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NFTが持つ大きなポテンシャルとは【コラム】

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道端で通りかかりの人を呼び止めて、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)についてどう思うかを聞いてみたら、どんな答えが返ってくるだろう?

猿のイラストに信じられないほど法外な価格がついていることや、ツイッターのプロフィール画像に使われていること。暗号資産(仮想通貨)についてのしどろもどろな説明。有名人の名前。「バブル」という言葉。

まとめれば、軽薄さ、派手さ、理由なき熱狂の話ということになるだろう。それほど的外れな回答ではない。

しかし、NFTははるかに大きな意味を持つことができるし、そうなるだろう。実際、表面だけでなく、もっと掘り下げてみれば、すでにそうなり始めているのだ。

NFTの価格と人気が暴落する中、多くの人たちはテクノロジーとして、そして文化的トレンドとしてのNFTの寿命を疑問視している。NFT市場のバブル崩壊に伴って、消えていく運命の投機資産に過ぎなかったのだろうか?そもそもNFTには、どんな実用性があるのだろうか?

しかし、実用性というのは、今存在する芸術的、あるいはコレクション用のNFTの主眼ではない。レンブラントの絵画やモーツァルトの音楽、エルメスのバッグの重要性も、実用性で測ることはない。もちろんほとんどのNFTアーティストは、レンブラントではないが。

NFTを考える上で大切なのは、アートやコレクション品を生み出すための新しい手段ということ。何世紀にもわたり、油絵の具からエレキギター、写真まで、あらゆる技術革新は、アート作品が生み出され、展示される方法を決定的に変えてきた。

NFTも、その長い歴史の一部なのだ。活発なコミュニティが、機械学習によって生み出されたアート、環境の変化に伴って形を変えるアート、コミュニティ主導のアートなどを通じて、NFTの表現力を試している。

さらにNFTは、実用性を持つことができるし、ますます実用性を伴うようになるだろう。例えばNFTは、伝統的アート市場での大きな課題に対処する役に立つかもしれない。作品の来歴の確認や、ロイヤリティ支払いなどの問題だ。

作品の来歴

ニューヨークのメトロポリタン美術館の元館長トーマス・ホビング(Thomas Hoving)氏は、美術館の収蔵品も含め、自分が検証した作品の約40%が贋作や作者違いであったと推計している。この数字を疑問視する人は多いが、伝統的アート市場に問題が山積していることは明らかだ。

問題の多くは、作品の来歴と関係する。制作と所有の履歴だ。これは、作品が本物であることを確認し、その価値を確定するのに役立つ。これがないと、嬉しくない驚きが待っているかもしれない。

スティーブン・スピルバーグ監督が、自分の所有するノーマン・ロックウェルの作品が盗まれたものであったと知った時や、ゲティ美術館が、怪しげな古代ギリシャの彫像に1000万ドルも支払ってしまった時のように。

NFTでは、来歴はブロックチェーンに変更不可能な形で記録される。少なくともブロックチェーンアドレスという形で特定できる所有権は、誰でも閲覧可能で、偽造に対抗できる。来歴の記録によって、入札や身元に透明性を持たせることで、マネーロンダリングなど、アート市場に蔓延する他の問題の解決も図られる。

ロイヤリティ

ゴッホのように、有名になる前に一文無しで亡くなっていったアーティストのストーリーは数えきれないほどある。これらの逸話は、アーティストがアート市場において、貧乏くじを引くことが多いことを思い知らせてくれる。

アメリカでは通常、二次市場において作品が販売されてもアーティストがロイヤリティを受け取らないというのは、驚きである。世界の他の国々では、ロイヤリティの支払いが一般的であるにも関わらずだ。

アーティストのロバート・ラウシェンバーグが、コレクターに対して900ドルで売った自らの作品『Thaw』が、サザビーズで8万5000ドルで落札された場に居合わせたというのは、有名な話である。ラウシェンバーグはコレクターに対し、「お前がそれだけの利益を上げられるように、私は必死に苦労してきたんだ」と叫んだ。

NFTは自動でロイヤリティの支払いを可能にする。さらに重要なことに、アーティストが原則的に、自らの作品の将来的な販売の条件を設定することもできるのだ。

例えば、アーティストは、自分のNFTが1000ドル以上の値で売られることのないようにすることもできる。あるいは、フランスの「著作財産権」のように、販売された後も作品に対してある程度の影響力を行使し続けることができるようにすることも。作品を破壊することさえできるのだ。

NFTクリエーターがこれほどの力を持つことに意義を唱える買い手もいるかもしれないが、ブロックチェーンシステムの透明性のおかげで、すべての参加者が、十分な情報に基づいて自ら選択できる。

問題と解決策

NFT市場には現在、問題が山積している。不正コピーは蔓延。購買意欲を煽るために、取引高を人工的に作り出すウォッシュトレーディングも続発している。現実に存在する芸術作品の老朽化を防ぐことは困難だが、NFTもデジタルの形で、同じ問題を抱えている。

NFTエコシステムの完全性は、時限爆弾のようなものとなるかもしれない。多くのNFTは、有料クラウドサービスに保管されたコンテンツを含んでおり、支払いが滞れば無くなってしまう可能性があるからだ。

もう1つの大きな問題は、ボットである。NFTは多くの場合、ドロップという形で販売され、何千ものNFTからなるコレクションが同時に売りに出される。

人気のドロップが実施される時には、NFTを一気に確保するためにボットを使い、その後に転売して利益を稼ぐという企みが行われる。しかし、1人が購入できる数に上限を設けることは、困難なことが判明している。

喜ばしいことに、ブロックチェーンシステムは、人々がプライバシーを確保しつつ、自らについての事実を証明し、固有のアイデンティティを提示できるような形へと進化している。

例えば、コーネル・テックで私が所属するグループでは、デジタルアーティストが作ったNFTをくじの当選品とした。プライバシーを保護するオラクルテクノロジーを使って、私たちに社会保障番号の保持を証明できるようにすることで、各参加者が無料でくじ引きの引換券を1枚だけ入手できるような形にしたのだ。

ブロックチェーンコミュニティは、分散型アイデンティティというコンセプトに向けて取り組んでいる。これはつまり、プライバシー保護型のユーザーがコントロールする認証情報システムだ。

カリフォルニア住民であることを証明しつつ、生年月日を隠すなど、選択的にオンラインで提示できる、免許証のデジタル版を持っていると想像して欲しい。

分散型アイデンティティのシステムによって、NFTマーケットプレースは購入数の上限を設定するなど、様々なことができるようになる。例えば、あるNFTアーティストは、他のアーティストに対して自動で割引を適用できるようにしたいと考えている。現在それを実現する方法はないが、アーティストであることを証明できる分散型アイデンティティシステムなら、そんなことも可能になるのだ。

アイデンティティの強力なシステムは、なりすましを防止し、本物のクリエーターからNFTを確実に買えるようにするのにも役立つ。

NFTマーケットプレースは究極的に、様々な方法で自らの作品のライフサイクルをクリエーターが形作ることのできる「ポリシーエンジン」を取り入れることができる。

販売や再販の条件を設定したり、外的環境に応じて変化するダイナミックNFTを作ったり、ファンに割引や特典を提供することもできる。伝統的アート市場でギャラリーが育もうとするような、NFT愛好者のコミュニティを醸成することも可能だ。

ポリシーエンジンによって、ファン離れを引き起こす「投機的価格付け・投資的気質」という問題にも対処できるかもしれない。この問題によって今年、ビデオゲーム「Minecraft」はNFTを禁止した。

デジタルアートを超えて

人類はオンラインの世界へと移動し、メタバースと呼ばれるデジタルコンテンツと視覚的体験の世界にますます没入している。若者たちは物理的なモノを手放している。多くの技術者たちは、土地から魔法の剣まで、メタバースにおけるあらゆるものをNFTが象徴するようになると考えている。

どんな形になろうと、NFTがメタバースでの私たちの体験を形作るようになるのだ。メタバースへ軸足を移す中でメタに社名を変更をしたフェイスブックが、インスタグラムにNFTを統合したことも、ただの偶然ではない。

NFTには実世界のアイテムを象徴させるなど、他にもたくさんの用途がある。例えば、アパートメントがNFTとして販売されたことは、未来の不動産市場の在り方の先触れとなっているのかもしれない。

ナイキ、タイム誌、ティファニーなどのメインストリーム企業もNFTを活用、発行している。NFTはさらに、はるかにリッチな体験を提供するチケット発券の手段にもなる。

もちろん、これだけのポテンシャルを持つNFTも、純粋に善だけを推進する力ではない。暗号資産市場で見られるような詐欺的な販売や、アーティストのなりすましなどの新しい犯罪を助長してきたことは、弁解できない。だからこそ、当記事で論じた技術的ツールや、消費者保護のためのコミュニティベースの方策が大切になるのだ。

NFTは力強くエキサイティングな形で進化を続けていくだろう。好むと好まざるとに関わらず、NFT(あるいはNFTのような何か)は、定着し生き残っていく、文化的力なのだ。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/161594/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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