株式市場のリターンは、わずかな超優良銘柄が圧倒的に牽引している。暗号資産でも同じようになることが予想される。
1926年〜2016年、25万3000の上場企業のうちのわずか5社が、米株式市場の35兆ドル(約4550兆円)にのぼる富の創造の10%をカバーした。5社とは、エクソンモービル、ゼネラル・エレクトリック(GE)、IBM、マイクロソフト、そしてアップルだ。そして90社の株式が半分以上をカバー。1100弱がプラスのリターンすべてを生み出した。残りは合計しても、米国債よりもリターンが小さかった。
なぜ、これほど偏っているのか?
わずかな企業が富の大半を創造
株式のリターンは、正規分布にはなっていない。右側に大きく偏っており、わずかな超優良銘柄が「ファット・テール」と呼ばれる部分を形成している。これらの株式を保有していなかった長期投資家は、市場の平均リターンを逃すリスクを負っていた。
ファット・テール:正規分布では示すことができないような極端な変動を示す分布の一つ。大きな変動を示すリターンの頻度が高くなり、リターン頻度分布の裾野が厚くなることから「ファット・テール」と呼ぶ。(出典:野村證券)
暗号資産においても同様の偏りが予想される。ビットコイン(BTC)は、富を創造する素晴らしい例だ。過去5年間のリターンを、トップ10、50、100の暗号資産(ステーブルコインとラップドトークンを除く)の月ごとの時価総額加重平均と比べてみた。
その結果、ビットコインより優れたパフォーマンスを示したものはなかった。トップ50と100の暗号資産はマイナスだった。
なぜだろう? そもそも何が偏りを生じさせるのだろう?
根本的な原因は、技術革新と考えている。
技術革新が持つ意味
カーロータ・ペリッツ(Carlota Perez)著『Technological Revolutions and Financial Capital』(技術革新と金融資本)では、技術革新は「経済全体に大きな変化をもたらす、新しくダイナミックな技術、製品、業界の強力かつきわめて明確なクラスター」と定義されている。
ペリッツ氏は、18世紀後半以降、以下の5つの技術革新があったと定義している。
始まった年 | |
1. 産業革命 | 1771年 |
2. 蒸気と鉄道の時代 | 1829年 |
3. 鉄鋼、電気、重工業の時代 | 1875年 |
4. 石油、自動車、大量生産の時代 | 1908年 |
5. 情報、通信の時代 | 1971年 |
この5つの時代は、才能やリスク資本を惹きつける破壊的な技術革新から始まり、スタートアップが爆発的に誕生した。一般的にはその後に、金融バブル、腐敗、破綻が続き、規制、マネジメントの原則、生産性がもたらされた。いわゆる、成長と収益の黄金時代だ。
鉄鋼の時代以降、黄金時代は大企業が支配している。黄金時代が続くほど、勝者(=超優良銘柄)が富を巨大化するチャンスも大きくなる。
1926年以降、富の創造の10%をカバーした5社はそれぞれ、鉄鋼の時代以降の革新的時代の市場リーダーだ。
企業 | 創業年 | 初期の製品 | 革新的時代 |
GE | 1892年 | 電気、エンジニアリング | 3 |
エクソンモービル | 1882年 | 石油、潤滑油 | 4 |
IBM | 1911年 | 電動タイプライター、 コンピューター |
4, 5 |
マイクロソフト | 1975年 | コンピューターソフトウェア | 5 |
アップル | 1976年 | パーソナルコンピューター | 5 |
注目すべきことに、5社は該当する革新的時代の初期に創業され、長期間、リターンを複利で増やすチャンスを最大化している。しかし、ちょうど良い時期にその場に居合わせただけでは十分ではない。これらの勝ち組企業は、他の人たちが想像もできない未来を想像した。
新たな時代の牽引者は?
私たちは今、情報時代が始まって50年ほどの場所にいる。新しい時代が生まれている可能性は高い。暗号資産の時代になるだろうか?
暗号資産だけでは、革新を起こすには不十分だと考えている。しかし暗号資産はパワフルな革新であり、AI(人工知能)やロボティクス、ゲノミクスなどの他の革新と組み合わされて、新しい時代を作る可能性は十分にある。
予想が正しければ、この新しい時代の勝者は、現在の新規参入者の中にいるだろう。長期投資家は、今後数十年にわたって市場のリターンを牽引する、富の創造者をポートフォリオに入れておくことで恩恵を受けることができる。暗号資産は強力な候補となるはずだ。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/175195/
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Source: 仮想通貨情報局