2019年4月に北朝鮮の仮想通貨カンファレンスに参加したイタリア人男性は、友人でイーサリアム開発者のバージル・グリフィス(Virgil Griffith)容疑者を起訴したアメリカ政府の対応は度が過ぎていると述べた。
グリフィス容疑者は、北朝鮮がアメリカの経済制裁を回避することを容易にするような技術的訓練を提供したとして、国際緊急経済権限法違反で起訴された。ジェフリー・S.・バーマン(Geoffrey S. Berman )米連邦検事が先週の声明で述べた通り、「北朝鮮に非常に技術的な情報」を提供したとして、グリフィス容疑者は身柄を拘束されている。
しかし、ファビオ・ピエトロサンティ(Fabio Pietrosanti)氏は、平壌ブロックチェーン&仮想通貨カンファレンス(Pyongyang Blockchain and Cryptocurrency Conference)で起こったことを、法執行機関は大げさに理解していると述べる。内容のあることはほとんど起こっていない、と同氏はCoinDeskに語った。
「制裁はまったくとして話題に上がりませんでした」と、感謝祭の日(11月28日(現地時間))にFBIに逮捕されたイーサリアム財団(Ethereum Foundation)のスタッフ、グリフィス容疑者と同じ旅行に参加し、カンファレンスにも出席したピエトロサンティ氏は述べた。
ピエトロサンティ氏によれば、北朝鮮外部から来た少人数のグループに、いわゆる「隠者王国」と呼ばれる北朝鮮を見学することを可能にした旅行のうちの2日間を、このカンファレンスが占めていた。全旅程は北朝鮮の公式ウェブサイトから確認できる。
「北朝鮮にずっと行ってみたかったのです」とピエトロサンティ氏はCoinDeskに語った。反検閲活動家の同氏にとって北朝鮮は、制裁を受けた国家として、大いに好奇心をかき立てる場所であった。「統制に対抗したいといつでも思っているので、非常に興味深いのです」とピエトロサンティ氏は語った。
ピエトロサンティ氏はグリフィス容疑者のことを10年近く知っており、最初に出会ったのは、監視を国家レベルの当事者以外にはほとんど不可能にするオープンソースの匿名ウェブブラウザを開発するトーア(TOR)コミュニティの参加者としてであったと述べた。
弁護士事務所ベイカー・マルクアルト(Baker Marquart)所属でグリフィス容疑者を担当する弁護士、ブライアン・クライン(Brian Klein)氏は、12月2日(現地時間)に、容疑者の初出廷後に声明を発表した。
「本日判事が、バージルは裁判まで刑務所から釈放されるべきと判断したことを非常に嬉しく思っています。刑事告訴状に記された、真実か分からない申し立てに異議を唱えます」とクライン氏はCoinDeskに語り、次のように続けた。「バージルは、出廷の日に事態の全容が明らかになるのを楽しみにしています」
北朝鮮で政治の話はタブー
確かにピエトロサンティ氏には思惑がある。同氏は、取材に応じる意図はグリフィス容疑者が安全に釈放されることにあると、明確に述べた。
同氏は複数回にわたって、北朝鮮のカンファレンスにおいて制裁は議論されていないと主張した。そのような場で制裁について語ることは賢明ではない、とピエトロサンティ氏は述べた。
北朝鮮のような政権を訪ねるときの第1のルールは、「政治的な話題について語らない」ということだと、 ピエトロサンティ氏は語った。すでに承知のことではあったが、旅行の主催者もこの点を強調したと同氏は述べた。
ピエトロサンティ氏はさらに、カンファレンスは外部の人間が北朝鮮にアクセスし、国の一部を見る理由を与えてくれたと述べた。「ある意味では、教育的価値のある観光旅行のようなものです」と同氏は語った。
北朝鮮には1週間滞在し、厳格なスケジュールのもと、絶えず政府側の監視人とともに北朝鮮のいろいろな場所を数日かけて見て回ったと、ピエトロサンティ氏は説明した。それからカンファレンスが2日間かけて行われた。ピエトロサンティ氏は、旅行には約4400ドル(約48万円)かかったと述べた。
カンファレンスには、40〜60人の北朝鮮の人々と、10人未満の外部の人間が参加していたとピエトロサンティ氏は推測したが、西欧におけるカンファレンスとは趣きがまったく異なっていたと強調した。
「カンファレンス全体を通じて、(北朝鮮の)人と個別に話すチャンスはまったくありませんでした」とピエトロサンティ氏は述べた。さらに、準備されていた通訳者がリアルタイムに通訳できなかったので、プレゼンはゆっくりで途切れ途切れだった。
発表者が話し、通訳者が通訳し、また発言者が続けるが、誰かが理解できないと、そこからもう1度やり直しとなった。
FBIよ、グーグル検索で出てくるような内容だ
もともとの議題は主催者によって完全に計画され、政府が承認したものであったが、2日間のカンファレンスを埋めるほどの題材が承認されてはいなかった、とピエトロサンティ氏は指摘した。
「カンファレンスのプログラムは幾分、行き当たりばったりでした」と同氏は語った。
例えば、ピエトロサンティ氏はもともと講演を行う予定はなかったが、資産のトークン化について講演をすることになった。そのトピックについて専門知識はなかったが、主催者側が時間を埋めなければならなかったからだ。
会場にいた北朝鮮の人たちの身元についてはっきりとは分からなかったが、彼らの質問から、おそらく4、5人はテクノロジーについて教養があったとピエトロサンティ氏は推測する。同氏の印象では、会場にいた大半の人々は、ただ命令を受けてそこにいたという感じであった。
「カンファレンス中に眠っている人を見ました」とピエトロサンティ氏は語った。
公式ウェブサイトによれば、カンファレンスは2020年にも再び開催される予定だ。
ピエトロサンティ氏は、グリフィス容疑者のプレゼンについてあまり覚えていないと語った。同氏はカンファレンスを「退屈な2日間」と表現した。扱われた情報は「グーグル(Google)で検索できるような基礎レベルの知識」だったと同氏は述べた。
「高度な技術の移転があったと考えるなんで、馬鹿げています」とピエトロサンティ氏は述べた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/29824/
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Source: 仮想通貨情報局