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10万円が1兆3757億円に…

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仮想通貨ブームに、冷や水を浴びせる格好になったのだろうか。

 タレントの出川哲朗を起用したテレビCMを大々的に流していた「コインチェック」。1月26日、国内2位の仮想通貨取引所であるにもかかわらず、外部からのハッキングを受け、約580億円相当の仮想通貨の一種「ネム」を不正に引き出されたことが発覚した。


「仮想通貨取引所は、インターネットで売買をするため、不正アクセスに遭うリスクが伴います。そこで、インターネットから切り離した“コールドウォレット”と呼ばれる場所で、仮想通貨のデータ管理をしなければなりません」

 とは、ITジャーナリストの三上洋氏。

「でも、コインチェックは、常時インターネットに接続状態の“ホットウォレット”でネムを管理していました。インターネットで売買しつつ、管理するときにはインターネットから遮断しなければならないので、システム開発を行ったり、多くの人材を雇い入れる必要がある。本来、リスク対策に費用をかけるべきなのに、コインチェックは知名度アップを図るためのテレビCMなどに投じていたのです」

 国内2位でも、セキュリティー対策は杜撰極まりない有り様だったのだ。

 しかし、仮想通貨のマーケットは爆発的な膨張を続けている。

 現在、仮想通貨は1300種類以上あると言われているが、取り扱い高が最も多く、一番有名なのは「ビットコイン」である。2009年10月から世の中に出てきたが、そのときの値段は1BTC(ビットコインの数量単位)あたり、わずか0・09円だった。その後、乱高下を繰り返しつつも値上がりを続け、14年1月には約8万5000円、17年1月に約11万6000円、今年1月29日の時点では約123万8000円の値を付けている(JPビットコインを参照)。もし、ビットコインがスタートしたときに10万円分を購入していたとすれば、現在、1兆3757億円という途方もない額を手にしていた計算になる。

 取り扱い高10位のネムも同様。15年3月に発行が始まったが、当初の値段は1XEM(ネムの数量単位)で0・029円。

 それが、今年に入ると約210円にまで上昇し、不正引き出し発覚後、一時、値を下げたものの、1月29日時点では、102円近辺にまで戻している。同じく、スタートのときに10万円分を手に入れていれば、いまでは3億5172万円になっていたのである。

マウントゴックスと同じ轍

 まさしく、マネー革命と言っていい状況だが、その一翼を担ってきたのが、コインチェックを率いる弱冠27歳の和田晃一良(こういちろう)社長である。

 一体、どのような人物なのか。

 出身は、埼玉県入間市。実家は、生花店を営んでいるという。地元の高校を卒業後、AO入試を経て、東京工業大学の経営システム工学科に入学した。

 全国紙の経済部デスクによれば、

「和田さんは大学在学中に、人生のストーリー投稿サイト“STORYS.JP”を開発しました。そこで、“ビリギャル”などの人気コンテンツを手掛けた。そのうちの10作品が書籍化され、トータル120万部以上も売り上げました。さらに今度は、知人の誘いでコインチェックの前身であるレジュプレスという会社の創業に関わり、大学を中退したのです」

 そして、仮想通貨取引所へと業態転換を図るきっかけとなったのは、「マウントゴックス」の破綻だったという。

「14年2月、マウントゴックスは、470億円相当のビットコインを消失させました。しかも、マルク・カルプレス社長が業務上横領などで逮捕され、仮想通貨のイメージは地に落ちた。その結果、大手企業は参入に躊躇するようになりました。それをチャンスと見た和田さんは、マウントゴックス破綻から半年後にコインチェックを始めるのです」(同)

 しかし、皮肉なことにマウントゴックスと同じ轍を踏むことになったわけだ。

 つまり、セキュリティー面での規制や法整備などは一歩も進んでいなかったことになる。その一方で、仮想通貨への参加者は、14年は1万人ほどだったが、300万人へと急増した。

過熱に問題は

「芸能界でも、とりわけお笑い芸人が仮想通貨にのめり込んでいます」

 とは、スポーツ紙の記者である。

「ダウンタウンの松本人志やロンドンブーツの田村淳もビットコインなどに投資していることを明らかにしている。また、藤崎マーケットのトキは預金全部をコインチェックでネムに投じ、“現時点の所持金は6万円と交通系ICカードの残高だけになってしまった”と憤慨していました。お笑い芸人に広がったのは、サイドビジネスに熱心なたむらけんじが、仮想通貨の布教活動をしたからです」

 国から保証されるわけでもない仮想通貨が、これほど過熱することに問題はないのか。

 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏の話。

「ビットコインをはじめとする仮想通貨は、非常に少額な送金ができ、そのうえ、送金手数料がほぼゼロというところで、革新的なシステムだと言われていた。ところが、ブームのせいで取引量が増加したことに伴い、送金手数料も跳ね上がりました。銀行振込よりも割高で、もはや投機の対象以外には利用価値がなくなってしまった。価格高騰は、仮想通貨の利点を殺してしまっています。早急に、投機的要因を排除するシステムづくりが必要です」

 いまだかつて、去らないブームがあった例しはないのである。

参考:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180209-00537398-shincho-bus_all&p=1 

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Source: 仮想通貨情報局

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