分散型金融(DeFi)セクターの人気や投資の急増により、DeFi関連トークンの価格チャートが上昇した。たとえば、ヤーン・ファイナンス(Yearn Finance)のYFIトークンや、AaveのLENDトークンなどが最高値を記録した。YFIは、上場から価格が10倍にまで上昇した。
実際、注目を集めているDeFi関連トークンのほとんどは、ビットコイン(BTC)やほかのアルトコインよりも優れたパフォーマンスを示している。チェインリンク(LINK)やUMAのようなガバナンス・インフラプロジェクトも、DeFiトークンよりも見劣りするものとなっている。
DeFiプロジェクトと、イーサリアム(ETH)やカルダノ(ADA)などのスマートコントラクトプラットフォームにすべての目が向けられているため、仮想通貨(暗号資産)の世界のいくつかのセクターが取り残されているようだ。最も顕著なのが、XRPやステラ(XLM)といったクロスペイメント・プラットフォームだ。
出典: CaneIsland Digital Research 2018年12月以降の損益の比較
EOSのようなスマートコントラクト・プラットフォームはわずかながら利益を上げているが、2020年のDeFiブームの中心であるイーサ(ETH)のような競合追いつくことができなかった(ほとんどのDeFiトークンはイーサリアムのERC20トークンだ)。
リップルの苦戦
時価総額トップ10の仮想通貨の中で、XRPは2020年で最悪のパフォーマンスとなっているものの1つだ。そして最近では、テザー(USDT)によって、時価総額第3位の地位を脅かされている。XRPは現在、時価総額で第4位の仮想通貨であり、時価総額は約106億ドルだ。
XRPは2020年はじめから20%上昇しているが、ビットコインやほかの多くのアルトコインよりもはるかに遅れている。バイナンスの第2四半期レポートによれば、バイナンスではXRPは、5番目にパフォーマンスが悪い仮想通貨であることが明らかになった。
XRPのマーケティングやトークンセールを巡る長期にわたる集団訴訟が存在するほか、最近ではリップルは「PayID」ブランドの使用に関して著作権関連の訴訟にも直面している。直近では、リップルの主要な銀行パートナーの1つであるサンタンデールが、リップルの国際決済ネットワークであるOne Pay FXの採用に関して懸念を表明している。
XRPを巡る状況は厳しいようにみえるが、リップルはローンチ以来、20億ドルを超えるトランザクションを処理している。2020年前半には、XRPを使った決済システムである「オンデマンド流動性(ODL)」が11倍の成長を遂げており、リップルのプロジェクトについては前向きな材料がある。
XRPのパートナーであるフレア・ネットワークス(Flare Networks)が、リップルとイーサリアムのブロックチェーンをブリッジすることを目的としたプロジェクトを発表しており、DeFiセクターに接近しようとする計画もある。
プライバシーコインも取り残される
DeFiブームと、それに伴ってステーブルコインの利用が増加したことを考えると、クロスボーダーペイメントは現時点では仮想通貨の世界でホットな話題とはなっていないようだ。加えて、プライバシーコイン(匿名通貨)も、DeFiそしてビットコインに比べてもパフォーマンスが見劣りするものとなっている。
仮想通貨分析のメサーリ(Messari)のデータによると、モネロ(XMR)やジーキャッシュ(ZEC)といった人気のあるプライバシーコインは、過去12ヶ月で上昇しているものの、ビットコインと比較しても見劣りしている。モネロは5%上昇、ジーキャッシュは20%上昇となっている。
DeFiバブルが破裂すれば、状況は変わる
DeFiトークンは、2020年に保有者に顕著な利益をもたらしたが、DeFiのブームの中で、ハイプを利用して多数のクローンやミームプロジェクトも生まれている。
DeFiセクターの一部のトークンは、SUSHIトークンを含め、様々なプロジェクトが乱立する状況となっている。食品の名前を冠したDeFiミームトークンが乱立する中で、最近メディアを騒がせたのは「Hotdog」トークンだ。これはわずか5分間で99%の暴落を記録。多くの投資家が価値がほぼゼロのHotdogトークンを所有することになった。
DeFiはほかの仮想通貨セクターよりも注目を集める存在となっているが、これらの新しいプロジェクトの多くが2017年のICOブームを彷彿とさせるものであり、投資家は注意をする必要があるだろう。
イーサリアムブロックチェーンのネットワークへの負担が増加する中、DeFiセクターでもすぐにICOブームと同じ軌跡をたどる可能性がある。そうなった場合、現在の資金の流れがビットコインやステーブルコイン、そして現在のDeFiブームから取り残されているほかのセクターに戻ってくる可能性があるだろう。
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Source: 仮想通貨情報局