米商品先物取引委員会(CFTC)のJ・クリストファー・ジャンカルロ(J.Christopher Giancarlo)元委員長、ラボCFTC(LabCFTC)のダニエル・ゴーファイン(Daniel Gorfine)元ディレクター、そして投資家のチャールズ・ジャンカルロ(Charles Giancarlo)氏は、ドルをデジタル化したいと考えており、連邦準備制度理事会(FRB)とは別に動き出した。
この3者はデジタル・ドル財団(Digital Dollar Foundation)を設立し、アメリカの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の設計と推進に向けてアクセンチュアと協動している。
この新しい非営利団体は、複数段階の計画を立てている。まずは設計と提案を作成する。そして設計を評価してもらうためにエコノミスト、弁護士、学者、技術者、その他の人々を集める。次に新しいシステムを試験するための枠組みを作る。すべてはドルの取引を、携帯電話でのメッセージのやりとりと同じくらい滑らかなものにすることが目標だ。
彼らは、2019年10月のウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)に掲載された論説以来、デジタルドルをサポートするためにブロックチェーンプラットフォームを利用することを呼びかけている。要点は、FRBやその他の利害関係者からの支援を受けながら、非政府組織がプロジェクトを運営するというものだ。
ジャンカルロ元CFTC委員長は2020年1月16日(現地時間)付の声明の中で、アナログな準備通貨は現在のユーザーには役に立たないと述べた。
「デジタルドルは米ドルが時代遅れにならないようにする上で役立ち、個人や国際的企業が空間や時間に関わらずドルでの支払いを行えるようにする」と説明された。
提案されているデジタルドルは、アメリカの通貨をトークン化したもので、既存の他のFRBの負債と連動するが、デジタル決済の手段として機能する。
このデジタルドルは「新しいデジタル世界、そしてより安く、速く、包括的な国際金融システムの要求に応える」と、ジャンカルロ元委員長は主張した。
アクセンチュアは、プロジェクトにおける主要な設計者、そして技術パートナーとなる。
声明の中でアクセンチュアのグローバルブロックチェーン責任者でありマネージング・パートナーのデビッド・トリート(David Treat)氏は、同社が本プロジェクトを推進する上で、実世界における体験と新技術の融合を目指して利害関係者をまとめると述べた。
アクセンチュアは既存システムにイノベーションをもたらすべく、カナダ銀行(Bank of Canada)、シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore)、そして欧州中央銀行(European Central Bank)をはじめとする多くの中央銀行と協働してきたと、ジャンカルロ元委員長は述べた。
特に、eクローナの設計におけるスウェーデン国立銀行(Riksbank)とのアクセンチュアの取り組みが強調された。
アクセンチュアは既にこの領域に対して、特に中央銀行デジタル通貨(CBDC) と「固有の価値を持つユースケース」に関して多額の投資を行っていると、トリート氏は広報担当者を通じてCoinDeskに述べた。同氏によれば、CBDCはさらに、デジタル台帳をベースとした他のプロジェクトについてもサポートすることができるという。
「例としては、CBDCをトークン化された証券と直接交換できる能力は、世界の資本市場に大きな影響を持つでしょう」とトリート氏は述べた。
親FRBで、FedNowプロジェクトに対してもサポートの意向
まず同財団は、会議、討論会、公開討論会を開催して、デジタルドル誕生に向けて複数の異なるアプローチを検討する。
FRBの既存のプロジェクトをサポートすることをはじめとして、「政府の核心的な利害」も考慮される、とプレスリリースには記されている。
この最初の取り組みは、一連の方針という形でまとめ上げられ、利害関係者のニーズやCBDCのための実務的な要件と照らし合わされると同時に、アメリカの法律遵守の観点からも評価される、とプレスリリースには説明されている。
FRBの賛同が鍵となる。デジタルドルは、既存の仮想通貨やドルにペッグされたステーブルコインの大半とは異なり、FRBからの支援を受けることが必要となる。
特筆すべきは、プレスリリースによると同財団からなされる提案は、既存の金融システムを代替したり、それに勝るのではなく、そのまま残す志向のものである。
そのため、FRBのリアルタイム決済システム、FedNowプロジェクトと連携とまではいかなくても、それを考慮に入れたものになる可能性が高い。FRBが独自の決済レールを開発するという噂は長年あったが、同プロジェクトが公式に発表されたのは2019年のことだ。
FedNowは初期段階にあるが、今のところブロックチェーンが利用されることは無いようである。
それでもはっきりとしているのは、FRBの理事やジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長はブロックチェーン技術のことを認識しており、少なくともそのシステムのサポートのためにブロックチェーンを利用することの可能性の評価は行なっている。
共和党のフレンチ・ヒル(French Hill)下院議員(アーカンソー州)と民主党のビル・フォスター(Bill Foster)下院議員(イリノイ州)もこの議論に加わり、ブロックチェーンベースのCBDCを利用することが実現可能なのか、努力する価値があるのかとパウエル議長に質問した。
パウエル議長は今のところ、FRBはこの点について検討を行なっているが、CBDC開発を目指すことに著しい利点があるかはまだ分からないと回答している。
ラボCFTCにおいてCFTCの金融テクノロジー構想をかつて率いていたゴーファイン氏はCoinDeskに対するメールの中で、アメリカのCBDCが発行されるには、法律、経済、プライバシー、セキュリティー、技術的懸念をはじめとする多くの問題を解決する必要があると述べた。
「我々は、これらを要検討な問題の一つとして数えており、段階的なアプローチを通じて、幅広い利害関係者と共に検討を行なっていきます。その方法としては、実際に試験したり、または提案された試験を行う可能性もあります」とゴーファイン氏は述べ、次のように続けた。「究極的には、デジタルドルはFRBによって発行される必要があり、我々の目標はそうした取り組みをサポートすることが出来得る実用的なステップのために枠組みを提案することです」
デジタル人民元やリブラが計画される中で
今回の発表は、中国が間もなく独自の中央銀行デジタル通貨をローンチする準備が整うかもしれないという噂の高まりの中でもたらされた。中国が国際的金融システムにおける米ドルの支配に挑戦することも可能なように見えるが、そのCBDCプロジェクトの完全な詳細や範囲は分かっていない。
デジタル人民元が、国際的金融システムを支配する点でドルに挑戦できるかはまだ分からない。業界シンクタンク、コイン・センター(Coin Center)のエクゼクティブ・ディレクター、ジェリー・ブリト(Jerry Brito)氏はブログ記事の中で、ブロックチェーン上に置かれたというだけで人民元の基礎が変わることはなく、中国のCBDCは米ドルへの脅威とはならないと主張した。
それでも米政府元高官や学者らは、北朝鮮のような国がデジタル人民元を利用して制裁を回避したり、敵意を持った人物が現在の送金を支えているSWIFTネットワークのような老朽化したインフラを標的にする可能性を考慮している。
他の国々も独自CBDCの発行を検討している。マーシャル諸島共和国はおそらく最も進んだ国の1つで、2019年には2段階でマーシャルソブリンを発行することを発表した。まず流動性を測るためのプライベートなプレセールを実施し、その後2年以内に一般向けに発行するという計画だ。
民間のグループもまた、グローバルでスケーラブルな送金の手段の必要性に応えようとしている。最も有名な例はステーブルコインのリブラ(Libra)プロジェクトであり、ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)が6月、特に銀行を利用できない層をターゲットとした国際的支払いシステムを作り上げる取り組みとして発表した。
ジャンカルロ元委員長とゴーファイン氏が思い描く新しいデジタルドルも同類だが、より単純に21世紀のドルとして機能するものとなるだろう。
「ドルを世界中すべてのユーザーにとってより良い通貨とするために、コストを削減し、セキュリティーを高め、透明性を改善し、国内外で効果的なデジタル決済手段として機能するものにしなければならない」と、プレスリリースには記されている。
参考資料:http://coindeskjapan.com/34933/
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Source: 仮想通貨情報局