カイバー・ネットワークは、新型コロナウイルスによる封鎖のなかで最も注目のトークンプロジェクトだろう。
分散型取引所カイバー・ネットワーク
分析企業フリップサイド・クリプト(Flipside Crypto)によると分散型取引所(DEX)の「カイバー・ネットワーク(Kyber Network)」は、新型コロナウイルス不況のなか、開発者の貢献、ソーシャルメディアでの話題、ブロックチェーンの記録、ウォレットアドレス、対応アプリの点で、現状、最も急成長しているプロジェクトだ。
カイバー・ネットワークが発行しているトークン「KNC」は、メッサーリ(Messari)によると、2019年12月の約0.18ドルから2020年3月初旬には0.64ドルへと高騰した。トレーダーはKNCを利用する必要はないが、KNCは近い将来、ステーキング報酬や開発に関する投票などに使われるようになる。
また、カイバー・ネットワークはユニスワップ(Uniswap)、IDEXに次ぐ3番目に人気のDEXで、そのDeFi(分散型金融)システム内に約540万ドル(約5億8000万円)相当の準備金を保有している。2020年3月だけで2億ドル相当を取引したと見られている。2019年1月以降に開設されたアクティブアドレス6万2264のうち、3月には1万3000のアドレスが同DEXを利用した。
カイバー・ネットワークはベトナムとシンガポールにオフィスを持ち、さらにIDEX、dYdx、シンセティックス(Synthetix)、セット・プロトコル(Set Protocol)、オピン(Opyn)、0xが参加するシカゴDeFiアライアンス(CDA:Chicago DeFi Alliance)にも参加している。
CDAの共同設立者ボルト・キャピタル(Volt Capital)のイムラン・カーン(Imran Khan)氏は、100社以上がCDAへの参加を申請したが、選ばれたのはわずか7社のスタートアップと述べた。
「マーケットメイカーや流動性プロバイダーはすべて、それぞれの投資戦略に基づいて異なる選択肢を必要としている。カイバーの競争優位性は、分散型取引所であり、規制された裁定取引が可能で急成長が可能なことにある」
3月の暴落時も問題なく機能
これまでのところ、カイバー・ネットワークの流動性は比較的健全なようだ。2020年1月、バイナンス・リサーチ(Binance Research)は同DEXは3万5000人のアクティブユーザーを抱えていると推測した。
同DEXは3月、初めて真のストレステストを生き延びた。カイバー・ネットワークは暗号資産市場の劇的なボラティリティにもかかわらず、大きな問題もなくこの日、3300万ドル相当の取引に対応してみせた。カーン氏は、CDAはDeFiシステム内にロックされている資産価値を約10億ドルから、2021年には80億ドルへと成長させることを目指していると付け加えた。
「この分野が本当の流動性を手にするには、プロのマーケットメイキングが必要だ」とカイバー・ネットワークのロイ・ルー(Loi Luu)CEOは述べた。
カイバーだけが特別なわけではなく、ほとんどのDEXは新型コロナウイルス危機の発生とともに取引高が大幅に増加した。例えば、CDAの参加企業である0xは3月、過去最高の1億ドル以上の取引高となった。
流動性プロトコル
カイバー・ネットワークが0xなどと違う点は、カイバー・ネットワークはDEXだけではなく、主として「流動性プロトコル」であることだ。
カイバー・ネットワークは、オンチェーンでの取引機能の実現を示す概念実証と言える。ユニスワップやトラスト・ウォレット(Trust Wallet)のような多くのウォレットやDeFiプラットフォームも、バックエンドでカイバー・ネットワークのプロトコルを利用している。
「オンチェーンでのマーケットメイキングは、オフチェーンでのマーケットメイキングとは大きく異なっている。なぜなら、すべてのオペレーションを実行するために実際にブロックチェーンを利用するからだ」とカイバー・ネットワークのアドバイザー、ミン・ング(Ming Ng)氏は述べた。
「スマートコントラクトは、他のスマートコントラクトとしかやり取りできない」
つまり、イーサリアムがグローバルな金融プラットフォームになるためには、カイバー・ネットワークのような存在(カイバーだけに限らない)がスマートコントラクト機能を取引におけるすべてのレイヤーで仲介する必要がある。
オンチェーン取引を実現
取引がオンチェーンで決済されたとしても、通常、オーダーブック(取引状況を記録したデータ)はオフチェーンになっている。このギャップをカイバー・ネットワークは埋めようとしている。
流動性とは、一般的にはお金を動かし、実際に使う能力を意味する。一方「スマートコントラクト」はビジネス行為を自動的に引き起こすソフトウエアにすぎない。
つまり、あるトレーダーが複数のオーダーブックから特定の資産価格を参照するツールを開発したいと考えた場合、カイバー・ネットワークなら実現可能だ。そしてスマートコントラクトを使って取引を実行できる。
「彼らは、取引を行うためのさまざまな方法を提供しており、一部のマーケットメイカーは彼らと仕事をすることをより快適に思うだろう」とルーCEOはCDA参加企業のIDEXや0xについて語った。
「(カイバーで)ドメイン名からコード、スマートコントラクトまで、分散型取引に必要なすべての技術要素を揃えることができる」
今後の目標
オンチェーン取引を拡大するために、より多くのプロのマーケットメイカーを獲得することは難しいことだが、ルーCEOは、55名のスタッフがおり、当初のトークンセールで得た資金の半分以上がまだ残っていると語った。2017年、「KNC」トークンのICO(新規コイン公開)は20万イーサネット(ETH)を集めたと報じられた。
さらにカイバーは、プロトコルをマーケットメイキングや前述のDEXで使用することによって試験運用し、これまでに控えめな利益を上げている。
「マーケットメイカーは、カイバーを使って利益をあげることができるはずだ。我々はエコシステム内のすべてのプレイヤーが利益をあげることができる、完全にサステイナブルなエコシステムを築き上げている」とング氏は述べた。
6月下旬には「カタリスト(Katalyst)」と呼ばれるアップグレードが予定されており、KNCトークンの保有者はプルーフ・オブ・ステークシステムから報酬を得ることができるようになる。
ICOで調達した資金が底をついたときには、同DEXはこの仕組を使って利益をあげることもできる。今のところ、KNCトークンへの需要は取引所を超えて急増している。より多くの企業が、ダイ、USDC、テザーなどのステーブルコインに関連した独自の取引戦略のためにカイバープロトコルを利用している。
慣れ親しんだ取引所と決済方法を好むトレーダーもいるだろう。準分散型モデルを試してみたい人向けには、CDAはオンチェーンでの体験が得られる、古いやり方も提供している。
またボルト・キャピタルのカーン氏は、同ファンドはカイバー・ネットワークでのステーキングに参加する予定と述べた。
「DEXとしてのカイバー・ネットワークの目標は、取引された資産がプロトコルから出ていかないこと。より深い流動性は、より効率的な市場と、個人トレーダーを参加させる新しい方法を可能にする」とカーン氏は述べた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/64391/
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Source: 仮想通貨情報局