食料品店、ガソリンスタンド、乗り換え駅などの一角にある暗号資産(仮想通貨)ATMは、新型コロナウイルス感染拡大の間でも営業を許されている「重要インフラ」の一部になっている。この期に、ビジネスを拡大しているATM運営企業もある。
インフラとしてのビットコインATM
人々が多くの時間をオンラインで過ごすようになっているなか、ブロックチェーンベースの決済アプリやエンターテインメントプラットフォームはユーザー数が急増している。暗号資産(仮想通貨)やビットコインATMは、こうした市場を予期せず支えているようだ。
広範なロックダウンによって人々は家にいるにもかかわらず、ビットコインATM運営企業の中には取引の増加を明らかにしているところもあれば、この時期をネットワーク拡大に利用しているところもある。
最寄りのビットコインATMは、おそらく恐怖を感じている人々にとって、事態に備える最も身近な方法なのだろう。
ビットコイン関連のグーグル検索は急増している。だが、ウォレット、秘密鍵、QRコードなどに恐れを抱いている多くの人にとって、ビットコインATM(ときに、BTMと呼ばれる)は、「安全資産」への便利なオンランプ(法定通貨と仮想通貨の交換の場)となっている。
約1000台のATMを設置
「グローバルパンデミックの間でさえ、そして、おそらく今だからこそ、ビットコインとビットコインATMは、次世代のバンキング、送金、eコマースに参加している我々の顧客の本質的なニーズに合致している」とビットコインATM運営企業デジタルミント(DigitalMint)の共同創業者マーク・グレンズ(Marc Grens)氏はメールで述べた。
デジタルミントのATMの約95%は、ロックダウンのなかでも、まだ一般の人がアクセス可能だ。同社の全体の取引高は「わずかに減少」したが、「新規および既存顧客の取引高は安定している」とグレンズ氏は述べた。
デジタルミントは3月以降、ビットコインATMをボストン、ロサンゼルス、フィラデルフィアの数十カ所に新たに設置した。
コインATMレーダー(Coin ATM Radar)によると、ATMの総設置台数は3月1日の7023台から4月1日には7417台となり、5.6%増加した。
同様に、2019年にニューヨークでの運営許可「ビットライセンス(BitLicense)」を取得したリバティX(LibertyX)も、ついに州内での展開を開始した。
「1カ月強でATMをゼロから数百台まで増やした」と共同創業者兼CEOのクリス・イム(Chris Yim)氏は述べた。リバティXはこの2カ月間、アメリカ全土で約1000台の新しいATMを設置した。
問い合わせが増加
リバティXは物理的なATMを所有しているわけではなく、ジェンメガ(Genmega)やヒョスン(Hyosung)が製造、あるいはペイメント・アライアンス・インターナショナル(Payment Alliance International)が運営しているノンバンク系ATMにソフトウエアをライセンス供与し、ATMのメンテナンスは各地の個人オーナーが行っている。
ATMオーナーは現状、手動でソフトウエアをアップデートしなければならない。
「タイミング的には少し残念」とイム氏は述べた。しかしロックダウンの状況下では「オーナーは、他にすることはほとんどないと思う」と続けた。
「4月15日は、ATMでの取引高が最も多い1日となった。この日は、多くの人たちが経済対策による現金支給を受け取った日だ」
同社では、ATMの使い方を質問するカスタマーサポートへの問い合わせも増加している。これは新規ユーザーの間での関心の高まりを示唆している。
取引高が急増した企業も
リバティXやデジタルミントとは異なり、最近、市場参入したある運営企業は、ATMネットワークの台数が減少しているにもかかわらず取引高が急増している。
コインスクエア(Coinsquare)──2019年夏、暗号資産ATMスタートアップ、ジャスト・キャッシュ(Just Cash)の株式を購入した──は、800台のATMのうち、約350台が現在利用不可能と述べた。
だがコインスクエアのコール・ダイアモンド(Cole Diamond)CEOによると、ここ7日間の平均取引高は、2019年の平均取引高から167%増加した。一方、月全体の平均取引高は、昨年の平均から158%増加した。
「これらの数字は驚異的だ。より少ないATMで、全体の取引高は増加し、1回あたりの取引高ははるかに大きくなっている」とダイアモンド氏は指摘した。
「取引数、取引高は、これまでで最も大きくなっている」
コインスクエアは、リバティXと同様のビジネスモデルで運営しており、ノンバンク系ATMにソフトウエアを提供している。今後数カ月で、新たに数千のATMオーナーにソフトウエアを展開する予定だ。
ビットコインは止まらない
ソーシャルディスタンスを遵守している企業と同様に、実店舗を持つ伝統的な銀行は対面サービスを変更あるいは縮小している。個人客向け店舗の中にはATMを封鎖したところもあれば、「ドライブスルーでのサービス提供のみ」に移行したところもある。
ビットコインATMメーカーの多くは、こうしたレベルのコントロールは実行できない。ソフトウエア提供者、あるいは民間オーナーにATMをフランチャイズしている企業として、できることは、画面の消毒方法を決めることくらいだ。
グレンズ氏、イム氏、ダイアモンド氏は、消毒の最も良い方法をATMオーナーに推奨したが、実際、彼らにできることはほとんどない。
「人々が外に出て、ビットコインATMを使うことは、我々の責任ではない」とイム氏は述べた。同業他社と同様に、イム氏の会社も変動費は小さく、経費はほとんどかからず、売上はほぼ利益になった。同社には、新型コロナウイルスによる危機が終息するまで待てる余裕があるとイム氏は語った。
「アメリカは封鎖されているかもしれないが、我々の暮らしと経済を止めることはできない」とグレンズ氏は述べた。
「我々の顧客にとって幸運なことに、ビットコインも決して止まることはない」
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/53843/
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Source: 仮想通貨情報局