一部の業界専門家は、アメリカに拠点を置く暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)と英領ケイマン諸島に拠点を置くバイナンス(Binance)に対する米証券取引委員会(SEC)の最近の措置は、長期的には規制の明確化をもたらし、アメリカで事業を展開する企業にとってプラスとなりうると述べている。しかし短・中期的には、こうした企業は他の場所での事業に注力せざるを得なくなる可能性がある。
「規制の圧力は、取引所にとって海外に移転する動機になる。特にデジタル資産業界は移転させる工場などを持たないため、より簡単に移転できる」と暗号資産インフラを手掛けるファイアブロックス(Fireblocks)の最高法務・コンプライアンス責任者ジェイソン・アレグランテ(Jason Allegrante)氏は述べた。
アメリカ離れが加速
コインベースは先日、バミューダでサービスを提供するためのライセンスを取得したと発表。アメリカ以外に向けた暗号資産取引プラットフォームを設置する予定と伝えられている。
「こうした動きがますます増えていくのではないだろうか」と語るのはオンチェーン・カストディソリューションを提供するCenso共同創業者兼CEOのアンドリュー・ローレンス(Andrew Lawrence)氏。
「確かにアメリカは最大の市場だが、暗号資産業界で開発している人々は、現在の市場規模ではなく将来の市場規模を見据えており、人々はアメリカにおける将来像は良くないと考えている」
暗号資産取引所MaskEXのバイスプレジデント兼最高戦略責任者ベン・ケイスリン(Ben Caselin)氏も同意見。
「すべての注目は今、他の法域に向いている。アメリカの暗号資産スタートアップにとってベストな時期ではない。コインベースのような大規模プレイヤーは、解決策を探るために規制当局とやり取りすることができ、またそうすべきだが、起業家や中小企業はおそらく他の法域の方が良いだろう」
アメリカに注力
一方、SECのゲンスラー委員長は、暗号資産企業がアメリカを去るという見通しに関して、あまり心配していないようだった。6日、ゲンスラー委員長はブルームバーグTVで「デジタル通貨は必要ない…(中略)我々はすでにデジタル通貨を持っている。米ドルと呼ばれている」と述べた。
ファイアブロックスのアレグランテ氏は、アメリカがいくつかの取引所にとって最も収益性の高い市場だとしても、そのことがすべての努力を集中させる十分な理由にはならないだろうと考えている。
「企業がアメリカ国外に取引所を開設する計画を公にした場合、時間の経過とともにそのバランスを変化させる計画があると考えることができる」と同氏はコインベースについて述べた。
とはいえ、アメリカ市場をそう簡単に無視できないだろう。
Oandaのシニア・アナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏は「アメリカ市場は暗号資産への関心の次の大きな波をもたらすはずだった。だから完全に放棄することは難しいだろう」と述べた。
SECが3月にコインベースに法執行の可能性を警告した後も、ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOは、コインベースは「アメリカに100%コミットしている」と述べていた。そして今回の提訴を受けて、アメリカでの事業に引き続き注力すると述べている。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/188345/
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Source: 仮想通貨情報局