暗号資産(仮想通貨)は弱気相場にある。
軽々しく受け止めるべきことではない。アナリストらは今年、すでに2度にわたって、画一的な指標(市場ベンチマークの20%値下がり)を適用し、弱気相場との早まった判断を下してきた。
暗号資産の世界においては、ビットコイン(BTC)が市場全体のベンチマークとなっている。ビットコインのドミナンス(すべての暗号資産の時価総額に占めるシェア)は40%半ばまで低下しているが、それでも株式市場にはそれに匹敵するような存在はいない。
時価総額2兆2000億ドルでS&P500種指数のトップに立つアップルが、ビットコインのドミナンスと同じレベルでS&P500の合計時価総額に大きな割合を占めていたら、その時価総額は17兆ドルとなる。ビットコインのドミナンスのために、すべての暗号資産のリターンは通常、ビットコインと強い相関関係を持つ。
ビットコインにとって、新たな史上最高値へと向かう途上に、20%の値下がりはよくあることだ。今四半期には、そのような値下がり(値上がり)が新たな相場の先触れとなったのかを見極めるための簡単な方法が特定された。CoinDeskビットコイン・プライス・インデックス(XBX)が20%変化し、その後にビットコインが90日間、以前の高値(または安値)に戻らない場合という基準だ。
上のグラフは、この方法を用いてビットコインの強気・弱気相場をトラッキングしたものだ。XBXは4月14日(協定世界時)に、6万4888.99ドルの史上最高値に到達。4月22日までには20%以上値下がりし、5万500ドルとなった(それ以降、2万8825.76ドルまで下がった)6月27日時点で、基準点の90日に達するまで24日間残されている。
ビットコインがこの先3週間で6万5000ドルまで回復しないと予測することは、とりわけ大胆なものではないように感じられる。しかしこれは、ビットコインの話なのだ。当記事執筆時点で、XBXは3万3493.55ドル。史上最高値まで回復するとしたら、93.7%の値上がりだ。2014年4月にXBXが登場して以来、ビットコインは24日間でそのレベルの値上がりを25回も見せている。
7月が26回目にならないと考えている理由を説明しよう。ただし私は、今回の弱気市場は短期的なものになるとも考えている。
スポット市場における代替オプション
2つの代替オプションが現在、スポット市場における買い圧力を緩和している。
1. 割安なGBTC
最大のビットコインファンド、「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」は2月以降、ビットコインの現物価格よりも安く取引されている。この投資信託の大半は7月にロックアップ期間満了を迎えるため、この状況が変化する可能性は低い。
GBTCは換金することはできないが、スポット市場でビットコインを購入した一部の投資家は、この割安な投資信託を活かす可能性が高い。(グレイスケールは米CoinDeskの親会社、デジタル・カレンシー・グループが所有しており、GBTCはXBXを基準としている)
2. ASICの供給過剰
中国政府によるビットコインマイニング取り締まりは、プレスリリースだけでは終わらないようだ。マイナーは中国全土で操業を停止し、不使用のマイニング機器があふれている。
ビットコインマイニングは、気弱な人や資金の足りない人向けのものではないが、投資家にスポット市場での価格よりも安くビットコインを手にする機会を与える。
中国で不使用となったマイニング機器が、北米やその他のマイニング中心地となりつつある場所で操業できるかははっきりとしていない。しかし、購入して保有するはずだった大口投資家の一部は間違いなく、マイニングして保有するという代替オプションの、ますます魅力的な資本支出見通しに注目している。
主導者不在の市場
4月は、個人投資家主導の値上がりであったことを示す証拠がある。ドージコイン(DOGE)などのミームコインを含むアルトコインの取引高が、スポット市場でビットコインの取引高を上回ったのだ。しかし現在、個人投資家による買いは疲弊の色を見せている。
一方、LMAXデジタルでの取引高や、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物の未決済の建玉など、期間投資家の参加のバロメーターを見ても、押し目買いをして、個人投資家に取って代わろうと期間投資家が急いでいる兆候はない。
これらの指標は、誤った結論を導くこともあるが、すばやく理解できることは、現在誰も主導権を握っていないということだ。アクティブアドレスがビットコインとイーサリアムの両方で減少するなど、ネットワークデータもこれを裏付けている。
「ファンダメンタルズ」の示すところ
市場における主導者不在の空白期間は、強気相場に挟まれた、短期的な弱気相場を示唆しているのかもしれない。この分析をサポートするネットワークデータも存在する。
ビットコインはキャッシュフローにおける権利を象徴していないため、本当の意味での「ファンダメンタルズ」はビットコインには存在しない。しかし、ビットコインやその他の暗号資産には、ネットワークでのアクティビティを示す一連の指標がある。(価値ではなく効果を予測する)メトカーフの法則をビットコイン価格に適用するほど私も甘くないが、ネットワークデータは、特に市場データと組み合わせると、別のレイヤーの知見を提供してくれるのは確かだ。
上のグラスは、先週グラスノード(Glassnode)が発表したもので、最近の急落時に動いたビットコインのますます多くが「若いコイン」、つまり過去6カ月間に最後に動いたコインであることを示している。
短期的投資家は売っており、長期的ホドラーはそのままだ。コイン・メトリックス(Coin Metrics)のルーカス・ヌッジ(Lucas Nuzzi)氏が指摘したとおり、ホドラーが確定していない利益は、ビットコインの過去の大幅な値下がりの前に見られたレベルには到達していない。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/114571/
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Source: 仮想通貨情報局