「有識者が語る2020年のブロックチェーン&仮想通貨業界の展望」(FLOCブロックチェーン大学校主催)が12月5日、同校で開かれ、同校のジョナサン・アンダーウッド校長やコンセンサス・ベイスの志茂博代表取締役らが登壇。仮想通貨取引所のセキュリティと2020年にも予定されるビットコインの半減期、フェイスブックのデジタル通貨「リブラ」やセキュリティトークンについての論点整理と20年の展望を示した。
「半減期を利用した詐欺に注意を」アンダーウッド氏
アンダーウッド氏は仮想通貨のセキュリティ問題と半減期についての考察を話した。まず2019年の振り返りとして、「2017、18年は(仮想通貨取引所からのハッキング・流出被害で)数百億円規模の被害が多く見られたが、19年は数十億円など被害額が小さくなっている」と指摘。その理由として、「仮想通貨セキュリティの専門家が増えているからではないか。取引所がそうした人材の採用に力を入れているからだろう」などと分析した。
2020年に予定されるビットコインの半減期については、「過去の半減期と同じことが起こるという人もいれば、それを否定する人もいてどうなるかは分からない」と述べた。さらに「報酬が半減することからハッシュレートが半減する」という考えがあることに触れた上で、過去2回の半減期の前後のデータを振り返り、「過去2回の半減期は、その数ヵ月後から徐々に価格が上がっている」と話した。ただし「来年(次回)もそうなるとは限らないし、なぜそうなるのか、説得力のある論拠は示されていない」とも付け加えた。
その上で、「懸念すべきは、半減期を利用した詐欺行為が行われることだ」と注意を喚起した。
「先進国がすぐにCBDCを発行するメリットはない」志茂氏
次に同校の講師でもあるコンセンサス・ベイス志茂博代表取締役が登壇、「Facebookの仮想通貨『リブラ』の仕組みと世界のデジタル通貨のゆくえ」と題して講演した。法定通貨、リブラ、ビットコイン、CBDC(中央銀行デジタル通貨)などを整理、詳しく比較したうえで、「すべてある種の通貨ではあるが、それぞれ全然異なっている。向いている用途も違うので、それぞれ共存するだろう」と話した。
CBDCについては中国が注力していることに言及。購買・消費行動がすべて把握されてしまう可能性を示唆。“ディストピア”という言葉を使い、国家による監視が行き渡ることへの懸念を表明した。
先進国の取り組みについては、「先進国がすぐにCBDCを発行するメリットは、税の徴収など一部を除けばあまりない」として、CBDCが進むのは主に新興国になるとの考えを示した。
「ステーブルコインと自主規制団体の位置付けなどがカギ」半田氏
さらに同じく同校講師で、コンセンサス・ベイスのコンサルティング部長、半田昌史氏も登壇、「2019年の日本のSTOの現状振り返りと2020年の展望」と題してレクチャー。セキュリティトークンがなぜ注目されているかという理由について次の4点を挙げた。
・スマートコントラクトで配当分配・株主優待付与などの自動処理ができる
・証券・資産の所有権を小口化し、分割所有できる
・証券取引における約定・受け渡しまでの時間を大幅に短縮できる
・証券取引に伴う、株主名簿・社債原簿などの自動更新ができる(対抗要件も具備される)
さらに2020年に注目しておきたいテーマとして、3点──「自主規制団体」「ステーブルコイン」「大手証券会社の動向」を挙げた。
「自主規制団体の動き」の注目点としては、日本証券業協会(JSDA)と日本STO協会の位置付けがどう整理されるか、日本STO協会が自主規制団体として認められるかを挙げた。
そして「ステーブルコイン」は法的建て付けがどう整理されるか、「大手証券会社の動向」については、特に顧客預かり資産・口座数の多い証券会社の取り組み・動向に注視すべきとの考えを示し、「銀行系の証券会社がどういった動きを示すかがポイントになる」などと述べた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/30126/
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Source: 仮想通貨情報局