最近、暗号資産に懐疑的な人たちからの「だから、価値などないと言ったじゃないか」というコメントを聞いているうちに、はっきりわかったことがある。つまり、前回、価格が弱気サイクルから上昇して以来、一般の人たちの暗号資産に対するイメージがどれほど変化していたかを私は十分に理解していなかった。
イメージの変化
前回の弱気相場の頃、暗号資産は新しいタイプのお金、グローバルコンピューター、エンゲージメントのためのインセンティブ、ガバナンスの価値だった。
しかし今、一般的な人たちにとって暗号資産は市場だ。
多くの読者の皆さんと同様、私も年末年始、家族や友人に暗号資産は「終わっていない」ことを説明するのに追われた。この誤解は、少しの間は不思議だったが、ある時、わかった。
暗号資産市場は金融化されたわけではない。金融化を成し遂げた人や組織、そこから利益を得た人や組織の破綻によって引き起こされたイメージやセンチメントへのダメージと同じくらい、私たちはそのことを認識している。
だがむしろ暗号資産は、よく理解していない傍観者のような人たちにとっては、単なる市場になってしまった。ただのマーケット。市場が苦境に陥っているなか、もはやそのコンセプトは明らかに意味を失っている。
わかりやすく、受けるストーリー
振り返えると、このシフトがどのようにして起きたかを理解することは難しくない。
機関投資家からの関心の拡大(ゴールドマン・サックス! フィデリティ! ブラックロック!)、価格(1日で20%上昇! 年初から80%下落!)、詐欺(ラグプル! 不正アクセス!)、そして規制上の懸念(投資家を守れ! 金融システムを守れ!)が、目を引くようなニュースを生み出し、同じようなニュースをさらに生み出していった。
メディアが暗号資産に関するニュースを伝えるにつれて、「暗号資産」と「高リスク」の結びつきが繰り返され、強化されていった。
メディアのせいだと言っているわけではない。多くのメディアは暗号資産業界の革新的な側面を伝えるという素晴らしい仕事を行っている。しかし認識やイメージは、わかりやすいものに集中する傾向がある。
一般の人たちは市場には馴染みがあるが、必ずしもマークルツリーを理解していない。値動きは、コンセンサスメカニズムよりも簡単に視覚化できる。機関投資家の関心の高まりは、加重分散型流動性プールよりもわかりやすい。市場のストーリーは心地良いため、テクノロジーのストーリーよりも人気を集めやすい。ドラマチックな展開は大きな関心を集めるため、イノベーションに関するストーリーよりも、リスクに関するストーリーの方が受ける。
こう聞くと(特に暗号資産関係者の中には)暗号資産のテクノロジー的な側面にもっと焦点をあてようと直感的に思う人もいるだろう。私を含めて多くの人は、そう主張してきた。しかし、確かにもっともなことだが、ほとんど見過ごされてきた基本的側面がもう1つある。
資産でありテクノロジー
暗号資産は投機と投資のチャンスを提供することを私たちは理解している。さらに、根本的に新しいテクノロジーであることも知っている。私たち業界関係者は、暗号資産は両方の側面を持っていることを理解している。
だが、暗号資産がテクノロジーである点を理解することは(特に一般の人たちには)難しい。
歴史上初めて、イノベーションを具現化した取引可能な資産を私たちは手にしている。投資家たちは、株式やETF(上場投資信託)を通して技術的進歩に投資できる。だが、それらはイノベーションが最初にテストされてから長く経った後に、やっと一般の人たちにもアクセス可能になる定型的な収益手段だ。
例えばアマゾンは、1994年に設立され、3年間スタートアップとして奮闘した後、株式公開した。フェイスブックは2004年に設立されたが、株式公開は2012年。どちらも株式公開前には、メインストリームの投資家にはリスクが高すぎると考えられていた。上場後もきわめてボラティリティが高く、その状態はしばらく続いた。
そして、この2つの企業でさえ、必ずしも適切な比較対象にはならない。アマゾンもフェイスブックも新しいテクノロジーではない。両社は、テクノロジーの新しい使い方を示している。そしてどちらも、特に最近では、企業としての意思決定や法定通貨経済を基盤とした収益見通しのために、株価は下落している。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産は新しいテクノロジーだ。技術的には、新しい方法論の上で動く資産だが、資産も方法論もお互いの存在なしには機能せず、価値を持たない。さらに密室での戦略的意思決定や、困難な経済状況に起因する収益リスクも存在しない。1985年に、その普及に対して純粋に投資できるような形で、企業リスクなしにインターネットの株を買えたようなものだ。
まったく新しい進化
さらに暗号資産は、従来の取引可能な資産にはなかった形で、イノベーションに対するサポートを可能にする。誰でも、どこでも、特に条件などを必要とすることなく投資できる、純粋なテクノロジーの産物だ。
確かにリスクはあるが、新しいコンセプトはおおむね常にリスクがあり、学習とプラットフォームの情報開示ルールによって、不平等を助長するような障壁を生むことなく、ある程度の保護を提供できる。
暗号資産は単なる市場にとどまらない。新しいテクノロジーにもとどまらない。価値、リスク、資金調達、エンゲージメントについて考えるための新しい方法だ。金融のスープに1杯の哲学を加え、独創的なコードを少々添え、盛り上がりをひと振りかけ、すべてを混ぜ合わせてまったく新しい進化を生み出す。
今年はそうしたメッセージをもっとうまく伝えることができるようになるかもしれない。そうなれば、もっと思慮深い批判や、規制に対する繊細なアプローチを獲得できるかもしれない。
メッセージについてもっと考えることで、たぶん私たち業界関係者さえ、自分たちの取り組みには、思っている以上に意味があるという確信をさらに強めて、次の相場サイクルを迎えることができるかもしれない。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/170804/
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Source: 仮想通貨情報局