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暗号資産暴落と機関投資家との関係

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2021年、暗号資産(仮想通貨)界における主要なテーマは、機関投資家の参入だった。テスラが15億ドル相当のビットコイン(BTC)を購入すれば、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど、ウォール街の銀行やヘッジファンドは、顧客資産をビットコインへと分配し始めた。

機関投資家の登場は、メインストリームへの普及のサインであっただけではなく、価格を押し上げる要因と言われた。暗号資産市場全体の時価総額は2021年、185%も成長し、市場は活況を呈した。

そして今、市場の暴落により、時価総額は昨年後半の最高水準から1兆2500億ドルも低下する中、ある疑問が浮かんでくる。今回の暴落で、機関投資家の資金はどのような役割を果たしているのか?より率直に言うならば、機関投資家が事態を悪化させているのだろうか?

暗号資産と株式の相関関係

分かっていることが1つある。暗号資産市場は、ますます株式市場と連動して値動きするようになっており、機関投資家がその相関関係を強めているようなのだ。株式市場が値下がりすると、暗号資産も道連れとなる。

「BTCに対する機関投資家からの関心は、ポール・チューダー・ジョーンズ氏やルネッサンス・テクノロジーズなど、伝統的投資界の大物たちが公に関心を表明したことで、2020年初頭から高まりはじめた。これは、BTCとS&P 500の60日間相関係数が急激に高まり、その後持続し始めた時期と一致している」と、デジタル資産投資会社ジェネシス・トレーディング(Genesis Trading)による2022年4月のレポートは指摘している。

ダウ・ジョーンズ・のマーケットデータによれば、ビットコインとイーサ(ETH)、そしてアメリカの株式インデックスとの3カ月間相関係数は先週、過去最高を記録した。

BTCとS&P 500の3カ月相関係数の推移
出典:CoinMetrics

ビットコイン強気派をイライラさせることになるだろうが、最近の暗号資産暴落は、伝統的市場の低迷と切り離すことはできない。

米連邦準備制度理事(FRB)が、米連邦公開市場委員会(FOMC)の5月の会合で0.5%の利上げを決定し、株式市場は現在、弱気相場となっている。

FRBのパウエル議長が、さらに大きな上げ幅での今後の利上げの可能性を否定したことで、暗号資産も伝統的市場も一時的に高騰したが、すぐに下落に転じた。

5月4日に開かれたFOMC会合の翌日には、S&P 500とナスダックはどちらも5%近く低下。ビットコインは10%以上値下がりし、年初と比べると現在、35%以上も安くなっている。市場観測筋は、この2つがどれほど密接に足並みを揃えて動いているかに注目している。

機関投資家が暴落の一因?

モルガン・スタンレーの最新のレポートでは、2021年には機関投資家が暗号資産取引で支配的となっており、個人投資家による取引は、暗号資産取引所コインベースの全取引のわずか3分の1しか占めていなかったことが分かっていると、フィナンシャル・タイムズが伝えた。

フィナンシャル・タイムズによると、「顧客の関心は、BTCとETHという2つの主要暗号資産にますます集中するようになっている」と、データ提供を手がけるバンダトラック(VandaTrack)のアナリストは指摘し、次のように分析している。

「この点が重要となるのは、より多くの機関投資家が、暗号資産規制に関する大統領令のもたらす影響と、イーサリアムのイーサリアム2.0への移行を待つ中、暗号資産の値動きは、TradFi(伝統的金融)資産に突き動かされ続けていくからだ」

「資本の供給、そして金利に敏感な機関投資家の関与の高まりが、ビットコインと株式の相関係数の高さの一因となったと考えられる」と、バンダトラックは主張しているのだ。

それはつまり、昨年の暗号資産ブームを助けた機関投資家が、今では暴落の一因となっているということなのだろうか?

「その通り」と、投資情報の提供を手がけるパス・トレーディング・パートナーズ(Path Trading Partners)のストラテジスト、ボブ・イアチーノ(Bob Iaccino)氏は語る。

「市場は成熟してきており、参加者の大部分は暗号資産と伝統的資産のどちらにも投資している機関投資家であるため、そのように推定できるだろう」と、デジタル資産投資会社ビットブル・キャピタル(Bitbull Capital)のCEOジョー・ディパスカール(Joe DiPasquale)氏は述べる。「時間と共に暗号資産市場では、過去のより長期間なものと比べて、より短期的に高値と底値が記録されるようになることもあり得る」と続けた。

「それが、取引可能な資産の性質なのだ」とディパスカール氏は語り、「資産が売却される時は、すべての資産が売却される。ビットコインはしばらくの間、ナスダックと相関関係を見せ続けており、例外ではない」と説明した。

機関投資家と個人投資家の流入や流出を区別するのは簡単ではない。しかし時に、投資家自らが語ってくれることもある。投資会社ミラー・バリュー・パートナーズ(Miller Value Partners)の会長ビル・ミラー(Bill Miller)氏は、マージンコールに対応するために手持ちのビットコインの一部を売却。

市場が厳しい時には、非常に流動性の高い資産、この場合はビットコインを売りたいものだと、説明した。

コインベース・プレミアム

「コインベース・プレミアム」に目を向けてみよう。これは、コインベースでドルを使ってビットコインを買う場合の価格と、バイナンスでステーブルコインのUSDTを使ってビットコインを買うのにかかるコストの差を表すものだ。

暗号資産市場アナリストは、この数字を見て、市場において機関投資家と個人投資家のどちらがより大きな勢力となっているかを見極める。コインベースのユーザーベースは、バイナンスと比べて機関投資家寄りであるというのが根拠になっている。プレミアムがある場合にはたいてい、機関投資家が市場を牽引している、ということを意味する。

しかし、クリプトクワント(CryptoQuant)のデータによると、最近では、このプレミアムがマイナスに転向。12カ月ぶりの低水準を記録している。

「普通は、コインベース・プレミアムが存在する。つまり、コインベースでのビットコイン価格が、バイナンスよりも高いということだ。これは非常に大切だ。なぜなら、アメリカの機関投資家や富裕層は、コインベースで取引していたからだ。しかし(中略)ここ数日、マイナスに転じている。つまり、コインベース・プロでの大幅な売りを示唆している」と、クリプトクワントは説明している。

「個人投資家から機関投資家まで、暗号資産投資家は、テック株にも投資している傾向がある」と、暗号資産についての教育を行うハワード・グリーンバーグ(Howard Greenberg)氏は語り、「彼らは、現在の業界をディスラプトするものとして、テクノロジーに対して強気な傾向があり、この重なりが市場に表れているのだ」と説明した。

特に市場が低迷する時に、そのつながりが強固になるようだと、グリーンバーグ氏は指摘。「機関投資家にとっては、1日24時間いつでもアクセスできる暗号資産ポジションは、他のポジションに比べて清算しやすく、最初に売り払われるポジションとなりやすい」とも、グリーンバーグ氏は語る。

「デジタル市場にはここ1年半で、マクロヘッジファンドの世界から新たに参入する人たちがいた」と、暗号資産ヘッジファンド、アルカ(Arca)のジェフ・ドーマン(Jeff Dorman)氏は語り、「資産ではなく、プレイヤーが相関関係にあるのだ」と指摘している。

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/149055/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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