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「免疫パスポート」開発に60社が集まる──ワクチン接種、陽性反応をデジタル証明【アフター・コロナ」

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ブロックチェーンベースの自己主権型アイデンティティ(SSI)ツールを開発する技術者たちは、プライバシーを損なわずに新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する「免疫パスポート」に連携して取り組んでいる。一定の免疫レベルを証明することで、個人が日常生活を取り戻すことをサポートする。

回復や抗体を証明するデジタル証明書

新型コロナウイルス・クレデンシャル・イニシアチブ(CCI:COVID-19 Credentials Initiative)は、最近認可されたW3C(World Wide Web Consortium)のVerifiable Credentials規格を使って、デジタル証明書の開発に取り組んでいる。

このデジタル証明書は、個人が新型コロナウイルスから回復したこと、抗体検査で陽性反応が出たこと、あるいはワクチンが開発されれば、ワクチン接種を受けたことを証明(および他人に証明を要請)する。

イニシアチブには、エバーニム(Evernym)、ストリートクレド(Streedcred)、イサタス(esatus)、TNO、ジョージタウン大学など、自己主権型アイデンティティ(SSI:self-sovereign identity)分野の60を超える企業・組織が参加している。

さらにイタリアのコンサルセシ(Consulcesi)、南アフリカのDIDx、パキスタンのトラストネット(TrustNet)、カナダのノーザン・ブロック(Northern Block)など、世界的にも広がっている。

こうしたデジタル証明書は医療機関によって発行されるが、ユーザーが管理し、ピア・ツー・ピアで共有される。

よくある誤解は、自己主権型とは自己証明型を意味するというもので、自己証明型では、政府などは不要となる。自己主権型のデジタル証明書では、発行者に対する信頼がきわめて重要、とエバーニムの広報担当者は語った。

テクノロジー業界は、何らかのデジタル証明書の必要性に同意している。

2020年3月、マイクロソフトの元CEO、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏はレディット(Reddit)の「何でも聞いて(AMA:Ask Me Anything)」でデジタル証明書の必要性に言及。自己主権型アイデンティティの専門家を勇気づけた。

「いずれ我々は、誰が回復したのか、最近検査を受けたのか、あるいはワクチンが開発されれば、誰が接種したのかを示す何らかのデジタル証明書を手にすることになる」とゲイツ氏は述べた。

「人間中心」のソリューション

ユーザーのプライバシーを守るためにブロックチェーンを利用するとアピールしている新型コロナウイルス関連のソリューションは数多く存在する。

こうしたソリューションは、熱感知顔認証カメラ、体温チェックポイント、位置情報追跡のような中国などで実行された監視手段によって開発が促進された。

こうした監視手段は、現在までに全世界で少なくとも11万5000人の命を奪った新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせることには有効かもしれない。だが監視の行き過ぎに対する当然の懸念がある。

例えばイギリスでは、国民保健サービス(National Health Service)のテクノロジー部門「NHSX」が、パランティール(Palantir)やファカルティー(Faculty)などのビッグデータ・AI企業と連携している。

これらの企業の弁護士は、患者のデータは匿名になると述べたが、4月12日のガーディアン(Guardian)の記事は、機密の医療データが「プライバシー、倫理、データ保護に対する注意が不十分なまま」処理されているとの懸念を表明した匿名の政府関係者の発言を引用した。

SSIは、より問題の少ない代替案となる可能性がある。

「我々が開発している技術は、人間中心のものになる」とエバーニムのストラテジック・エンゲージメント・ディレクターのジェイミー・スミス(Jamie Smith)氏は語った。

「中国などで見られる監視に重点をおいたソリューションとはまさしく正反対。あまりに政府中心的なソリューションは、プライバシーに深刻な影響をおよぼす」

適切なアプローチは、相互運用性があり、多くの地域をまたぐ共通の枠組みを持つ複数のソリューションが存在するオープンエコシステムでなければならない、とスミス氏は述べた。

しかしこれは、知的財産権(IP)をめぐる争いにつながる可能性もあり、新型コロナウイルス・クレデンシャル・イニシアチブ(CCI)はその対処に取り組んでいると述べた。

「CCIは現在、分散型アイデンティティ・ファウンデーション(DIF:Decentralized Identity Foundation)と、コミュニティー主導のCCIの取り組みから生まれるスキーマや仕様に必要な知的財産権保護を提供するためのDIF作業部会を設立する可能性について検討している」とエバーニムの広報担当者は声明で述べた。

「薄い」ブロックチェーンレイヤー

SSI開発企業エバーニムは、リナックス(Linux)関連のハイパーレジャー・インディー(Hyperledger Indy)ブロックチェーンプロトコルを使っている。だがCCIプロジェクト自体は「ブロックチェーンに依存しない」。

自己主権型アイデンティティ(SSI)とVerifiable Credentialsは、証明書の発行者、証明書の保有者、検証者の間に信頼のトライアングルを生み出す。

これは、発行者と検証者の間で直接やりとりする(しばしば面倒な)システムではなく、保有者を中心に置くシステム。保有者に、何を誰と共有したいかを選択する権利も与える。

根底となるのは分散型のブロックチェーン・アーキテクチャーだが、ブロックチェーンで多くのデータを実行するわけではない。

「暗号インフラのためだけにブロックチェーンを非常に薄いレイヤーで使用する。すべての証明書はオフチェーン、かつピア・ツー・ピアで交換される。ブロックチェーンの役割は非常に重要だが、薄い」とエバーニムのチーフ・トラスト・オフィサー、ドラモンド・リード(Drummond Reed)氏は述べた。

このブロックチェーンレイヤーの機能を理解するもう1つの方法は、インターネットそのものの設計方法を見ること。例えば、ユーザーは公開鍵と秘密鍵を使って、eコマース取引を行うことができる。

「公開鍵インフラ(PKI)の困難な部分は、それが実際に誰かの公開鍵であることをどのように証明するか」とリード氏は述べた。

「その解決策は常に、認証局と呼ばれる中央集権型のサービスプロバイダーだった」

今回は、中央集権型サービスに依存するのではなく、ブロックチェーンが公開鍵の分散型ディレクトリーとして機能し、管理をユーザーの手元に取り戻させる。

新型コロナウイルスの検査証明に対する差し迫ったニーズのほかにも、エバーニムの収益担当バイスプレジデント、ニック・リス(Nick Ris)氏は、「距離を置いた信頼」というコンセプトは、他のSSIアプリケーションのニーズを浮き彫りにするはずと述べた。

「高等教育では、遠隔で授業に取り組み、大学に参加しようとしている何万人もの学生が存在するが、システムはまったく不十分」とリス氏は指摘した。

「我々が開発中の技術はスケーラブル、相互運用可能で、現在、インフラにかけているコストに比べて安価だ」 

参考資料:https://www.coindeskjapan.com/53122/ 

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Source: 仮想通貨情報局

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