ビットコインは今月15日、5万ドルを超えると思われた直後に値を大きく下げた。価格下落の背景に、3つの要因がありそうだ。
CoinDesk 20のデータによると、暗号資産のビットコインは15日午前(アジア時間)、4万9000ドル近辺から4万5926ドルまで下落した。機関投資家の参入が相次いだことで、市場に楽観的な見方が広がり、新たな史上最高値の更新も目前と思われていたため、多くの投資家を驚かせた。
何が起こったのだろうか? 考えられる3つの理由をまとめた。
1. 資金調達のストレス
「ビットコインや他の暗号資産は、全般的に過熱気味に見えた。アジアの取引時間での下落は、5万ドルを超えた水準での継続的な値動きに必要な『資金調達のリセット』だった可能性が高い」と、スタック・ファンズ(Stack Funds)の共同創業者兼COO、マシュー・ディブ(Matthew Dibb)氏は述べる。
実際、資金調達率(funding rate)とも呼ばれる、ビットコイン(BTC)の永久先物市場におけるロングポジション(強気ポジション)を維持するコストは14日、12カ月ぶりの高水準となる0.109%に上昇し、市場における強気レバレッジの過剰、つまりは市場が過熱していることを示していた。
平均資金調達率は1月末に上昇を始め、米テスラのビットコイン投資が発表された8日以降、数カ月ぶりの高い水準に上昇した。これは、4万ドル割れからの最近の上昇は、主にデリバティブ市場に牽引されていたことを示している。つまり、資金調達のリセットのリスクは常に存在していた。
データサイトのコイナライズ(Coinalyze)によると、今回の下落によって15日の記事執筆時点までに、3億ドル超のビットコインのロングポジションが清算された。これは暗号資産市場全体で見られた13億3000万ドルのロングポジションの清算の約30%にあたる。
リップル(XRP)、ステラルーメン(XLM)、チェーンリンク(LINK)、カルダノ(ADA)のような多くのアルトコインと、一部のDeFi(分散型金融)トークンは、アジアの取引時間中に2桁台の下落を記録し、ビットコインの6%の下落幅を上回った。広範な売りがビットコインに弱気圧力を加えたとディブ氏は述べた。
アナリストのジョシュ・レイジャー(Josh Rager)氏は、アルトコインの上昇は先週、「陶酔状態」に達しており、下落のタイミングは熟し切っていたとツイートした。
2. 機関投資家需要の軟化
分析企業クリプトクワント(CryptoQuant)が提供する指標「コインベース・プレミアム」は14日、マイナスに転じ、大手機関投資家の需要の軟化を示していた。
この指標は、暗号資産取引所コインベース・プロ(Coinbase Pro)のビットコイン/米ドル(BTC/USD)ペアと、バイナンス(Binance)のビットコイン/テザー(BTC/USDT)ペアの差。コインベース・プロは大口の個人投資家、および機関投資家の動きを表すと考えられており、この指標は多くのトレーダーが参考にしている。コインベース・プレミアムがプラスの場合は、機関投資家が積極的に投資していることを意味し、マイナスの場合はその逆となる。
「コインベース・プレミアムは14日、ヨーロッパの取引時間の午前にマイナス80ドル近くまで下がった。ビットコインが4万8000ドル〜4万9000ドルの間で推移していた時には、おおむねゼロとなっていた。スポット市場への資金の流れの弱さは、反落の余地を示していた」と、クリプトクワントのキ・ヨン・ジュ(Ki-Young Ju)CEOは説明する。
10月はじめの1万ドル(約105万円)付近からのビットコインの上昇は、主に大口の個人投資家と機関投資家の需要の高まりに後押しされていた。ビットコインは4カ月にわたる強気市場を通じて、コインベース・プレミアムが100ドルとなる状態で一貫して取引されてきたが、何度かコインベース・プレミアムがマイナスになることがあり、下落の前触れとなっていた。
アナリストのジョセフ・ヤング(Joseph Young)氏は、コインベース・プレミアムがマイナスになっていたことと、ビットコインファンドを運用するグレイスケール(Grayscale)への資金の流れが停滞していることを受けて、価格は14日に弱気の展開を見せていると述べた上で、強気筋が目指す水準を4万8000ドルに置いていた。
データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、グレイスケールへの資金の流れの7日間平均は、1月中旬にピークに達し、それ以降は(12日の上昇を除いて)減少していた。
個人投資家はスポット市場で取引を行うが、多くの機関投資家はグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC:Graysclae Bitcoin Trust)などのファンドを通じて、ビットコインに投資している。
3. チャート主導の要因
ビットコイン価格は、3万ドルから4万9000ドルへと上昇したが、コインベースなどの主要取引所では取引高は減少していた。
日次取引高の10日移動平均は2月初めから減少している。少ない取引高での価格上昇は、しばしば短期的なものとなり、15日に見られたように、突然の下落を引き起こすことがある。
市場心理は依然として強気
ビットコインの今回の下落は、過去の強気市場で見られた典型的な下落と言える。
「おそらく今、短時間の小規模の反落に入っているのだと思う。だが、我々はまだ、強烈な強気市場の真っ只中にあり、まもなくより激しくなる」と、ブロックタワー・キャピタル(BlockTower Capital)のアリ・ポール(Ari Paul)最高投資責任者(CIO)はツイートした。
アナリストによると、多くの機関投資家はまもなくテスラの動きに追随し、現金で保有している資産をビットコイン投資に分散化させ、5万ドル超えの強い値動きを生み出すという。
当記事執筆時点、永久先物の資金調達率は0.05%へと正常化し、コインベース・プレミアムも50ドルまで回復した。ビットコインは日本時間16日17時点、4万9000ドルを超えている。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/99664/
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Source: 仮想通貨情報局