経済刺激策として過去最大規模のドル増刷が行われている。研究開発が進む中央銀行デジタル通貨(CBDC)、いわゆる「デジタルドル」は、国民への給付金の支払いを迅速化させるだけでなく、インフレを促す作用があるとの見方が聞こえてくる。
FRB(米連邦準備制度理事会)は2008年の世界金融危機以降、2%のインフレ目標を達成できていない。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が抑制され、目標はさらに遠のいている状況だ。
金融界の一部の関係者は、FRBがデジタルドルを導入すれば、大幅なインフレが起こると予測している。
銀行口座にデジタルドルを直送
カリフォルニアに拠点を置く資産運用会社ダブルライン・キャピタル(DoubleLine Capital)は10月、「The Pandora’s Box of Central Bank Digital Currencies(中央銀行デジタル通貨のパンドラの箱)」と題したレポートを発表した。そこにはこう書かれている。
「CBDCによって中央銀行は、デビットカードで簡単に使うことができるデジタル通貨を、個人の銀行口座に直接届けるために必要な経路を持つことができる。この仕組みにより、流動性がまさに堰を切ったように消費者経済へと流れ込み、インフレを加速させる可能性がある」
デジタルドルを個人の銀行口座に直接送金することは、経済刺激策としての給付金を最も貧しい層に確実に届けられるようにできる。消費者の購買力を高め、全般的な価格水準に上向きの圧力を生む可能性がある。
「デジタルドルは他のツールと比べて、より速く、より直接的な影響力を持つことができ、モノやサービスの価格を高めるはずだ」と、ロンドンに拠点を置くADMインベスター・サービス(ADM Investor Service)のチーフエコノミスト、マーク・オストワルド(Marc Ostwald)氏は話す。
実体経済への影響
言い換えれば、流動性(お金)はウォール街ではなくメインストリート(実体経済)に直接流れ込む。「量的緩和(QE)」と呼ばれるFRBの債券購入と同じだ。
FRBは、新型コロナウイルスによる景気後退に対処するため、3月から7月にかけて、バランスシートを4兆ドル(約415兆円)から7兆ドル(約726兆円)へと膨らませた。しかし、貨幣(通貨)の流通速度、つまり一定期間に貨幣が持ち主を変えた回数は1.5から1.09へと低下した。
一方、株式、ゴールド(金)、ビットコインの価格は高騰した。つまり、新たに増刷された紙幣は、資産価格のインフレ(価格上昇)を後押ししたように見える。
量的緩和や赤字支出を通じて作られたお金は、実体経済に到達する前に金融機関(商業銀行)を通る。つまり、銀行は通常、経済刺激策の恩恵を最初に受け、しばしば追加の流動性を金融市場に投入する。
世界金融危機以前(つまり、量的緩和が実施される以前)でさえ、銀行で生み出された20ドルのうち、わずか1ドルしか実体経済に流れていなかったと、オストワルド氏は述べる。CBDCの個人の銀行口座への直接送金は、この問題を回避できるのではないだろうか。
ドルの流通速度を上げるには
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・グンドラフ(Jeffrey Gundlach)CEOによると、CBDCの直接送金は貨幣の流通速度も加速させるという。「そのワンツー・パンチは、中央銀行が予測するよりも、かなり大幅なインフレをもたらす可能性がある」
一方、アクション・エコノミクス(Action Economics)のマイケル・イングランド(Michael Englund)氏は、CBDCを消費者の銀行口座に直接送金することは、少なくとも短期的には、貨幣の流通速度をより低下させると語る。
「(CBDCの送金という)新しい手段は、すでに緩和された金融政策がより多くの流動性に変換される割合を高めるだけで、貨幣の流通速度とインフレには実質的に短期的な影響をもたらすことはない」
シンプルに言えば、通貨供給はすでに、経済成長を超えている。そのため、流動性はすでに過剰な状態で、貨幣の流通速度の低下を引き起こしている。CBDCの直接送金は、通貨量の増加と経済成長の間のギャップを広げることになるだけだろう。
デジタルドルを投入するセグメント
イングランド氏は、貨幣の流通速度は徐々に増加し、CBDCが注入される場所がインフレを経験する経済セクターを決定することになると考えている。
CBDCが新たな個人当座預金を刺激すれば、消費者価格を牽引することになり、投資活動を刺激すれば、投資商品の価格を上げることになるとイングランド氏は話す。
「(デジタルドルを)投入する場所は非中立的なものになるため、相対的に価格のずれが生まれる。つまり指標が異なれば、影響は異なったものになる」というのだ。
これは量的緩和がもたらす資産価格の上昇と似ている。量的緩和の恩恵を最初に受ける銀行と金融機関が資金注入の場所を決め、さまざまな資産に非対称的なインフレをもたらす。
カーネギーメロン大准教授の考え
「CBDCは大きなインフレをもたらすことはないだろう」と話すのは、カーネギーメロン大学の経済学准教授、アリエル・ゼトリン-ジョーンズ(Ariel Zetlin-Jones)氏。FRBは物価の安定性や金融政策への影響を評価することなく、デジタルドルを採用することはないと述べた。
デジタルドルの直接送金の影響はマクロ経済の状況によると、ゼトリン-ジョーンズ准教授は話す。
例えば、FRBが新型コロナウイルスによるロックダウン中にデジタルドルを消費者に届けたなら、全般的な物価水準への影響は良くても最小限にとどまっただろう。
「人々はどこにも外出できず、お金を使うことはできなかった。そうした需要に対する大きなショックは、CBDCがもたらすインフレを弱めることになっただろう」とゼトリン-ジョーンズ准教授は指摘する。
好景気の時は、直接送金は大幅なインフレを引き起こす可能性がきわめて高い。しかし、FRBがそれを実施する可能性は低い。
デジタルドルはコンセプト段階
バノックバーン・グローバル・フォレックス(Bannockburn Global Forex)のマーク・チャンドラー(Marc Chandler)氏によると、CBDCは単なるもう1つの決済システムであり、流動性や貨幣の流通速度を高めることはないという。
「確かに、アマゾン・クレジットカードの導入は、エコノミストが言う意味での流動性を高めることはなかった。そのため、新たな決済システムがインフレをもたらすと考える理由はない」
デジタルドルがインフレやFRBの金融政策のスタンスにもたらす影響はまだわからない。さらに、CBDCはまだコンセプトの段階だ。
クリーブランド連邦準備銀行のロレッタ・メスター(Loretta Mester)総裁が指摘してきたように、デジタルドルはFRBがアメリカのすべての個人にお金を分配することを可能にする送金形態になるのだろうか。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/87332/
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Source: 仮想通貨情報局