10月7日に行われたブラジル大統領選の第一回投票は、極右候補で、カリオカのトランプの異名を持つジャイル・ボルソナロ下院議員がトップに立ち、第2位となった左派労働党の候補であるフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長と28日に決選投票を行う。
事前世論調査でトップに立ちながら、女性や人種などへの差別的な発言などもあって、決選投票では中道票が対立候補に向かって厳しいと一時いわれていたボルソナロ氏であるが、対立候補が左派のアダジ氏となり、中道右派陣営票の取り込みが期待できることや、第一回投票での得票が予想以上に大きかったこともあって、決選投票でも勝利する可能性が相当高いとみられている。
直近の複数の世論調査では、ボルソナロ氏が過半数を超えて、アダジ氏に15%ポイント以上の差をつけている。
当初は極右候補を警戒する動きを見せた市場であるが、ここにきてボルソナロ氏への期待が強まっており、ボルソナロ大統領誕生はレアル買い・ボベスパ(ブラジルの代表的な株価指数)買いという評価が広がっている。
ブラジルで政治不信が広がった主要因である汚職問題について、対立候補のアダジ氏が強い姿勢を示すことが出来ず(汚職で収監中のレラ元大統領の後釜として大統領候補になったという経緯からも致し方ない部分はある)、ボルソナロ氏への期待が広がっていること。市場は労働党の国家主導経済に警戒感を示しており、民主化を進めるボルソナロ氏への期待が広がっていることなどが背景にある。
すでに勝利自体は織り込みが進んできているが、もう一段のレアル買いが広がるとすると、大統領に就任したボルソナロ氏が、その場合の財務相の有力候補といわれるパウロ・グエデス氏を以前からの発言通り指名すること。同氏は米シカゴ大学出身だけに自由競争的なアプローチからの経済政策を志向すると期待されており、同氏が財務相もしくは財務省と開発省を統合した経済相に就任すると、レアル買いの流れが加速する可能性が高い。
minkabuPRESS編集部山岡和雅
Source: ダックビル為替研究所 | Klug クルーク