本日21時半に発表される9月の米雇用統計。
米景気が力強く成長し、先週実施された米連邦公開市場委員会(FOMC)の中での参加メンバーによるプロジェクションにおいて、経済成長見通しが前回6月時点の+2.9%から+3.2%に引き上げられるなど、FRB内での景気見通しも前向きなものに。
パウエル議長も今週の講演の中で「見通しは際立って良好」と力強い発言をしています。
こうした中で迎える今回の雇用統計。前回(8月分)は非農業部門雇用者数(NFP)が予想の前月比+19.1万人を超え、前月比+20.1万人と20万の大台を超える好結果を記録。
また、物価との関連で注目度が上がっている平均時給も力強い数字で、前年比+2.9%と予想の+2.7%を超えて2009年6月以来の高い伸びに。前月比でも7月の+0.3%から+0.2%へ鈍化見込みが、+0.4%と伸びが強まる結果となっています。
これまでの労働市場では、ひっ迫気味の労働需給にもかかわらず、賃金の伸びが一息でしたが、8月の数字が大きく伸びたことで、米雇用市場の力強さが再認識された格好です。
失業率に関してはU3失業率(いわゆる一般的な失業率)については3.8%へ低下するとの見込みが、7月と同じ3.9%にとどまるなど、少し弱かったですが、U6失業率といわれる期間中に求職活動は行わなかったが働く意思のある人や正社員を求めながら非正規雇用に甘んじている人などを含めた失業率が7月の7.5%から7.4%へ0.1%ポイント低下し、2001年4月以来17年超ぶりの低水準を記録するなど、全体をみると決して弱いものではありませんでした。
こうした状況を受けて今回9月分の数字ですが予想はNFPが+18.5万人と前回から少し伸びが鈍化見込みとなっています。さすがに少し強すぎた前回の調整分が入る格好です。
前回強かった平均時給は前年比+2.8%予想と、8月から0.1%ポイントの鈍化見込みも、こちらも強い水準。前月比は+0.3%見込みと、こちらも8月から0.1%ポイントの伸び鈍化見込みです。
予想前後の数字が出てくると、米雇用市場さらには米経済の堅調さ維持との見通しが広がりそう。なお、今回に関しては少し強めに出てもおかしくないとの印象を個人的に持っています。
その理由ですが、まずは前回の数字の内訳から今回の改善が期待されること。
前回の雇用者数で足を引っ張ったのが1年超ぶりの減少を記録した製造業。特に自動車部門が約5千人も減少していたことが背景にあります。ただ、自動車をはじめとする製造業は夏場の工場閉鎖(夏休みの時期に工場整備を行うため)が起こる可能性があり、ノイズが入りやすい項目(ある程度季節調整はされています)。ブレが大きい分今回大きく回復するようだと、全体を押し上げる材料となる可能性があります。
また、サービス部門では前回小売業の減少が目立ちました。この部門は雇用の流動性が大きく、月ごとに増減が見られるところだけに、今回上昇している可能性は十分にありそう。
一方で2か月連続で大きく増加している建設業などは少し調整の可能性があります。
続いて、先行指標が管理強いこと。
1日発表のISM製造業景況感指数は、全体の数字こそ予想を下回る弱めとなりましたが、雇用部門は58.8と8月の58.5から改善。
3日発表の同非製造業景況感指数は、全体の数字も記録的な好結果。雇用部門はその中でも際立って強く、62.4を記録。8月の56.7からジャンプアップしました。
同日発表のADP雇用者数も8月の16.8万人増加から23.0万人増加に大きく伸びるなど、軒並みの好結果。
こうした状況を考えると、かなりの好結果が期待されます。(ただし弱かった時のネガティブインパクトも大きくなるので、そちらは要注意です。
Source: ダックビル為替研究所 | Klug クルーク