実体験に基づいた政策策定を提案
米サークル社(Circle)は18日、法制化の議論が高まるステーブルコインについて、政策立案のための19の基本原則を提示した。執筆したのは同社のDante Disparte最高戦略責任者。2019年からステーブルコイン「USDC」の発行と運営をおこなってきたサークル社の「実体験を反映」したものだと主張している。
Disparte氏によると、現在7兆4,600億円(540億ドル)超のUSDCが流通しており、これまでに5兆ドル以上のオンチェーン取引を支えてきた。USDCは190カ国以上で利用可能なグローバルネットワークが築かれており、「インターネットのネイティブ仕様として、ドル建の支払い機能を確立している」と主張した。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドル等に裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIなどアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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基本原則の内容
ステーブルコインの基本原則について、Disparte氏はプライバシーに関する懸念や銀行とノンバンク間の「公平な競争の場」、中央銀行デジタル通貨(CBDC)とステーブルコインの共存可能性、官民連携と規制の明確化の必要性を強調した。
銀行以外の機関(ノンバンク)がステーブルコインを発行することの意義について、同氏は次のように総括した。
銀行とノンバンクによるドル建てデジタル通貨の発行を維持することは、金融システムにおいて、競争、公平な競争条件、ルールに基づく機能向上を促進する。銀行のようなリスクは、資産負債管理、運用・企業リスク管理への配慮を含め、規模に応じた銀行の等級レベルで対処すべきである。
サークル社が、同社を含むノンバンクによるステーブルコイン発行の重要性を主張する背景には、米財務省がステーブルコイン発行者は「保険付き預金取扱機関」、つまり銀行と同じ基準に従うべきであると勧告した経緯がある。大統領の金融市場ワーキンググループが、昨年11月の報告書で発表していた。
Disparte氏は、規制されたステーブルコインの相互運用性や代替性、普遍的な交換を促進することが、競争を促し、参入障壁を下げることで、市場における選択肢を増やすことが可能だと主張した。
米ドルの優位性の確保
デジタル通貨はすでにインターネット上の交換媒体として、世界的に採用されていることから、インターネットの通貨をめぐる競争は「地政学かつ地理経済上の問題」として拡大していると Disparte氏は指摘している。
すでに明らかになったステーブルコインのリスクに対処すると同時に、米ドルがインターネット上の主要なデジタル通貨として存続するような明確な規制の確立が、米国のリーダーシップと経済的な競争力を強化するとした。
そのためには、国内の規制や政策の枠組みを一致させることが重要であると主張。そうすることで雇用を創出し、米国経済の競争力を高め、ひいては「グローバルな不整合性」を回避することにつながるとした。これは、欧州の包括的仮想通貨規制(MiCA)成立を見据え、ステーブルコインの基準を世界レベルで統一することに向けた発言だ。
米国議会では
米下院金融サービス委員会の上級メンバーであるJim Himes議員(民主党)は、ステーブルコイン規制法案について、規制当局の勧告通りではなく、発行者を銀行に限定しない方向となる見込みだと、仮想通貨メディアCoindeskに語った。
Himes氏によると、 Maxine Waters委員長とPatrick McHenry議員が、ステーブルコインに限定した法案に取り組んでいるが、「二種類以上の発行者」に「準備金の基準」を設定する見込みだという。
Janet Yellen財務長官は5月、テラUSDのディペッグ騒動に言及し、金融安定性や決済システム、市場の完全性への影響等のリスクから、ステーブルコイン規制を2022年末までに法制化すべきだと主張。連邦準備制度理事会(FRB)はステーブルコインの兌換リスクを警告していたが、6月に発表した金融政策報告書で、ステーブルコインの金融安定性に対するリスクを指摘しており、米国におけるステーブルコイン規制の機運が高まっている。
参考資料:https://coinpost.jp/?p=368573
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Source: 仮想通貨情報局