XRP保有者にネイティブトークンを付与
暗号資産(仮想通貨)XRP保有者に対し、ネイティブトークンSparkの付与(エアドロップ)を発表した「フレアネットワーク(Flare Networks)」への市場の関心は日増しに高まっている。
Sparkトークンのエアドロップは、2020年12月12日グリニッジ標準時00:00(日本時間午前9時)時点における保有量のスナップショット(権利確定日)に基づいて行われる。Sparkトークンを受け取るには、エアドロップに対応する取引所で保有するか、もしくは対応するウォレットで保有し、かつ請求申請することが必要となる。
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フレアネットワークとは、一体どのようなプロジェクトで何を目指しているのだろうか。
Flare Networkとは
フレアネットワークは、XRPを開発する米Ripple社の投資部門Xpringが出資を行う有望プロジェクト。独自のコンセンサスプロトコルに基づき、安全で分散化され、かつスケーリングが可能なスマートコントラクト・ネットワークを構築する。
当初の目的は、XRPの分散型台帳「XRPL(XRPレジャー)」上でスマートコントラクト機能を実装することであり、すでに20年5月にテストネットワークが始動している。
ホワイトペーパー(事業計画書)では、フレアネットワークについて次のように形容している。
フレアネットワークは、世界初のチューリング完全なFBA(Federated Byzantine Agreement)適応のAvalancheプロトコルを基盤にし、イーサリアム仮想マシン(EVM)を統合した新たなスマートコントラクト・プラットフォームである
一読しただけでは分かりにくいが、この定義を読み解いていくと、フレアネットワークが目指すものが見えてくる。
新しいコンセンサスプロトコルの必要性
フレアネットワークは、プルーフオブステーク(PoS)を合意形成のコンセンサスプロトコルに使用していない。
PoSは、ネイティブトークンのステーキングという形で、参加者の経済的インセンティブを利用し、ネットワークの安全性を確保する。そのため、「ネットワークの安全性は、コミットされたステークの価値に比例」する。
そのため、信頼されるネットワークを維持しスケーリングしていくためには、トークンの価値が上昇する必要がある。ネットワークにロックされた価値よりも、格段に大きな時価総額を持つ資産をプラットフォームで保護することは、悪意ある攻撃の可能性を考慮すると賢明ではないだろう。
また、ステーキングよりも高い利回りを得る他の手段がある場合、投資家はあえてステーキングを選択するだろうか。資本がネットワークから流出し、セキュリティが低下することが危惧される。
フレアネットワークは、FBA=Federated Byzantine Agreement(注1)という、経済的仕組みに頼らず、かつスケーリングが可能なコンセンサスプロトコルを取り入れた。また、各ノードは「金融のインターネット」として、安全性を確保しつつ迅速なファイナリティと高スループット(処理能力)を実現したAvalancheプロトコルを、FBA設定の中で実行する。
(注1)ビザンチン将軍問題として知られる、合意形成問題の障害を回避する仕組みの進化形
スマートコントラクト・プラットフォーム
フレアネットワークは、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組みである「スマートコントラクト」にイーサリアム仮想マシン(EVM)を活用している。前述したネットワーク基盤の特徴により、スマートコントラクトプラットフォームのスケーリング問題を解消する新しい手法として注目される。
ネットワークの安全性に影響しないネイティブトークン
ネットワークの円滑な運用のために、ネイティブトークンSparkが使用される。ネットワークの安全性はSparkに依存していないため、より柔軟なトークンの使用方法が展開できる。フレアネットワーク上にSparkを用いたアプリケーションを構築する(Spark Dependant Application=SDA)モデルでは、次のような用途を想定している。
- アプリケーション内の担保
- オンチェーン時系列データを提供するオラクル(FTSO)への寄与
- ガバナンス
フレアネットワーク上には、XRPのトラストレスな発行と使用、償還を可能にするプロトコル「FXRP」が構築されている。このFXRPがSDAの最初の例であり、XRPがフレアネットワークで、スマートコントラクトを実装する最初の仮想通貨となる。Sparkは資産(FXRP)発行の際の担保として使用されるとともに、投票によるガバナンストークンとしての役割も担う。
Flareの開発を支援するための助成金や投資を除いて、財団はSparkトークンの所有者から技術的な指示を受けるが、重要点として、「Sparkトークンの所有者が、Sparkトークンの存在はネットワークに利益をもたらさない」と認めた場合、財団は解散し、財団が保有するSparkトークンをすべて焼却しなければならないという条例が、財団の規約に書かれている。
Sparkの発行数
フレアネットワークでは、1000億枚のSparkトークンが発行される。そのうち、250億Sparkは開発者であるフレア(Flare Networks Limited)に、300億Sparkはネットワーク運営を行うフレア財団に寄付されるという。そしてXRPのマーケット流通量に相当する450億Sparkが、XRP保有者にエアドロップ配布される予定だ。
Sparkトークンのリターンと将来性
FlareのトークンであるSparkは、初のユーティリティフォークとなる可能性があり、オリジンネットワーク(XRP Ledger)はユーティリティの向上によって利益を得ることができる。
Sparkトークン保有者は、Flare上に構築されたプロトコル「FXRP」の信頼性の高い発行・償還を担保にSparkトークンをコミットすることで、また、Flareの時系列オラクルにデータを提供することで、Sparkトークンのリターンを得ることが可能。これらの機能は互いに競合するものではない。
現在、全体の75%にあたる仮想通貨が「非チューリング完全ブロックチェーン」上に構築されているとフレアは指摘している。ビットコインやライトコインなどがその一例だが、これらのチェーンではスマートコントラクトを実行できない。
SDAのアプリケーションの一つとして想定されているのが、非チューリング完全資産にスマートコントラクトを実装する架け橋としての役割だ。FXRPはその先駆けとなるとともに、他の資産にも応用する可能性を示すことになると考えられている。
さらに、フレアネットワーク上でトラストレスに発行された資産は、CosmosやPolkadotのような相互運用プロトコルを介して、他のネットワークへ拡散する可能性があるとホワイトペーパーでは指摘されている。
参考資料:https://coinpost.jp/?p=198671
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Source: 仮想通貨情報局