与える潜在的な障壁にもなり得る。
ミームコインの魅力
ドージコイン(DOGE)、柴犬コイン(SHIB)、ぺぺコインなどのミームコインの急成長は、目覚ましいものだった。これらのデジタル資産は、ますます多くの人々にとって、未知のWeb3の世界への魅力的な入り口となっている。
ミームコインは、インターネット上のユーモアとギャンブルを融合させたもので、天文学的なリターンを期待させることで、あらゆる人々を惹きつけている。ミームコインはある意味、Web3のメインストリーム普及の最も重要な原動力のひとつと言っていいだろう。
ミームコインの魅力は、その滑稽な起源や短期間で利益を得られる可能性だけにとどまらない。暗号資産という敷居の高い世界において、効果的に勝負の舞台を公平なものにし、これまでこの領域を技術に精通した投資家や金融の達人だけのものと考えていた人々の興味をかき立てる。ビットコインに興味を持ちながら、投資のタイミングを逃したと感じている多くの人々にも、希望を与えている。
だからと言って、ミームコインに投資することが賢明だというわけではない。NFTシリーズ「cryptodickbutt」や柴犬コインをきっかけに暗号資産の世界に踏み込んだ人たちが、Web3で起きている真のイノベーション、さまざまな分散型アプリケーション(Dapp)の可能性、そしてセルフカストディの重要性を学ぶことができれば、これほど素晴らしいことはない。これは希望的観測ではなく、よくある暗号資産の伝達手段だ。
多くの点で、ミームコインは受け身的なインターネットユーザーをDeFiの世界の積極的な参加者に変え、ブロックチェーン技術を直接探索し、学び、それとやり取りすることを促す。とはいえ、この楽しく、民主化された参加チャンスには、それなりの問題点もある。
マイナスの側面
ミームコイン特有のボラティリティと予測不可能性は、特にインフルエンサーが天文学的なリターンを空約束する場合、大きな懸念材料となる。一夜にしてミリオネアになり、莫大な利益を得たという話は話題となるかもしれないが、裏を返せば、同じように突然損失を被る可能性があるということだ。ことわざにもあるように「上がったものは必ず下がる」。
ミームコインは、ソーシャルメディアへの投稿や、ロードマップのマイルストーンが具体的に進展していないように見えるときに、コミュニティ内のセンチメントの変化といった小さな要因によって、価格が乱高下することがある。
さらに、ファンダメンタルズは疑わしいことが多い。ビットコインやイーサリアムのような伝統的なブロックチェーンとは異なり、多くのミームコインは本質的な価値や具体的なユースケースがないため、その価格は技術革新や現実世界での有用性よりも、むしろ盛り上がりによって大きく煽られることになる。
ミームコインの作成者も、このことを隠そうとすることはほとんどない。例えば、ペペコインのランディングページの下部には、「このコインはまったく役に立たず、娯楽目的のみです」と書かれている。このようなあからさまな実用性の欠如は、ミームコインの成長の持続可能性について正当な懸念を抱かせる。暗号資産コミュニティの多くは、ミームコインのブームが長期的に持続するのか、それとも、いずれは崩壊することが確実な単なる投機的なバブルに過ぎないのかを疑問を持って眺めている。
こうした課題に加えて、市場操作の可能性と不可避性がある。規制がない限り、ミームコインは、インフルエンサーや大口投資家が価格を人為的に吊り上げてから保有コインを売却し、一般投資家が暴落の矢面に立つという「パンプ・アンド・ダンプ」スキームに悪用される可能性がある。
さらに、一部の人が大儲けするたびに、ほとんどの人は大きな損失を被ることになる。これは「バッグ・ホールド」と呼ばれ、トレーダーが売却の最適なタイミングを逃し、価値の下がった、あるいはほとんどの場合には無価値となったコインのポートフォリオを抱えて取り残されることをいう。暗号資産コミュニティにおける「PvP」(プレイヤー vs プレイヤー)という言葉はここから来ている。
プレイと呼ばれているという事実が、ミームコイン取引の競争的性質を強調し、参加者が互いに競い合い、誰が最初にトークンを売り抜けるかを予測しようとする、高額の我慢比べ大会のイメージを呼び起こす。
ミームコインのこうした側面は、暗号資産の世界の水を濁し、しばしば誤解を招き、「暗号資産はすべて詐欺だ」といった懐疑的な発言の信憑性を高めている。そのため、この分野の多くの理性的なユーザーにとって、ミームコインは分散型テクノロジーの普及と受容にとって大きな障害と考えられている。
残念なことに、一般の人々はまっさらな状態から始めるのではなく、ブロックチェーンとWeb3に対する現在の理解を学び直すという課題に直面している。 そうすることでしか、この新しいテクノロジーがもたらす驚くべき革新と機会を真に理解することはできない。
バランスを取る
エンターテインメントと投資をダイナミックに融合させたミームコインは、暗号資産の世界に拭い去れない足跡を残し、Web3のメインストリームにおける認知度を押し上げる上で重要な役割を果たした。
しかし、私たちは暗号資産とWeb3が提供する価値と実質に焦点を合わせ続けなければならない。ミームコインが注目のほとんどを奪うことが続けば、厳しい規制を課す理由を探している規制当局の思うつぼになりかねないし、すべての暗号資産はバカげているという先入観を政治家に与えることにもなりかねない。
ミームコインを受け入れつつも、ジョークのように扱ってはならない。
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Source: 仮想通貨情報局